環境マネジメント

環境リスクマネジメント

環境リスクの把握と対応

住友林業グループは、気候変動や生物多様性など環境の変化が事業活動に影響を与えるリスクについて認識し、関連する情報を収集、必要に応じてこれらの情報を分析し、事業リスク評価を行っています。

リスクの度合いに応じ、日常業務で発生しうるリスクについては、各部署で具体的な対応策や評価指標を取り決めて進捗を四半期ごとに「リスク管理委員会」に報告し、中長期的に発生しうるリスクについては「ESG推進委員会」で対策の立案を行っています。これらのリスクのうち事業への影響度が大きいものについては、取締役会に報告し、対応策を協議しています。

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気候変動、生物多様性などに関連する
リスクとその戦略

自然災害への対応

大規模な地震や風水害などの自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動や引渡し済みの住宅に対する安全確認及び建築請負物件などの完工引渡しの遅延などにより多額の費用が発生し、住友林業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

住友林業ではこの対策として、耐震性の高いBF構法の住宅販売や、ライフラインが遮断されても一定期間生活を続けられる機能を備えたレジリエンス住宅の販売を推進しています。また災害時の被災状況をIoT技術によって遠隔で即時に把握し、迅速な支援を目指すサービスの構築を進めています。

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木材生育の変化や調達規制への対応

住友林業グループは、木材を主要な資材や商材として取り扱っています。気候変動や生物多様性の損失によって木材資源の枯渇や生育地の変化、それらに伴う規制が設けられた場合は、調達先を変更しなければならないリスクやコスト増のリスクがあります。

そのため、木材生育状況の変化及び木材調達規制のリスク分散として、木材を20ヵ国以上から輸入。さらに主要国に駐在員を置き情報収集を行っています。また、駐在員や本社社員によるサプライヤーの工場視察なども行い、合法性・持続可能性の確認を行っています。2017年5月に施行された「クリーンウッド法」においては国内登録 第1号となるなど、グループ全体で合法的な木材の調達に努めています。

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排出量削減義務化など
カーボンプライシングの設定

国際的に温室効果ガス排出削減が進められる中、住友林業グループが拠点を置く国で企業に削減義務が課される可能性があります。グループ会社が削減義務を果たせなかった場合は、排出権を購入する必要が生じるなどして、事業コスト増加のリスクがあります。

また日本においても、2012年10月の地球温暖化対策のための税の施行によりカーボンプライシングが導入されました。パリ協定の目標達成に向けて今後、税率上昇や新たな賦課金・排出権取引の導入などが予想され、事業活動やコストに影響が及ぶ可能性があります。
この対策として、グループ内の各社・各部門で温室効果ガス削減目標を設定し、年度ごとに策定する数値目標に従って削減を進めています。

エネルギー供給不足への対応

東京電力管内では、2022年6月、 4 日連続となる電力需給逼迫注意報が発令されるなど、日本の電力危機が顕在化しています。送電が途絶することで、住友林業グループの展示場や工場の操業が停止するリスクがあります。

この対策として、グループ内の各社・各部門で温室効果ガス削減目標を設定し、年度ごとに策定する数値目標に従って削減を進めながら電力使用量の削減も推進しています。また、展示場や工場の屋根に太陽光発電を導入することでエネルギー供給不足への対応も進めています。

企業イメージの低下

気候変動対応や生物多様性保全など、各種リスクへの対応を誤った場合は、企業イメージを損ね、売上高などの業績に直接的なダメージを受けることがあります。

「リスク管理委員会」「ESG推進委員会」を通じて、環境・社会・ガバナンス面のリスクについて、短期から中長期的なものまで包括的に分析・対応しています。また、ステークホルダーとのダイアログを適宜開催し、住友林業グループへのご意見を伺うなどの活動を行っています。

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環境法令への対応

住友林業グループは、産業廃棄物処理や、有害物質による土壌・水質汚染、騒音・振動など、法令に関わるリスクに対応して、その影響の低減・顕在化の防止に努めています。

2022年度は環境関連法規の重大な違反事例や重大な環境事故はありませんでした。

産業廃棄物処理

日本においては、不法投棄される産業廃棄物でもっとも高い割合を占めるのが建設系廃棄物です。不法投棄された産業廃棄物の内訳では、全体の87.4%が建設系廃棄物となっています。住友林業グループでは、産業廃棄物処理を環境リスクの中でも社会や事業に与える影響がもっとも大きいリスクの一つと捉え、適切な処理に努めています。

具体的には、廃棄物処理法及び関係法令などを遵守し、生産活動に必要な基準と手続きを定めた「生産規程」や産業廃棄物の適正処理、発生抑制、再資源化、再利用について定めた「産業廃棄物管理規程」を設けています。この規程に基づき、産業廃棄物を排出する国内の住友林業グループの各事業所では、マニフェストや処理委託の契約内容に関する自主監査を年2回実施しています。是正項目があった場合は、各事業所で適切な対応を実施したうえで、報告書を上位組織に提出し、グループ会社の適正処理を確認しています。

