CSR情報

海外における森林管理

海外における森林管理

住友林業グループは、「産業植林」「環境植林」「社会林業」の3つのアプローチで植林事業を展開しています。木材を生産し、植林木の原材料供給を増やすことを目的とした「産業植林」では、管理する土地を適切にゾーニング(区分)することで、貴重な生態系の保全と植林事業による地域社会の発展を両立する事業を目指しています。

さらに、環境保全のための緑化を目的とした「環境植林」も実施しています。そのままでは森林の成立が難しい土地で積極的に植林することで、森林面積の拡大や森林が持つ生態系サービスの機能発揮による環境保全への貢献を目指しています。また、周辺地域住民の協力を得ながら、地域社会にも植林による経済効果がもたらされる「社会林業」にも取り組んでいます。

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インドネシア西カリマンタン州における植林事業(産業植林)

住友林業は、インドネシアの山林経営・合板製造会社のアラス・クスマグループと共同で、インドネシア環境林業省から「産業植林木材林産物利用事業許可」の発行を受けて2010年から大規模な植林事業を展開しています。本事業の植林対象地は、違法な森林伐採や焼畑が繰り返され、さらなる森林の荒廃が危惧されているエリアです。このような土地では、劣化して生産性が低い森林は植林地として積極的に利用し、一方で保護価値の高い森林は責任を持って保全し、また、事業を通じて地域住民に経済的な基盤を提供することで更なる森林の劣化を防ぐことが重要と考えています。

本植林事業では、土壌や水分の条件などの環境因子の違いを考慮し、立地ごとに適した多樹種を植林することを目指します。また、第三者による最新の知見に基づいた調査とモニタリングを実施し、継続的に施業の改善を行っています。人手のかかる植林、育林、伐採作業は、雇用を生み出す点で地域社会に大きく貢献しています。

  • ※ インドネシア政府から発行される、同国において産業植林を行うための事業許可。60~100年間の植林事業が可能となります

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アラス・クスマグループとの植林プロジェクト
アラス・クスマグループとの植林プロジェクト
2012年 ・世界銀行のグループ機関であるIFC(International Finance Corporation:国際金融公社)とアドバイザリー契約を締結。近年重要視されている「保護価値の高い森林(High Conservation Value Forests:HCVF)」の考え方に沿って、IFCと共同で事業地内の調査を実施し、事業地の土地利用計画が適切に実施されているか、また生物多様性や地域住民の生活への配慮が十分であるかなどについて調査した。調査報告書は第三者機関による査読も受けており、これらのステークホルダーからの貴重なコメントは事業計画に反映された。
2013年 ・ステークホルダー(地域住民、周辺の企業、学識者、NGO、政府関係者)を招き、調査の内容と結果を共有するための公聴会を開催。
・インドネシア林業省が定めた持続可能な森林管理証である、PHPL認証(Sertifikat Pengelolaan Hutan Produksi Lestari)を取得。
2015年 ・植林木の伐採開始に先立ち、ステークホルダーを招き、公聴会を開催した。事業内容や推進する環境社会への配慮について理解を深める場とし、また、森林火災予防へのステークホルダーの積極的な協力を求めた。出席者からはポジティブな発言が相次ぎ、得られたコメントは事業計画策定の検討材料とした。
2016年 ・本事業を泥炭地における植林事業のモデルケースとするため、インドネシア環境林業省の持続的森林経営総局とモデル事業化のMOU(基本合意書)を締結。期間は5年間。環境林業省と合同のタスクフォースチームを組織し、活動項目についての承認を得た。
・泥炭復興庁長官が現地を訪問し、泥炭管理技術を視察した。データに裏付けされた地下水位コントロール技術や最新の取り組みを高く評価され、長官自らがインドネシアにおける良き事例となると公の場で紹介した。
  • ※ 森林の価値を考える際に、温室効果ガスの吸収源としての価値にとどまらず、絶滅の恐れがある希少な動植物の生息地であることや、水源の確保、土壌侵食抑制など自然の基本的なサービスを提供していること、地域住民の生活や文化に関係の深い土地であることなど、森林の持つ多面的な価値をひとつひとつ客観的に抽出する方法です。

