CSR情報

国内における森林経営

社有林管理を通じた森林資源の維持・拡大

社有林の分布・面積(2016年3月末現在)
高知県宿毛市の民有林

住友林業は、国内に総面積46,443ヘクタール(国土面積の約900分の1)の社有林を保有しています。社有林は、木材生産を重視する「経済林」と環境保全を重視する「環境林」に区分しています。
当社では2006年に、日本独自の森林認証制度であるSGEC※1の森林認証を全社有林※2で取得し、生物多様性の保全などを含め、社有林が適正に管理されていることを第三者から評価されています。
施業においては、森林資源の維持・拡大を図るために、生態系など周辺の環境に配慮しつつ適正に間伐を実施しています。また、「適地・適木・適施業」を旨とした施業計画のもと、生産性の高い社有林経営をめざしています。

  • ※1 「緑の循環」認証会議。持続可能な森林経営が行われていることを第三者機関が証明する日本独自の森林認証制度。生物多様性の保全や、土壌および水資源の保全と維持など7つの基準に基づいて審査されます。
  • ※2 当社社有林のうち、グループ会社でゴルフ場を経営している河之北開発株式会社への賃貸地は除きます。

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国内での森づくりコンサルタント事業

住友林業は、社有林経営で培ったノウハウを活用し、国内の山林経営に関するコンサルティングビジネスを展開することで、国内林業の振興に貢献しています。

京都府京丹波町でのコンサルティング

住友林業は、2014年度に京都府京丹波町から「森林資源量解析システム(以下、本システム)」の構築業務を受託しており、2016年3月末より本システムが稼動することとなりました。
本システムでは、航空写真とレーザ測量※1を組み合わせた航空測量技術を用いることで、精度の高い森林資源情報(樹種、樹高、立木本数、蓄積量等)を取得しました。それらのデータを分析・活用して森林の資源量を的確に把握し、適正な森林管理の実行につなげることを目指します。
また、本システムでは、精度の高い森林資源情報を解析・整備するだけでなく、レーザ測量によって取得した詳細な地形データも実務利用可能な画像形式に調製しています。さらに、間伐等の施業地において森林作業道の開設の自動設計シミュレーションを行うことができるアプリケーションの搭載など、森林管理の効率化・高度化を図る複数の機能を備えています。これにより、実効性の高い伐採計画や林道開設計画の立案・実施に寄与すると期待されています。
当社は、こうしたコンサルティング活動を通じて、森林資源の効率的・効果的な管理・活用、地域の森林・林業の活性化をめざす行政の取り組みを支援していきます。

  • ※1 レーザ測量:航空機に搭載したレーザスキャナから地上にレーザ光を照射し、地上から反射するレーザ光との時間差より得られる地上までの距離と、GPS 測量機、IMU(慣性計測装置)から得られる航空機の位置情報より、地上の標高や森林の状況を精密に調べる測量方法。
航空レーザ測量

航空レーザ測量

林相区分図

林相区分図

FRDデモ画像

FRDデモ画像

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奈良県十津川村でのコンサルティング

奈良県十津川村は、総面積の96%にあたる64,000ヘクタールもの森林を有していますが、中山間地の典型である奥山立地で急斜面が多いことなどから、路網整備が難しく、豊富な森林資源を十分に活用できていませんでした。そのため同村では、行政と森林組合の連携のもと、「林業および木材産業を6次産業化※1する」というビジョンを掲げ、木材加工流通拠点の整備などを進めてきました。
住友林業は、2011年度から同村で森林資源を活用した経済活性のためのコンサルティングを行っています。2015年度は、十津川村の6次産業化を加速させるため、主に3つの事業に取り組みました。
ひとつ目は、2011年度に策定された、「十津川村森林基本計画」の見直しです。計画を策定した後、実行面での支援を行う中で生じたいくつかの問題点について見直しを行うにあたり、村内の全森林所有者にアンケートを実施しました。その結果を元に、村内外の主な林業関係者と会議を行い、より現実性の高い計画への改善を図っています。
2つ目は、作業道開設の支援です。村内の素材生産量を増加させるためには、大きくて壊れにくい作業道の開設が不可欠です。しかし、急傾斜地の多い村内では、これまで幅員の大きな作業道は定着しませんでした。そのため当社は、2013年度から村有林内に継続して開設している、比較的安価で壊れにくい作業道開設のコンサルティングを行い、一年間で880メートル延長できました。
3つ目は、森林組合の製材工場経営改善支援です。十津川村には、十津川村森林組合が運営する木材加工流通センターという製材工場があります。村内の林業および木材産業の6次産業化加速のためには、製材工場経営の立て直しが急務でした。当社は、森林組合職員とともに、棚卸管理マニュアル、総合原価管理マニュアル、品目別原価管理マニュアル、在庫管理マニュアルなどを作成し、工場経営の管理手法を確立しました。

