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平成20年4月12日

総本山仁和寺「御室桜(おむろざくら)の
第1回土壌ボーリング調査結果」について

 昨年4月に、「御室桜調査プロジェクト」を発足し、旧御室御所、真言宗御室派総本山仁和寺(住職:佐藤令宜 京都市右京区御室大内33)境内中門を越え左手に広がる“御室桜”(名勝)について、人の背丈にまでしか成長しない等、特異性の解明、その美しい景観を維持管理することを目的に、調査研究を行うこととなりました。本年1月に、穴を掘る本格的な土壌調査を行う前の事前調査として、ボーリング調査による土壌の把握を行いましたが、その結果が判明致しましたので、お知らせ致します。

 御室桜が育っている土壌の特徴としては、砂礫に富んだ粘土質で、2.5m以下で空気と栄養が非常に不足している状態であることと、栄養素が乏しいことが明らかになり、この事が根の成長を含む樹木全体の成長を抑制し、御室桜のあの特徴ある樹形を確立したと推測されました。また、一部ではボーリングが出来ないような岩盤があることも推測されました。

調査概要

 御室桜が人の背丈ほどしか成長しない謎の解明、そして衰えてきている樹勢を回復するためには、詳細な土壌調査と根の観察を行う必要があります。そのため、桜が冬眠し、その成長に影響が少ない今冬に調査を実施し、第1回目の調査として、ボーリングによる土壌調査を行いました。仁和寺で初めて行われる地盤調査であり、地中内の状態が把握できていないため、先ずはボーリングによる地質調査を行いました。今後3〜5年をかけて、土壌調査、成長調査、クローン増殖、DNA鑑定等様々な調査・研究を行っていく予定です。

 1月に実施したボーリング調査では、汚染土壌や宅地の土壌調査等に使用されている最新の機械を用いて行いました。通常、ボーリングを行う際は、土壌との摩擦により発生する熱を抑えるため、水を加えながら掘削を行いますが、この機械は微振動による掘削方式であるため、無水で掘り進めることができ、土壌中の様子をありのままに観察できます。また、サンプリングした熱の発生が少ないこと、加水による土壌中の化学物質の流亡がほとんどないため、土壌の化学分析に与える影響も、通常のボーリングに比べ非常に少なく抑えることができます。

調査詳細・結果

 土壌のサンプリングは、計6ヵ所で実施しました。御室桜が植えられている場所は、参道から見て左に向かって下がっており、土壌中の水分状態や地層の連続性を解明するため、斜面最上部、上部、中部、下部、最下部の5ヵ所でボーリングを実施しました。さらに、近年、特に枝枯れが目立つ桜が集中している部分1ヵ所の計6箇所を選択しました。

 調査の結果は、以下の通りです。

1. 三相分布

 植物の生育には、土の中を構成する三相、すなわち土(固相)、空気(気相)、水(液相)の比率が重要で、植物の成育が良いと言われる土は、固相40〜50%、気相25〜30%、液相25〜30%と言われています。御室桜が育っている土は、表層〜2.5mまでは比較的三相のバランスが良いのですが、それより深い層では、固相率に変化はありませんが、気相率が20%以下となり、液相率が高くなっているため、非常に空気が少ない状態になっていると推測されました。このような状態になると、根は成長し難くなります。

2. 仮比重

 土壌がどれだけ密であるかを示す値で、植物の成育に適している仮比重は0.96〜1.06で、1.1を超えると粘土であると言われています。今回の調査では、全地点、全深さで仮比重が1.1を超えていることから、粘土をベースにした土であることが科学的に明らかになりました。また、ボーリング採取した土壌を崩したところ、砕石のような礫が粘土の中に沢山含まれており、中には礫だけで層をなしている部分もありました。この礫の果たしていた役割については、現在解析中です。

3. 化学性

 炭素、窒素、リン等の植物の成育に必要な栄養素はほとんど含まれておらず、炭素と窒素のバランスを示す値であるC/N比は10前後と低い値でした。また、土壌の酸度を表すpHは、4.8前後と低い値を示し、植物にとっては非常に成育し難い状況であることが分かりました。

 なお、調査及び化学分析は、住友林業(株)筑波研究所、住友林業緑化(株)(社長:井崎則洋 本社:東京都中野区本町 住友林業(株)100%出資)、スミリンベーステクノ(株)(社長:小島明夫 本社:東京都台東区上野 住友林業(株)100%出資)が担当し、観察による土壌解析は、千葉大学と住友林業が共同で行いました。

「御室桜調査プロジェクト」経緯と今後のスケジュール
2007年4月 「御室桜調査プロジェクト」発足。京都府文化財保護課及び、各行政機関と協議の上、千葉大学、住友林業グループ協力のもと調査研究を進める。
2008年1月 第1回土壌調査実施 ボーリング調査により6ヶ所にて土壌のサンプリング実施。

〜 今後の予定 〜

2008年 4月 開花状況調査
2008年 8月 成長量調査
2008年12月 第2回土壌調査
2009年 1月 土壌改良試験開始
参考資料:ボーリングにより採取された土壌
ボーリングした状態

ボーリングした状態

分析のため砕いた状態

分析のため砕いた状態


以上
≪お問合せ先≫
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 佐野・佐藤
TEL:03−3214−2270
FAX:03−3214−2272

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