住友林業グループは、大きく成熟した木造住宅市場を持つ米国・豪州や今後著しい成長が期待できるアジア地域など海外においても住宅・不動産事業を展開しています。各地の気候風土やマーケットのニーズに合った住宅の販売をはじめ、事業活動を通じて従業員や地域の住民・企業・社会といったステークホルダーを尊重し、共に価値を創出する取り組みを数多く行っています。

各地域における住生活・建築文化の尊重

住友林業は日本において木造住宅建設の実績を重ねてきましたが、海外の住宅・不動産事業においては各地の住文化や風土に合った建築を大切にしています。それぞれの地域の文化やニーズ、特性を熟知した当社グループ現地事業会社の運営方針を尊重し、その地域に最も適した商品・サービスを提供する体制としています。

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米国における事業

米国においては、今後も安定的な人口増加と堅調な住宅需要が見込まれる中で、多角的な住宅・不動産事業を展開しています。

50年以上の長きにわたって木材・建材の流通拠点を置いたワシントン州シアトルで2003年より分譲住宅の販売を開始し、現在は住宅ビルダー5社が米国の西海岸から東海岸までの幅広いエリアで分譲住宅事業を展開し良質な木造住宅の提供を行っています。各社の事業地域における緻密なマーケティングを通じ、戸建住宅、タウンホーム、コンドミニアムといった様々な種類と価格帯の住宅を供給することで、より多くの方々のニーズに応えています。

戸建事業エリア

戸建事業エリア

また、2016年からは集合住宅開発事業を開始しています。2018年には集合住宅やオフィス・物流施設などの商業施設を開発する総合不動産開発会社クレセント社、土地開発事業を行うマークⅢ社が当社グループに加わり事業領域を拡張しました。より多様な住宅・不動産分野の商品・サービスの提供ができる体制を整えるとともに、米国における収益基盤の安定化と多角化を進めています。

宅地開発・集合住宅・商業複合開発事業エリア

宅地開発・集合住宅・商業複合開発事業エリア
写真:戸建住宅

戸建住宅

写真:タウンホーム

タウンホーム

写真:コンドミニアム

コンドミニアム

写真:複合施設(賃貸住宅・商業施設)

複合施設(賃貸住宅・商業施設)

写真:土地開発

土地開発

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豪州における事業

豪州においては、住宅ビルダー3社が注文住宅事業と分譲住宅事業を展開しています。2019年に西オーストラリア州で事業を行うスコットパークグループが当社グループに加わったことで、豪州東部エリアから西部エリアまでをカバーするネットワークが実現し、広範囲にわたって良質な木造住宅を販売しています。豪州では移民政策を背景として長期的な人口増加が見込まれ、地域によって価格帯の異なる複数のブランドを用いて事業展開することで、幅広い所得層の方々に購入しやすい住宅を提供しています。

アジア地域における事業

東南アジアにおいては、主に大規模な不動産開発事業を行っています。JV(ジョイントベンチャー)の形態を採用することで現地パートナーの機能・リソースを活かすとともに当社及び関連会社が有する技術・ノウハウを付加し、高品質な住宅の提供を推進しています。

また、中国においては住宅図面データの制作受託事業を行っています。各国住宅産業における業務効率化と業務品質向上の一端を担っています。

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開発におけるリスクの把握と評価

住宅・不動産の開発にあたっては、その土地固有の地質的及び地理的なリスクを適切に把握することが重要です。住友林業グループでは、開発の検討段階から綿密な調査を実施するとともに、多段階のチェックにより問題がないことを確認したうえで事業実施の判断を行う体制を整備しています。

開発地の選定後、外部の調査会社に地盤調査や環境調査を委託することで、客観的な視点でリスクを把握しています。また、現地関係会社の視点だけではなく、一定規模以上の案件に関しては住友林業本社による案件の精査、CSRに関する独自のリスクチェック表を用いた環境・社会影響評価、住友林業本社の会議における経営層からのフィードバック等を経ることにより、多段階かつ多角的な視点でリスク分析を行い、問題がないと判断された案件のみを実行に移しています。

