「継続可能な美」-Tさまが何度も口にされた言葉です。飾り立てるのではなく、素材やデザインを吟味しながら、いつまでも飽きの来ないシンプルなものにすること。たくさんの思い出の品や京都ならではの伝統技能や素材を活かしながら、コーディネートプランを立てていきました。
Tさまは、新しい住まいに飾りたいと考えられている物をたくさんお持ちでした。「小さなギャラリー」というイメージを持たれていたのではないかと思います。思い出の品物や今まで使われて来たものをどう活かすか、それを考えていきました。
リビングに思い出の品物を飾る棚を設けました。バックにはビードロガラスを使って、小物が引き立つようにしています。棚の下には飾りきれない物が収納できます。
ご夫婦で長くスイスに滞在されていたTさま。帰国前にスイスのご友人から受け取った記念の鋳物プレートは大切な品です。みんなが集まるストーブのそばに飾りました。
Tさまの同級生で漆芸作家として活躍されているご友人の作品を、エントランスの壁に取りつけました。大きさに合わせてドアの位置をずらしスペースを確保しています。
庭のしだれ桜は毎年美しい花をつけて楽しませてくれます。それを同じ場所に残しました。眺めを楽しむためにソファは座りやすく、また視線が通る背の低い物を選びました。
床材や襖紙など、この街ならではの伝統や風土に見合ったものを取り入れ、そのクオリティを楽しみたいというご要望でした。町並みのことも真剣に考えられ、そのために庭はほとんどそのままに残されています。
「京唐紙」をぜひ使いたいというお話がありじっくりと選びました。朝の光、昼間の光、そして夜の灯り--時間によって表情が微妙に変化します。
和室は海外からのお客さまも滞在される予定です。襖の引き手金物の選択にも時間をかけ、日本の伝統美を味わっていただけるようにしました。
留守中にご主人宛に来る手紙の量が非常に多いというお話があり、どこに何を入れるかという具体的な検討をしました。また、奥さまは通訳の仕事をされており、1000本近いカセットテープをお持ちです。そのボリュームに合わせて収納家具をつくることにしました。
大学で教壇にも立つ奥さま。書斎に収納スペースを確保して、たくさんの資料や書籍を、すっきりと収めました。
カセットテープの大きさに合わせて引き出しのサイズを決定。1000本近いテープのケースを整然と収めました。
庭のサクラの木は元の位置に残し、室内からもお花見が楽しめるように大きな開口部を設けています。その視界を遮らないようにソファを選びました。
リビングは勾配天井の落ち着いた空間です。間接照明をメインにして部屋全体をやわらかな光で包みました。
海外からのお客さまの宿泊にも使う和室の外には、和風の庭をしつらえ、水の音も響かせて日本ならではの風情を味わっていただけるようにしています。
ゆったりと確保された玄関ホール。ご友人の作品を飾られるなど、ギャラリースペースとしても楽しまれています。
照明を組み込んだリビングのギャラリースペース。たくさんの調度品をお持ちなので、下部を収納にあて、上のカウンターに飾るものを収められるようにしました。
リビングへの導入路となる曲線の壁に、ステンドグラスを設けました。デザインは玄関ホールに飾ったご友人の漆芸作家の絵をモチーフにしています。