その担い手たちの横顔 Designers File

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忠保 覚 建築士

まずその土地に立ち、シンプルに考える

私は、土地とご家族構成と、そしてどのような人柄の方なのか、その情報をもとに、まずプランを考えます。お客さまに喜んでいただけるものを設計することが私の仕事ですがだからといって、最初にご要望をお尋ねしすぎないことが、ご期待に応える道だと思っています。もちろんお客さまと徹底して話し合い、納得いただけるゴールを目指します。しかし、その対話をより実りあるものにするためにもまず私なりに考えたものを、見ていただきたいと思っています。

Work style

  • 土地とご家族構成で、まずプランをつくる
  • インテリアや外構も一体のものとして考える
  • 細部にいたるまで丁寧にデザインする

Design

最近の設計実例から

栃木県 Uさま邸

すでにお子さまは独立され、これからの時間をご夫婦で静かに過ごされる住まいへの建て替えでした。敷地の周辺は緑が豊かで、すぐ脇を緑道が走る素晴らしい環境です。Uさまご夫婦は、この環境を活かして四季を楽しみながらゆったりと過ごしたい、とお考えでした。

土地とご家族構成で、まずプランをつくる

お客さまのご要望を伺うことはとても大切ですが、私は、その細かい内容を伺う前に、この土地で、ご家族にどのような住まいが一番似合うのか、それを考えてまずご提案することから始めます。それはお客さまの、新たな気付きにつながることもあります。

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敷地は豊かな緑の中にあります。この眺望をどこまで住まいに取り入れることができるか、それが設計のテーマでした。また、それをより楽しんでいただけるように、生活の中心となるLDKは眺めのよい2階に配置しました。

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リビングよりもダイニングで過ごす時間が長いと伺い、ダイニングを2階の南側にゆったりとした広さで確保しました。造作工事でつくった収納キャビネットは、その後ろに位置するリビングとの間仕切りの役割を果たしています。

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リビングは、光の穏やかな北側に配置し、天井も低めにして落ち着いた空間にしました。また、こちら側にもよい眺めがあるので、それを楽しんでいただけるように大きな窓を設けています。

インテリアや外構も一体のものとして考える

「ここまでが設計の仕事で、後はインテリア担当や外構担当の領域だ」と切り分けて考えることはしません。窓の外にどんな景色が広がればよいか、それを引き立てるためにインテリアはどういう仕上がりであるべきか、それも考慮して設計していきます。

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窓辺に使ったのは、筒状の立体的な形を連続させたレースのシェードです。まるで日本の障子のように、美しい木の影を映し出します。

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そこからどんな景色が見えるか、常に外部の環境も意識しながら窓を設けていきます。階段ホールの外にも美しい緑の眺めが広がっているので、大きな窓を設けました。サッシの枠が眺めを妨げないように、壁全面を一枚のガラス窓にしています。

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夕暮れが近づくと室内の照明の存在感が増していきます。天井面をすっきりと見せるために、できるだけダウンライトの使用は避け、一本の溝を掘ってそこにスポットライトを配置しました。

細部にいたるまで丁寧にデザインする

無駄な線や凹凸などが出そうな時は、細部を検討して一つひとつ丁寧に納め、解決していきます。そうすることが、空間の心地良さを、より深く味わっていただけることにつながると思っています。

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シェードは立体的なつくりなので、左右に引き分けた時に厚みが出ます。そこですぐ横に位置する壁を、シェードを畳んだ時の幅と同じだけ室内側に張り出させ、その厚みが目立たないようにしました。

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北側にも美しい眺めが広がるので、高窓を設けました。窓の上のラインは天井の一番高いところに、左のラインも壁の一番端に重ねてすっきりさせ、外の景色だけを楽しんでいただけるようにしています。

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北の天井は、昼は窓から入る自然光によって、夕方以降は窓の下に設けられた間接照明の光を受けて、光のグラデーションをつくります。それを美しく映し出すように、天井をすっきりとした面として仕上げました。

Photo gallery

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忠保 覚 建築士

設計を終えて 初めて土地を見せていただいた時、周囲に広がる豊かな緑をいかに住まいに取り入れるかが設計の最大のポイントだと思いました。目の前に緑の眺めが広がり、穏やかに日が差し込む2階を中心にお二人のゆったりとした暮らしにふさわしい空間を細部に至るまで丁寧につくりあげていきました。この空間がUさまご夫婦の心からのくつろぎの場となれば、設計を担当したものとして、とても嬉しく思います。このような仕事の機会をくださったUさまご夫婦に、心から感謝しています。

忠保 覚 建築士 Satoru Tadayasu

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