海外における森林管理

基本的な考え方

東南アジア各国政府は天然林の保全維持強化のため、伐採・輸出規制に踏み切るなど、天然木の供給量が減少しています。また、SDGsなど持続可能な開発の機運が高まる中、環境配慮、安定供給の両面から、植林木や森林管理認証を取得した森林からの木材への転換が必要になっています。住友林業グループは、地域社会や生態系に配慮した植林事業を展開し、安定的かつ持続的に木材供給を可能にすると同時に、天然林の負荷低減に寄与します。

海外植林面積(面積単位:ha)

植林事業名 管理面積 社会林業による延べ植林面積 2018年
植林面積
2018年
伐採面積
インドネシア 産業植林 マヤンカラ・タナマン・インダストリ(MTI) 104,664 0 2,558 2,991
ワナ・スブル・レスタリ(WSL) 40,750 0 2,134 2,392
クタイ・ティンバー・インドネシア(KTI) 4,400 0 0 0
社会林業 クタイ・ティンバー・インドネシア(KTI) 0 6,144 0 0
コペラシ・セルバ・ウサハ・アラス・マンデリ(KAM KTI) 0 1,005 0 0
コペラシ・ブロモ・マンディリ KTI(KBM KTI) 0 460 0 0
リンバ・パーティクル・インドネシア(RPI)※1 0 637 0 0
その他※2 0 3,633 0 0
  小計 149,814 11,879 4,692 5,383
パプアニューギニア 産業植林 オープン・ベイ・ティンバー(OBT) 31,260 0 469 113
ニュージーランド 産業植林 タスマン・パイン・フォレスト(TPF)※3 36,360 0 668 753
合計 217,434 11,879 5,829 6,249

※1 RPIでは配布した苗木の本数を植林面積に換算。枯死が判明したものは伐採に含める

※2 インドネシアその他には、社会貢献型の環境植林や他社へのコンサルティング事業分を含む

※3 TPFの管理対象山林は、2016年6月に取得を完了

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海外における森林管理

住友林業グループは、「産業植林」「環境植林」「社会林業」の3つのアプローチで植林事業を展開しています。木材を生産し、植林木の原材料供給を増やすことを目的とした「産業植林」では、管理する土地を適切にゾーニング(区分)することで、貴重な生態系の保全と植林事業による地域社会の発展を両立する事業を目指しています。

さらに、環境保全を目的とした「環境植林」も実施しています。そのままでは森林の成立が難しい土地で積極的に植林することで、森林面積の拡大や森林が持つ生態系サービスの機能発揮による環境保全への貢献を目指しています。また、周辺地域住民の協力を得ながら、地域社会にも植林による経済効果がもたらされる「社会林業」にも取り組んでいます。

インドネシア西カリマンタン州における植林事業(産業植林)

住友林業は、インドネシアの山林経営・合板製造会社のアラス・クスマグループと共同で、インドネシア環境林業省から「産業植林木材林産物利用事業許可」の発行を受けて2010年から大規模な植林事業を展開しています。本事業の植林対象地は、1960年代から1990年代前半まで商業伐採が行われ、さらに違法な森林伐採や焼き畑が繰り返され、森林の荒廃化が進んでしまったエリアです。このような土地で、劣化して生産性が期待できない森林は植林地として積極的に利用し、一方で保護価値の高い森林は責任を持って保全し、また、事業を通じて地域住民に経済的な基盤を提供することでさらなる森林の劣化を防ぐことが重要と考えています。

本植林事業では、地形や土壌条件などの環境因子の違いを考慮し、立地ごとに適した管理で植林することを目指します。また、第三者による最新の知見に基づいた調査とモニタリングを実施し、継続的に施業の改善を行っています。人手のかかる植林、育林、伐採作業は、雇用を生み出す点で地域社会に大きく貢献しています。