急傾斜地での路網開設

急傾斜地での路網開設

タワーヤーダ集材の現地検討会

タワーヤーダ集材の現地検討会

  • ※1 農業、林業など1次産業の事業者が、加工・製造など2次産業、流通・販売など3次産業も合わせて展開すること。

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ツリーシェルターを利用した低密度造林

近年、シカによる苗木の食害が問題となっています。住友林業では、苗木をプラスチック素材のチューブで覆うことで鹿から苗木を守るツリーシェルターを使用する、低密度造林という新しい林業形態を提案しています。ツリーシェルターを利用した造林は、シカを生息域から排除せずに食害を防ぐことができるため、従来の対策方法に比べ、同じ木材生産を見込んだ場合でも面積あたりの植栽本数を抑えることが可能です。除伐、間伐などにおける施業の省力化が期待できます。
住友林業フォレストサービス株式会社では、2013年度から、住友林業やハイトカルチャ株式会社と共同開発したツリーシェルター「ハイトシェルターS」を販売しています。住友林業フォレストサービス株式会社の原木仕入先やシカ食害に悩む森林組合などへ製品導入の提案を進めており、2015年度は86,000本を販売しました。
また、需要者のニーズに応え、従来の樹脂被覆鋼管製の支柱に加え、木製支柱を開発しました。これを利用することにより、成林時のシェルター撤去作業が軽減できるとともに、木質資源の有効活用はもちろん、地域の林業・木材製造業の発展が期待できます。2016年度は120,000本以上の販売をめざしており、林業の省力化および地方創生に貢献していきます。

高知県宿毛市の民有林に採用されたツリーシェルター

高知県宿毛市の民有林に採用されたツリーシェルター

住友林業株式会社岐阜樹木育苗センターを開設

住友林業は、2015年3月に岐阜県と「岐阜県苗木供給体制整備事業に関する事業協定書」を締結しました。協定に基づき、2016年度に施設整備を行い「住友林業株式会社岐阜樹木育苗センター」を開設し、日本でも数少ない大規模生産による実生苗生産を行います。

発芽して間もないスギの苗

発芽して間もないスギの苗

岡山県真庭市での「里山真庭の森林(もり)づくり推進事業」への参画

住友林業は、2015年7月に岡山県真庭市が取り組む「里山真庭の森林づくり推進事業」の事業者として選定され、持続可能な森林利用を可能とする「森林・林業マスタープラン」の策定作業を行っています。
日本全国、特に中山間地域※1の市町村における地方創生には、林業の活性化による地域経済の発展や雇用の創出が重要であるといわれています。
「里山真庭の森づくり推進事業」では、真庭市に約5,700ヘクタールのモデル地域を設定し、航空測量により森林資源量を把握し、それぞれの林分※2の特性に応じたゾーニングや育林指針、これらに基づく伐採計画や林道計画、そして獣害対策からなる「森林・林業マスタープラン」を作成しました。さらに当社が所有するタワーヤーダにより一部の人工林の伐採・搬出作業を行い、コストや生産性の分析を実施しました。
当社は本事業を通して、同市の拡大する木材需要に対する供給力の向上、そして森林整備、林業振興および環境保全をバランスよく推進する森林経営の実現に寄与することを目指します。

  • ※1 平地から山間地にかけての、傾斜地が多い地域。
  • ※2 森林を樹種・林齢・施業の状況により区分したもの。
タワーヤーダ

タワーヤーダ

ワークショップ

ワークショップ

真庭市ゾーニング

真庭市ゾーニング

樹木種子の発芽率を飛躍的に向上させる選別技術を開発

住友林業は、2015年6月、九州大学、国立研究開発法人森林総合研究所と共同で、近赤外光を用いた種子選別技術を開発しました。
戦後、国の施策により大規模に植林された人工林が伐採適期を迎え、伐採後の再造林を行うために大量の苗木が必要となります。一方、苗木の生産現場では、従事者の減少と高齢化が進んでおり、苗木の安定供給が全国的に難しい状況となっています。現在、苗木生産の効率化を図るためコンテナ苗生産が全国的に進められていますが、国内で植栽される、スギ、ヒノキ、カラマツはいずれも種子の発芽率が低く、生産効率化を進め大量生産を実現する上での課題でした。
本技術により、主要な造林樹種において発芽可能な種子を高い精度で選別し、苗木生産の効率化、コスト低減が可能になることから、林業の持続的な発展に貢献すると期待されています。

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