また、建設の段階においては、建設現場の労働災害のリスクが存在します。住友林業では、現地関係会社における労働安全衛生に関する規則の遵守や労災防止の取り組みに加え、事故発生時は住友林業本部にその内容が直ちに報告され、事態の迅速な把握と対策の立案・指示が行える体制を築いています。

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住まい・施設の価値を向上させるコミュニティ開発

当社グループ各社は、住宅・商業施設等の開発を行う際、生活面及び環境面の充実度を高めるための取り組みを行っています。

戸建住宅を分譲販売する米国の住宅ビルダー5社では分譲地の規模や地形、周辺環境などの条件に応じ緑地や遊歩道を設置するなど、住宅以外の共用部分も充実させるよう努めています。大規模な開発ではプール、公園、テニスコート、カフェを併設したインフォメーションセンターを設置するなどコミュニティとしての価値の向上と生活環境の満足度向上を図っています。

不動産開発事業を行うクレセント社では、各プロジェクトのコンセプトづくりに際し、近隣住民など多くの関係者の関与のもと、周辺環境の特徴や歴史などを建物仕様や空間デザイン、入居者向けサービスに反映させ、入居者にとって単なる住居以上の価値を持つ住空間・コミュニティを提供しています。

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環境配慮型住宅の販売

豪州のヘンリー社は、2001年に、省エネ性能基準のエナジー・レイティング※1の5スターを他社に先駆けて自社標準仕様とするなど、同国住宅業界の省エネ性能向上の取り組みをけん引してきました。2009年に住友林業グループに加わった後は環境への取り組みをさらに加速させ、同国における大手ビルダーとして初の一般顧客向けゼロ・エミッション・ハウス※2の商品化を実現させるなど、環境負荷低減のための様々な取り組みを行っています。

また、ビクトリア州においては、主に住宅の基礎部分に使用するコンクリートの材料であるセメントの約20%分を、フライアッシュ(化石燃料を燃焼する際に生じる廃棄物)と高炉スラグ(高炉での製鉄の過程で鉄鉱石から分離される副産物)に置き換えた低炭素コンクリートを採用。建築段階において、1棟あたり約3トンのCO2排出量が削減されています。

また、豪州ではコスト等の理由から、日本の住宅では一般的な複層ガラスの普及が進んでおらず、新築住宅でも8割以上は単板ガラスが用いられています。このような中、同社は2018年、ビクトリア州の住宅ビルダーとして初めて複層ガラスを標準仕様とし、住宅のエネルギー効率性能を高めています※3

さらにヘンリー社は、気密性能向上の取り組みにおいても業界をリード。2019年に実施した検査では、同社が建築した住宅は豪州の住宅の平均よりも約3倍の高い気密性能を持つという結果が得られました※4。これは、平均的な住宅の冷暖房に必要となるエネルギー量の約25%分を節約することができる水準です。

ヘンリー社は環境性能の向上だけでなく、居住者の健康に配慮した住宅の開発においても先進的な取り組みを行っています。同社は住宅内部の空気質改善のために、建設コストや光熱費を抑えつつ換気を行うシステムを開発。さらに、オーストラリア国立喘息評議会の助言のもと主な建材や仕上げ材の見直しを行い、超低VOC※5の内装塗料を採用。コストの上昇を抑え高い品質を保ちつつ、住む人の健康を守る住宅の提供を実現しています。

※1 豪州における建物内の冷暖房に対するエネルギー負荷を評価する指標で、断熱材や窓、建物の種類や大きさ、向き、立地する気候帯が評価項目

※2 従来の住宅より70%以上の省エネ効果が期待できる環境配慮型住宅

※3 複層ガラスは単板ガラスと比較して熱還流率が35%程度低く、住宅の断熱性能を向上させる効果がある

※4 ヘンリー社の住宅の平均値が5.9ACHであるのに対し、豪州の住宅の平均は15.4ACH(ACHは内外気圧差が50Paのときの1時間あたりの漏気量を表す指標で、数値が低いほど気密性が高いことを表す)

※5 VOC(揮発性有機化合物)は常温常圧で大気中に揮発する有機化学物質。多くの建築塗料や接着剤にも含まれており、飛散量が多い場合はシックハウス症候群等、人への健康被害をもたらす恐れがある

