20年前に購入され、いずれは家を建てて移り住もうと考えられていた緑豊かな土地がありました。ご子息のご家庭にお孫さんが生まれたことをきっかけに、週末に二世帯で賑やかに集い、別荘のように非日常の時間を楽しむ住まいを計画されました。
敷地にはまず自分の足で立ち、周囲の景色や日の当たり方、風の通り方などを自分の体感として把握します。その上で、ご家族のお好み、どんな暮らしをされたいと思っているか、などについてヒアリングを重ね、それを敷地の状況とリンクさせながらプランニングのアウトラインをつくりあげていきます。
ご購入から20年を経た敷地には、豊かに育った雑木林の庭がありました。この緑を存分に楽しめる家にすることが設計の大きなテーマでした。
木々の足下には大きな庭石も配置されていました。庭木とともにこれらの石も最大限残しながらどこに建物を配置すべきかを検討しました。
ご家族は、庭の緑を楽しみながら静かに読書をされたり、音楽を楽しまれたり、お孫さんと賑やかに過ごされることを、新しい家に期待されていました。
具体的なお打ち合わせのスタートあたって、私は設計の「軸」となるコンセプトをご家族と共有することを心掛けています。設計のお打ち合わせではいろいろな判断や選択が必要になります。その時に「何を大切にしていくか」という軸が明確になっていれば、それが行いやすくなるからです。
リビングだけでなく、ダイニングとキッチンにも庭に向かって大きな開口部を設け、住まいのどこからでも緑を楽しめるようにしました。
2階にも庭を楽しみながら読書ができるファミリースペースを設けました。天井にも木を張り、ナチュラルな雰囲気の下で憩う場所にしています。
玄関ホールからLDKに向う廊下の正面に一枚ガラスの大きな窓を設け、窓枠の存在を目立たせないように納めました。家族やお客さまを、まず庭の緑が迎えます。
住宅のデザインには、洋風のものや伝統的な和風のものなど、さまざまなテイストがあります。どのようなご要望にもしっかりとお応えできるのが住友林業の設計担当だと思います。デザインのテイストがどのようなものであれ、最も美しいものをご提案することができるよう細部に至るまで突き詰めて考えていくようにしています。
チークの床、色の自然な濃淡が美しい天井のウエスタンレッドシダーや壁のタイルなど個性的な素材を使いながら、落ち着きのある空間をつくりました。
L字型につながるリビングとダイニングのコーナー部を吹抜けの階段にして、お手持ちのグランドピアノを置きました。1階の中心となるスペースです。
お手持ちのグラスや陶器のコレクションを飾るキャビネットをダイニングの一角に造り付けました。内部に組み込んだ照明が、コレクションを引き立てます。
緑豊かな敷地に、シンプルな白い箱を置いたイメージの外観です。建物を道路に対して斜めに配置しているので、道路側からリビングやダイニングの窓は見えません。
タイルの壁が玄関の人の出入りをさりげなく隠します。アプローチの足下を植栽で彩りました。
一直線につなげたダイニングとキッチン。二面の大きな開口部で庭の緑を楽しみます。床はチークで仕上げました。
庭をL字型に囲む建物。濡れ縁に腰掛ければ、さらに身近に庭を楽しむことができます。
北側にも和室を設けました。窓の位置を工夫し、近隣からの視線を気にせずに、四季折々の植栽の姿を眺めることができるようにしました。
2階のファミリースペースには庭に向かってカウンターを設けました。北欧製のかわいいペンダントが空間を引き立てます。
リビングの壁に焼成時の自然な発色を活かしたレンガタイルを使いました。窓の外に広がる庭の緑とともに、インテリアを質感豊かに彩ります。
暖炉型のストーブが“山の家”らしい素朴であたたかな雰囲気をつくります。