会社を経営されているNさまは、ご夫婦とお子さま2人の4人家族。ご主人はお忙しく、毎日のように、全国を飛び回っていらっしゃいます。求められていたのは、その日の疲れを癒やし、休日はのんびりとご家族で過ごせる、大きなやすらぎのある住まいでした。
設計担当者がお客さまのご要望に応えてつくりあげようとしている空間のコンセプトを早い時点で共有し、打ち合わせを綿密に行いながら、それをインテリアとして具体化するアイデアを考えていきます。
空間を演出する梁の伸びやかな直線との一体感を意識して、カーテンではなくウッドブラインドをご提案しました。
たたみ上げたブラインドはできるだけ壁の中に納まるように、設計担当と打ち合わせを重ねました。羽の角度を変えることで室内に入る光が簡単に調整できる点も、ブラインドの魅力です。
窓際の天井部には間接照明も組み込んでいます。梁と天井とブラインドを収納するボックスについて、ラフな納まり図を描いて設計担当、工事担当と細かく打ち合わせをしました。
設計が意図する梁のラインが美しい天井を実現するため、照明器具が目立ち過ぎたり、天井にダウンライトの丸い形が出ることはできるだけ避けたいと思い、梁に沿ってダクトレールを設置し、そこにスポットライトを取り付けることにしました。
家具も照明も窓まわりの装いも、美しさだけでは選択できません。お客さまのお好みはもちろん、機能性やメンテナンス性などにも配慮して選びます。
スモークオークの床、米ツガの梁というツートーンの空間に合わせて、ダイニングチェアもウォルナットとナラのコンビネーションのものを選びました。キッチンカウンターやTVボードも、このデザインに合わせて製作しています。
ダイニングチェアは、背もたれ上部の笠木から床まで一本で通った前脚が美しいシルエット。デザインだけでなく機能的にも安定感のある座り心地にご満足いただき、採用となりました。
お客さまのご要望に、ただ「はい」とお返事をするのはやさしいことです。しかし、お客さま自身が気付かれていないことや、より空間にふさわしいと思えるものもあります。打ち合わせの中でしっかりと信頼を得て、時には思い切ったご提案をするのもインテリア担当の大切な仕事です。
ソファは背の高いご主人がくつろげるように、座面が低く奥行き・幅もゆったりとした“カウチタイプ”を選びました。また、このタイプのソファでは、センターテーブルは使いにくいので、サイドテーブルを2つ用意しました。
奥さまのために、包み込まれるような座り心地で、回転し立ち座りがしやすいパーソナルチェアを用意しました。パーソナルチェアといえばご主人さま用という印象がありますが、奥さまにも楽しんでいただきたいと思い、張り地には奥さまのお好きなオレンジ色をご提案しました。
リビングの入り口側の壁には、ドアの高さにそろえて付け鴨居がまわっています。機能上必要なものではありませんが、設計担当と打ち合わせをしながら、天井の梁やウッドブラインドとともに水平のラインを強調し空間を引き締めるものとして採用しています。
玄関の土間のグレーのタイルや杉無垢を使った天井材と格子の引き戸。色使いとすっきりとしたラインが和の美しい世界をつくります。
玄関正面に配置された坪庭。植栽が四季折々の表情で訪れる人を迎えます。玄関横の打ち合わせスペース側にも大きな窓が設けられ、眺めを楽しめるようにしています。
TVボードやソファ、ダイニングテーブル、そしてキッチンなど、家具はすべて梁に平行に置くことをご提案しました。インテリアと天井のラインがそろい、空間がいっそうきれいに見えます。
住まいに求められていたやすらぎを、木質感豊かなスモークオークの床に合い、使い心地のよい家具を選ぶことでつくりあげました。
のびやかに通った梁と大きな掃き出し窓の横のラインが直交し、どこから見ても水平ラインが美しい空間です。それに溶け込むようなインテリアをご提案していました。
来客用のトイレは、明るすぎない落ち着いた雰囲気に。やわらかい間接照明が、タイルと壁の表情を浮かび上がらせます。