※ インドネシア政府から発行される、同国において産業植林を行うための事業許可。60~100年間の植林事業が可能

植林プロジェクト
2012年
  • 世界銀行のグループ機関であるIFC(International Finance Corporation:国際金融公社)とアドバイザリー契約を締結。近年重要視されている「保護価値の高い森林(High Conservation Value Forests:HCVF)」の考え方に沿って、IFCと共同で事業地内の調査を実施し、事業地の土地利用計画が適切に実施されているか、また生物多様性や地域住民の生活への配慮が十分であるかなどについて調査した。調査報告書は第三者機関による査読も受けており、これらのステークホルダーからの貴重なコメントは事業計画に反映された。
2013年
  • ステークホルダー(地域住民、周辺の企業、学識者、NGO、政府関係者)を招き、調査の内容と結果を共有するための公聴会を開催。
  • インドネシア林業省が定めた持続可能な森林管理証である、PHPL認証(Sertifikat Pengelolaan Hutan Produksi Lestari)を取得。
2015年
  • 植林木の伐採開始に先立ち、ステークホルダーを招き、公聴会を開催した。事業内容や推進する環境社会への配慮について理解を深める場とし、また、森林火災予防へのステークホルダーの積極的な協力を求めた。出席者からはポジティブな発言が相次ぎ、得られたコメントは事業計画策定の検討材料とした。
2016年
  • 本事業や研究活動を通じて泥炭地における持続的な植林事業・泥炭管理手法のモデルを構築するため、インドネシア環境林業省との取り組みを進めてきた。
  • 泥炭復興庁長官が現地を訪問し、泥炭管理技術を視察した。データに裏付けされた地下水位コントロール技術や最新の取り組みを高く評価され、長官自らがインドネシアにおける良き事例となると国際的な場で紹介した。
2017年
  • 泥炭地を持続的に管理する独自の水位管理技術を検証し、インドネシアにおける泥炭地管理モデルを確立することを目的として、パイロット・プロジェクトのMOU(基本合意書)をインドネシア環境林業省(森林研究開発庁)と締結した。期間は5年間。プロジェクトは環境林業省及び泥炭復興庁と協力して実施する。
  • 先端的な優良泥炭管理事例として、インドネシア政府の要請を受けて2017年11月、ドイツ・ボンで開催された気候変動枠組条約締約国会議COP23において本事業の泥炭管理技術を紹介した。
2018年
  • 2018年にはIFCの協力を得て、「苦情処理メカニズム(Grievance mechanism)」を策定した。 また、インドネシア大学と共に、事業地及び周辺を対象とした3年計画の社会調査を開始した。
  • 2018年12月にポーランドで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議COP24において、泥炭管理技術を発表した。

※ 森林の価値を考える際に、温室効果ガスの吸収源としての価値にとどまらず、絶滅のおそれがある希少な動植物の生息地であることや、水源の確保、土壌浸食抑制など自然の基本的なサービスを提供していること、地域住民の生活や文化に関係の深い土地であることなど、森林の持つ多面的な価値を一つひとつ客観的に抽出する方法

 

泥炭湿地林の保全

従来、泥炭湿地での植林は、多くの排水路をつくることで土壌中の水を排出し、土地を乾燥させた上で植林を行っていました。しかし、土地を乾燥させると、泥炭土壌中の有機物が分解され、温室効果ガスが放出されることで地球温暖化を促進します。また、乾いた泥炭は一度燃えると消火が難しく、大規模な森林火災にもつながってきました。火災を防ぐためには土を常に湿った状態にしておく必要がありますが、そのためには適切な水位管理によって地下水位を年中一定に保つことが大変重要です。そこで植林計画の立案にあたっては、精緻な測量や調査を行い、その結果にもとづいて、(1)水辺林や希少価値の高い保護すべき森林、保護ゾーンと植林ゾーンとの間には(2)緩衝帯を設定のうえ、(3)植林ゾーンを最終的に決定しています。植林ゾーンでは、丸太搬出、水位調整、防火帯としての機能を持つ水路を造成し、一方で水路と河川を直結させないことで河川の影響を受けずに泥炭湿地の水位を常に一定に保つことが可能となりました。地下水位を一定に保つことで森林火災を防ぎ、また、泥炭の分解を最小限にとどめ、温室効果ガスの放出を抑えています。その成果は、関係省庁や大学などで発表し、一部は新しい政策にも導入されてきました。また、技術概要を積極的に公開することで、低環境負荷の技術の普及に努めています。さらに、開発してきた技術は大規模な火災跡地の修復にも応用できると期待されています。

※ 泥炭湿地を特徴づける泥炭土壌は、不適切な開発が行われると、大気中に温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)を大量に放出することが知られている。当プロジェクトでは、日本やインドネシアの学術機関との共同研究によって、開発による泥炭の分解とそれに伴う温室効果ガスの放出を最小限に抑える配慮を行っている

綿密なデータに基づいて設計された植林事業地

綿密なデータに基づいて設計された植林事業地

泥炭地水位のモニタリング

泥炭地水位のモニタリング

植林方法の模式図

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