写真:換気システム開発の様子

換気システム開発の様子

写真:VOC含有率の低い塗料

VOC含有率の低い塗料

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労働安全衛生管理

豪州のヘンリー社は、労働者の安全管理に力を入れています。同社はビクトリア州、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州の4州にまたがって事業を展開していますが、全社的な安全管理方針のもと、年次での安全管理方針・目標の設定、各現場におけるリスクアセスメント(危険性の評価及び対策立案)の実施、現場監督者・労働者への安全管理教育、協力会社の安全管理能力の把握、事故発生時の報告の徹底等、高度な安全管理体制を構築しています。同社は2019年4月に労働安全衛生の国際的な規格であるISO45001の認証を取得しています。

この他、ニューサウスウェールズ州で事業を行うウィズダム社も高度な労働安全衛生管理体制を確立し、豪州の労働安全衛生の規格であるAS4801の認証を取得。事故発生を未然に防ぎ、労働者の健康を守ることによって、現場の安定的な稼働を可能にする仕組みを構築しています。

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働きやすい環境づくり

米国では、連邦法や州法によって人種、性別、宗教、出自、健康状態等を理由とした雇用上の差別が禁止されています。当社グループの米国各社においても、従業員 ハンドブックに記載することなどを通じて機会均等・差別禁止に関する会社の姿勢・理念の共有に努めています。

また各社で職場でのハラスメント・差別行為に関する相談窓口設置などの対策を実施したり、クレセント社では傷病・精神疾患等を理由に7日間以上就業できない場合に給与の60%を会社加入保険からカバーする制度を設けたりなど、法令の遵守にとどまらない、従業員に働きやすい環境を提供するための取り組みを実施しています。

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社外からの評価

ヘンリー社 HIA主催のHIA-CSR Australian Housing大会の
Professioal Major Building 部門で豪州No.1を受賞

豪州のヘンリー社は2020年5月に開催されたHIA(豪州住宅産業協会)主催のHIA-CSR Australian Housing大会のProfessional Major Building部門にて豪州No.1を受賞しました。

本大会は1945年創設以来70年以上の歴史があり、全豪の建設工事全体の85%以上を担う4万社以上の住宅ビルダーやリフォーム業者が加入する業界団体であるHIAが毎年行っているものです。前年度に行われる各州の大会でNo.1を獲得したビルダーが州の代表として本大会に進み、豪州No.1を決定します。

Professional Major Builder部門は、年間50百万AUD以上の売上高があるMajor Builderの中で、業界に対するリーダーシップや顧客サービス・満足度、また事業内容や財務基盤の健全性、社会貢献活動への取り組みなど、総合力が最も優れているビルダーに賞が授与されます。ヘンリー社はヴィクトリア州で3度、クィーンズランド州では2012年以降8年連続で本部門のNo.1を獲得していますが、全豪での優勝は2015年以来2度目です。

今回の受賞では特に、年中無休のメンテナンスホットラインや長期構造保証などの細やかなお客様対応と、将来の業界リーダーを育成するために実施している先駆的な社員育成プログラムが評価されました。

クレセント社がNAHB主催の「Multifamily Pillars of Industry Awards」で最優秀賞

米国のクレセント社はNAHB(全米住宅建設業者協会)が主催し優良な集合住宅開発会社を顕彰する2019 Multifamily Pillars of the Industry Awardsにおいて最優秀賞Multifamily Development Firm of the Yearを受賞しました。

本表彰は、1940年代の創設以来70年以上の歴史があり140,000名以上の所属メンバーを抱える米国最大の住宅建設業界団体であるNAHBが毎年行っているものです。

Multifamily Pillars of the Industry Awardsは、集合住宅の開発における創造的な開発コンセプトや革新的な資金調達戦略、優れたデザイン、マーケティング等を評価するもので、集合住宅業界の事業者やプロジェクトが表彰されます。クレセント社は集合住宅開発会社として全米No.1に当たるMultifamily Development Firm of the Yearに輝いたほか、ワシントンD.C.で開発を手掛けた集合住宅プロジェクトNOVEL South CapitolがBest Overall Leasing or Sales Campaign for a Multifamily Communityを受賞しました。

※ 集客施策が優れているプロジェクトを表彰する部門

写真:NOVEL South Capitol 外観

NOVEL South Capitol 外観

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企業・IR・CSR情報