泥炭湿地林の保全

従来、泥炭湿地での植林は、多くの排水路をつくることで土地を乾燥させ、植林を行っていました。しかし、土地を乾燥させると、泥炭土壌中の有機物が分解され、温室効果ガスが放出されることで地球温暖化を促進します。また、乾いた泥炭は一度燃えると消火が難しく、大規模な森林火災にもつながってきました。火災を防ぐためには土を常に湿った状態にしておく必要がありますが、そのためには適切な水位管理によって地下水位を年中一定に保つことが大変重要です。そこで植林計画の立案にあたっては、精緻な測量や調査を行い、その結果にもとづいて、(1)水辺林や希少価値の高い保護すべき森林、保護ゾーンと植林ゾーンとの間には(2)緩衝帯を設定のうえ、(3)植林ゾーンを最終的に決定しています。植林ゾーンでは、丸太搬出、水位調整、防火帯としての機能を持つ水路を造成し、一方で水路と河川を直結させないことで河川の影響を受けずに泥炭湿地の水位を常に一定に保つことが可能となりました。地下水位を一定に保つことで森林火災を防ぎ、また、泥炭の分解を最小限にとどめ、温室効果ガスの放出を抑えています。

  • ※ 泥炭湿地を特徴づける泥炭土壌は、不適切な開発が行われると、大気中に温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)を大量に放出することが知られています。当プロジェクトでは、日本やインドネシアの学術機関との共同研究によって、開発による泥炭の分解とそれに伴う温室効果ガスの放出を最小限に抑える配慮を行っています。
植林方法の模式図

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海外での森づくりコンサルタント事業

森づくりに対する企業のニーズは多様化しています。近年は、事業を展開する海外の国や地域の森林への影響を緩和するために、また企業の社会的責任を果たすために、途上国での森林保全活動や植林活動を実施する企業も少なくありません。

住友林業は、国内外の森林経営で培ったノウハウを活かし、熱帯地域での荒廃地の修復、生物多様性の回復、地域社会との共生に配慮した植林・森林保全など、企業や団体へのコンサルタント事業を行っています。

今後は、地元政府や関係機関と連携した既存プロジェクトの価値向上や、森づくり・農業生産を通じた地域経済に貢献する持続的なプロジェクト、REDD+をはじめとする新たなしくみの提案などを推進していく計画です。

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三井住友海上火災保険株式会社のパリヤン野生動物保護林修復再生事業(環境植林・社会林業)

三井住友海上火災保険株式会社は2005年から、インドネシアのパリヤン野生動物保護林(ジョグジャカルタ特別州グヌンキドゥル県)の荒廃した森林の修復に取り組んでおり、住友林業はこのコンサルティングを行っています。

第1期の活動として2011年3月までに350ヘクタールの土地に約30万本の植林を完了しました。第2期の活動として2011年4月からは、「豊かな森林を地元住民が自主的に保護していくしくみづくり」を目標に、地域住民の生計向上のための農業指導プログラムや、地元関係者とともに保護林の管理方法を検討する組織の設置、地元の学校と連携した環境教育プログラムなどを支援してきました。第3期の活動として2016年4月からは「保護林内の木の少ない場所での追加植林」と「保護林周辺での地域住民による社会植林」を支援しています。

また、この事業では、植林地や研修センターなどの関連施設を開放し、森林修復のノウハウや経験を積極的に公開しており、地元の小中学生や、森林、環境、教育分野などの研究をしているインドネシア国内外の学生や専門家、多くの政府関係者も訪問しています。

農業指導プログラムでのトウガラシ栽培

農業指導プログラムでのトウガラシ栽培

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環境プログラム無償資金協力 インドネシア「森林保全計画」に係る技術支援(住民参加型植林)コンサルタント業務(環境植林・社会林業)

一般財団法人日本国際協力システムは2015年から5年間、インドネシアのマヌペウ タナダル ライワンギ ワンガメティ国立公園(東ヌサ トゥンガラ州)、ブロモ トゥンガル スメル国立公園(東ジャワ州)、グヌン チルメイ国立公園(西ジャワ州)で住民参加型植林に取り組んでおり、住友林業はこのコンサルタントを行なっています。2015、2016年度は植林を実施し、2017年度からは草刈りによるメンテナンス、パトロールや住民環境教育による防火対策を実施しています。この事業では各地の地域住民と共に植林活動をする事により、引き渡し後も住民による森林管理が継続される事を目標としています。

マヌペウ国立公園で、苗木を苗畑から植林地に運び出している作業

マヌペウ国立公園で、苗木を苗畑から植林地に運び出している作業

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今後に向けて

住友林業はこれまでの経験・技術・ノウハウをグローバルに展開して、環境や社会と共生できる森林管理を実践しています。今後も各国の行政・学術機関と連携を深めながら、高精度な施業計画管理システムに基づき、植林地の価値を最大化することを目指します。

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