その担い手たちの横顔 Designers File

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林 真弓 建築士

お客さまらしい住まいを

住宅の設計は公共の建物や商業施設などと異なりただそのお客さまだけのためにつくりあげていくものです。責任は重く難しい仕事ですが、やりがいもあります。お客さまと、ときには昔からの知り合いのようにお話しをしながら、本当にそのお客さまに似合う住まいとはどんなものなのかその家で始まる新しい暮らしを思いながらお客さまらしい、世界にひとつしかない住まいを考えていきます。

Work style

  • 決めつけず、つくり込みすぎない
  • 暮らしとともに展開する情景をイメージする
  • 設計担当者が私であることの意味を考える

Design

最近の設計実例から

大阪府 Uさま邸

「新築であってもずっとそこに建っているような雰囲気があり、室内も長く暮らしてきたような親しみを感じる家に」というご要望をいただきました。素敵なライフスタイルと暮らす力をお持ちのご夫婦に、存分に楽しんでいただける住まいを考えていきました。

決めつけず、つくり込みすぎない

住宅はそのお客さまだけのものです。他の誰のものでもありません――当たり前のことですが、私はその原点を大切にしたいと考えています。そして、住む人のための、住む人に似合う設計になっているかどうかを考えます。

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「玄関ドアを開けたらすぐリビングでいい」というお話があり、独立した玄関ホールは設けていません。土間空間の壁に自転車をハンギングしたり、リビング側に木製のパーティションを追加されたり、お二人のアイデアでお二人らしい住まいになりました。

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ご夫婦がいろいろ工夫して楽しく毎日を過ごしていただけるように、明るく、ぬくもりのある吹き抜けの大きな“箱”を用意しました。床はビンテージ加工を施したオークです。

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吹き抜けに面した2階の階段ホールは、いろいろな使い方ができるようフリースペースとして広く取りました。1階の気配が伝わり、上と下で会話もできる場所です。

暮らしとともに展開する情景をイメージする

私は平面図があまり好きではありません。設計を考えるときは、ご家族の動きを想定しながら、ここで何が見え、そこから進んだときにどんな情景に切り替わっていくか、空間の中で風景がどう展開していくかを想像しながらイメージをつくり、それを平面図にまとめるようにしています。

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玄関を入ると、目の前に高い窓から光が注ぐ大空間が広がり、その一角でお二人がくつろいでいる――そんなシーンを思い浮かべながら吹き抜けのリビングをつくりました。

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リビングに進むと木の天井が広がり、その下にダイニング、そしてキッチンがみえてきます。リビングのソファとキッチンに分かれていても会話が弾みます。

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2階のホールから見下ろした1階。この住まいは、寝室と水回りにしかドアがありません。いつでもどこにいてもお互いの姿や気配を近くに感じることができます。

設計担当者が私であることの意味を考える

私だからご提案できたことがあったろうか? 私のおすすめがお客さまにとって新しい発見になり、暮らしのイメージや夢を膨らませるお役に立つことができたろうか? 私はいつもそう振り返ります。私とお客さまとの出会いが、お互いにとって楽しく価値のあるものになったときに、いい設計が生まれと思うからです。

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この土地に決められた理由の一つは、2本の道路に接する角地であることでした。そこで玄関はあえてコーナーに設け、ドアも斜めに大きく構えました。

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1階の洗面スペースは現場で造作したオリジナルのデザインです。床と壁のタイルはご主人が選びました。ご一緒につくりあげた空間です。

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階段は本を手に取ってページをめくるベンチであり、観葉植物の鉢を置いたり、ハンギングしたりしてインテリアを彩るスペースにもなります。

Photo gallery

  • case1
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  • case6
  • case7
林 真弓 建築士

設計を終えて 土地探しのときから候補地にご一緒していたので、具体的なお打ち合わせに入る前からの長いお付き合いになりました。とても魅力的なパーソナリティをお持ちのご夫婦で年代が近かったこともあり、まるで友人同士のように親しくさせていただきました。竣工後にお訪ねしたとき、自転車が玄関にかっこよくハンギングされていたり、スチールの階段がグリーンを楽しむ場所になっていたり私の想像しなかったスタイルで住みこなしていらっしゃる様子を拝見してとても感激しました。これからもこの家で過ごす毎日をお楽しみください。

林 真弓 建築士 Mayumi Hayashi

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