ニュースリリース(2016年)

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2016年02月27日

広島大学附属高等学校
住友林業株式会社

スーパーサイエンスハイスクール高校生がチャレンジ!
組織培養で増殖した“エバヤマザクラ”が里帰り
広島の記憶を未来へ、世界へ

  広島大学附属高等学校(校長:竹村 信治 広島県広島市)は、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)」に指定された2003年以来、さまざまな研究テーマに取り組んでいます。
  2012年10月には、同校の生徒(当時)による研究チームが住友林業株式会社(社長:市川 晃 本社:東京都千代田区 以下、住友林業)の技術サポートのもと、広島市指定天然記念物である“エバヤマザクラ”の組織培養による増殖に成功。その後、増殖に成功した苗は、住友林業が同校から引き継ぎ、同社筑波研究所で育苗を行ってまいりました。
  このたび、その苗が大きく成長したことから、広島に里帰りさせるとともに、本日、同校において記念植樹を実施しますのでお知らせいたします。

  本取組みは、SSHの指定を受けた同校の研究課題として、希少木であるとともに、戦中の被爆を乗り越えたエバヤマザクラを後世へ引き継ぐことを目的に、高校生の研究チームが、2007年よりバイオテクノロジーの一手法である組織培養による増殖に着手したものです。
  住友林業は、生徒と共に増殖に成功した苗木を引き継ぎ、2014年には本苗木を外の条件に慣らすため、温室での育苗を開始。2015年、さらなる成長を促すため、温室から畑に植え替え、現在、苗の高さは150cm程度までに成長しました。苗が順調に成長したことから、苗の取り扱いについて、エバヤマザクラの所有者である広島市と、同校及び当社の3者で協議のうえ、苗を里帰りさせることにいたしました。

  今回の記念植樹は、同校に2本、また広島市中区江波地区の公園に6本が植樹されます。
  また、本年3月には、東日本大震災の被災地であり、同校と同じSSH指定校である福島県立磐城高等学校と会津学鳳高等学校の2校に寄贈し、植樹式を実施する予定です。


エバヤマザクラ(広島市江波山気象館提供)

  これまでにも当社は、東日本大震災の被災地において「奇跡の一本松」、「希望の芝プロジェクト」等のバイオテクノロジーによる技術提供や、自然素材である「木」を活かした災害復興住宅の建設、教育施設や工業施設等の中大規模建築物の木造化・木質化の普及を通じて、復興支援に努めてまいりました。
  この度の桜が結んでくれた縁が3校の交流だけでなく、広島や福島の皆さまの笑顔の一助となり、科学の更なる発展と、未来へつながる安心・安全な暮らしを考える機会になることを期待しています。

※SSH:文部科学省により、将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目的とし、理数系教育に重点を置いた研究開発を行う高校を指定、支援する制度で、2002年より実施されている。広島大学附属高等学校は、2003年に初めて指定され、2012年度から第3期目の指定を受けている。

【参考資料】

■エバヤマザクラについて

  • ・ヤマザクラの突然変異種と想定され、樹形は、根本から幹が二つに分かれており、大きい方のサイズは樹高約14m。
  • ・推定樹齢約180年
  • ・江波山は、かつて広島湾に浮かぶ小島で、広島城下に入る海路を取り締まる番所が置かれていたが、明治になり、干拓によって太田川デルタと陸続きとなった。1898年8月、広島市により江波山公園が設置されたが、このヤマザクラは、その時かあるいはその後の公園整備の中で、公園地内に植栽された可能性が高い。
  • ・山桜の一種だが、通常の山桜の花びらは5枚なのに対し、エバヤマザクラの花びらは5枚から13枚と多様で、京都の桜守であり園芸の専門家である第16代佐野藤右衛門氏により他に類のない珍しいサクラとして「ヒロシマ エバヤマザクラ」と命名された。


生徒(当時)たちによる実験風景

■組織培養技術の流れ

  • 1)エバヤマザクラから冬芽を採取し、その中から芽の先端組織(茎頂部)だけを摘出する。
  • 2)茎頂部をエバヤマザクラ用に開発した培養液の中で培養し大量の芽(多芽体)を生産する。
  • 3)多芽体を固体培地(培養液を固形剤で固めたもの)に移植し、芽(シュート)を伸長させる。
  • 4)伸長した大量の芽を1本ずつ切り分け、発根を促す培養液を添加した人工培養土に移植すると、2週間程度で発根が認められ、完全な植物体が再生される。
  • 5)低温処理を2週間程度施した後、外の条件に慣らすため人工気象室内で育苗する(順化処理)。
  • 6)生徒たちが、全ての結果から、住友林業筑波研究所の指導・助言を受けながら、考察と結論を導き出した。


日本植物生理学会年会
高校生生物研究発表会
「最優秀賞」表彰状

■本研究による受賞歴 (広島大学附属高等学校)

  • ・2012年11月 「第56回広島県科学賞」において、『準特選』を受賞
  • ・2013年 3月 岡山で開催された「第54回 日本植物生理学会年会」の高校生研究発表会において、『最優秀賞』を受賞

■広島大学附属高等学校について

広島大学附属高等学校は、明治38年に広島高等師範学校附属中学校として創立され、平成27年4月に創立110周年を迎えました。国立大学の附属学校として,わが国の中等教育に関する教育研究を行う研究校としての使命をもち、国の拠点校・地域のモデル校であることが求められている学校です。平成15年度からは現在まで3期にわたってスーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、理数系教育に重点を置いたカリキュラム開発等に取り組んでいます。

■樹木の組織培養技術に関するお問い合わせ

住友林業株式会社 森林・緑化研究センター
WEBサイトURL:http://sfc.jp/flrc/

当センターは、同社が行う山林事業や緑化事業、また事業を通じた環境保全の取組みなど、これまで培ってきたノウハウを結集し、官公庁や民間企業・団体をはじめとする、あらゆるステークホルダーに幅広くサービスを提供することを目的として、2014年4月に設立。
  最先端技術を使った森林経営のサポート、生物多様性に配慮した植栽計画の提案、重要文化財の庭園保全、そして名木・貴重木の苗木増殖やDNAによる品種識別などのご相談に各分野の専門家が対応します。

以上

《本件に関するお問い合わせ先》
住友林業株式会社
コーポレート・コミュニケーション室 大西・佐藤
TEL:03-3214-2270

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