その担い手たちの横顔 Designers File

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香西 瑠里 インテリアコーディネーター

空間の持つ美しさを引き立てる

設計担当者が、お客さまとともにどのような空間をつくり上げようとしているのか? 私も打ち合わせに加わり、時には設計担当者と対話し、あるいはひとりでじっと設計図面に向かいながら、今生まれようとしている空間がどのようなものか、どこから光が差し、風が抜け、その中でお客さまがどんな時間を過ごされるのかを想像します。設計案に込められた意図を受けとめながら、その美しさを引き立て完成させるのがインテリアコーディネーターとしての私の仕事。お客さまによく似合い、これからの豊かな暮らしの舞台となる空間を、ともにつくり上げていきます。

Work style

  • 設計担当者の意図を受けとめる
  • 造作家具でシンプルに仕上げる
  • 色を効果的に使って空間を彩る

Design

最近の設計実例から

東京都 Sさま邸

「桜を眺めながら過ごしたい」――そんなお言葉からスタートした設計です。苦楽をともにしながら人生を歩まれてきたご夫婦お二人のためのゆとりある住まい。桜を望む庭に開放された吹抜けの大空間に寄り添う、優雅で透明感のあるインテリアをご提案しました。

設計担当者の意図を受けとめる

インテリアの計画は、設計担当者による空間のデザインが終わってから始めるというものではありません。それは同時に進めていく作業なのだと思います。設計担当者がどういう空間をつくりあげようとしているのか、その意図に沿って、それを完成させるコーディネートを考えていきます。

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庭につながるリビング。開放感あふれるシンプルな空間です。たたみ上げたシェードが目立たないように窓まわりをすっきりと整え、眺めを楽しんでいただくときに“ノイズ”となるものを極力減らしました。

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玄関ホールは天然石と木で構成する素材感の豊かな空間です。レッドシダーを張った天井面をできるだけきれいに残すため、ダウンライトをボックスの中に収めました。

造作家具でシンプルに仕上げる

建築を学んだ時に覚えたミース・ファン・デル・ローエの言葉「LESS IS MORE」(より少ないことは、より豊かなこと)は今でもよく思い出します。インテリアコーディネートは、装飾的なものを足していく世界ですが、空間デザインの基本の一つはこの「LESS IS MORE」にあると思っています。家具を現場に合わせてつくるときの大切な指針でもあります。

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キッチンとダイニングが並ぶ空間に、白い鏡面の扉を付けた壁面収納家具を造り付けました。取手をなくし、一枚の白い壁のように見せて空間に溶け込ませました。また上部にライン状に間接照明を設けているので、収納家具でありながら照明装置としての役割も果たします。

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吹き抜けに面して設けた2階の書斎に、書棚を造り付けました。壁を手前側にふかし、その間に棚を設けた建築に溶け込むデザインです。

色を効果的に使って空間を彩る

インテリアをつくりあげていくなかで私が心がけているのは、お客さまらしさを表現することです。お客さまには必ずお好きな色があるので、それを壁の色やクッションなどの小物に取り入れ、アクセントとして効果的に使うようにしています。

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明るいブラウンのレザーソファは、Sさまご夫婦が愛用されてきたものです。しばらくはご新居で使われることが決まっていました。この色がインテリア計画のひとつのポイントとなりました。

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2階の奥さまの寝室は、お手持ちのシャンデリアとブラケット照明を使うことが決まっていたので、それを前提に壁にはバニラホワイトの大理石、床には白く塗装したオークを合わせました。また、奥さまのお好きなピンクをクッションに使ってアクセントにしています。

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書斎の下を隠れ家のようなスペースといわれる“ヌック”にしています。床を下げ、天井と壁を曲線にした包み込まれるような空間です。壁にはリビングのソファの色に合わせ、茶にゴールドを混ぜたような美しい色合いの和紙を張りました。

Photo gallery

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香西 瑠里 インテリアコーディネーター

コーディネートを終えて インテリアコーディネートの仕事の魅力は、お客さまのライフスタイルをより豊かにする空間をご一緒につくっていけるところにあると思います。Sさまと、ヌックをどのように仕上げるのか、キッチン構成や素材、また大きな壁面収納をどのようなものにするか、設計担当と一緒に、細部にわたって打ち合わせを重ねました。照明器具のデザインや壁の色一つひとつで空間の趣は異なり住まい方も変わります。責任の大きな役割ですが、Sさまご夫婦のやさしく、あたたかいお人柄に助けられて楽しくお仕事をさせていただきました。お二人にお似合いの優雅な空間で、心地よいお時間を過ごしていただければうれしく思います。

香西 瑠里 インテリアコーディネーター Ruri Kouzai

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