また、各事業所で委託先の処理場現地確認を年1回以上実施。2022年度は、住宅事業本部の担当者が処理委託先354社537ヵ所の処理場に対して、525回の現地確認を行いました。併せて、住宅事業本部以外の各事業本部やグループ会社の事業所に対して、同本部で現地確認を終えた処理場を利用するよう指導しています。

さらに、産業廃棄物が適切に処理されていることを把握するため、処理委託業者に電子マニフェストの利用を要請しています。住宅事業本部の支店及び新築住宅に関わる産業廃棄物の処理委託業者は全て導入を完了しており、住宅の解体廃棄物も含めた2022年度の導入率は100%となりました。

これらとともに、産業廃棄物の処理業務を担当する社員などを対象に産業廃棄物担当者研修を実施しています。2022年度は、オンラインを利用して、国内グループ各社の新任産業廃棄物処理業務担当者・産業廃棄物管理責任者など合計約120名が研修を受講しました。なお、2020年 4月より、住友林業グループの社員が、産業廃棄物をはじめとした知識を習得できるように「廃棄物管理の基礎」と題したe-ラーニングを作成し社内イントラネットで受講できるシステムを構築しました。

※環境省発表令和3年度資料より

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土壌汚染

土壌汚染は、目に見えない地下で汚染物質が蓄積・拡散するなどの理由から、発見が困難です。住友林業グループでは、社有地や管理地の土壌汚染対策をはじめ、分譲住宅事業においては新規土地購入検討時に土壌汚染の自主調査を行っています。対象の土地については「土壌汚染対策法」に基づき適切に対応しています。

なお、当社グループの国内の分譲住宅事業において、ブラウンフィールドに関連した土地の自主調査を行っており、土壌汚染対策がされていない土地の購入・販売はありません。

※土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地

水質汚染

水質汚染は、汚染物質により、飲料水などを通じて人間の健康に直接被害を与えたり、河川や湖沼、海洋などに住む生物の生育環境に影響を与えたりするリスクがあります。改正水質汚濁防止法の特定事業場に該当する住友林業クレスト伊万里工場では、工場内の排水処理施設から出る排水について、外部測定機関による委託検査を2ヵ月1回COD自動測定装置による社内水質検査を日次で行い、検査結果は、半年ごとに地方自治体に報告しています。
さらに県による採水・検査を年1回、市による採水・検査を年3回受けており、これらの対策によりいずれの検査においても、排水基準値を満たした状態であることを確認しています。

また、筑波研究所も改正水質汚濁防止法の特定事業場に該当するため、同法に関わる実験設備の一部更新や新規設置等に関する届け出をしました。また外部測定機関に委託して月1回の水質検査を実施し、その結果を監視するとともに半年ごとにつくば市に報告しています。

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有害化学物質による汚染

有害化学物質は、人間の健康や環境に大きな影響を与える他、災害発生のリスクがあります。住友林業グループは、VOC(揮発性有機化合物)を含む有害化学物質の使用量と排出量を把握して適切に管理するとともに、使用量の削減に取り組んでいます。

日本国内では、大気汚染防止法に適切に対応しています。同法に基づき、住友林業クレストでボイラーを設置している新居浜工場では、NOxSOx、ばいじんの排出量と濃度を、焼却炉を設置している鹿島・静岡の各工場では、ダイオキシンの排出量と濃度を定期的に測定し、基準値未満であることを確認しています。

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騒音・振動

住友林業グループは、住宅の建築工事における騒音・振動の防止に努めています。騒音・振動に関する苦情が寄せられた際には、その状況などを記録するとともに、グループ全体で情報を共有し、類似事例の再発防止につなげています。

また、住友林業クレストでは、各工場の敷地境界線における騒音が基準値未満であることを確認するため、定期的に測定を行っています。

2022年度は、環境に重大な影響を及ぼすような騒音・振動による近隣の方々からの苦情はありませんでした。

地球温暖化(フロン排出抑制法)

温室効果が高いフロン類の製造から廃棄までのライフサイクル全般にわたる抜本的な対策を推進するため、2015年4月より、「フロン排出抑制法」が施行されました。

2020年4月より同法による規制がさらに強化されたことにより、住友林業グループは、その内容について周知を図り対応を行いました。

また、第一種特定製品の管理者として、簡易点検及び定期点検を計画通り実施しました。

住友林業グループはビルにテナントとしてオフィスを置いている場合が多く、所有(管理)している業務用冷凍空調機器(エアコンや冷蔵庫など)の台数は多くはありません。事業所によってはフォークリフト等にエアコンが搭載された「第一種特定製品」に該当する建設車両等があります。同法の施行を受け、冷媒としてフロン類が使用されている機器の定期的な簡易点検の実施や、圧縮機の定格出力7.5kW以上の機器を対象とした法的な定期点検の実施を行っています。 また、機器の入れ替え、新規購入時においては、グリーン購入法に基づいたノンフロン製品への切り替えを推進しています。