HIGHLIGHT 3 持続可能で革新的な技術開発の推進「2041年に向け第一歩を踏み出す筑波研究所の新研究棟」

住友林業グループは、木の価値を高め、社会の持続可能性に貢献する技術・製品の開発に取り組んでいます。

創業350周年を迎える2041年に向けて掲げるのが、高さ350メートルの木造超高層建築物を中核とした、街の木造化・木質化により街全体を緑豊かな環境にかえる研究技術開発構想「W350計画」です。街を森にかえる「環境木化都市」実現への技術開発の礎となる筑波研究所の新研究棟の工事が、2019年10月に完成を迎えます。

W350計画実現に向け技術検証を担う新たな拠点の誕生

筑波研究所は施設の老朽化と所員増加に対応するため、2018年3月より新たな研究棟の建設を進めてきました。木造3階建て・延床面積2,532.67m²の新研究棟は、最大140名を収容するオフィスであると同時に、研究棟自体がW350計画の実現に向けた様々な技術検証を行う「実験現場」となります。建設にあたってはハード・ソフトの両面で様々な新技術を採用し、国土交通省が推進する「平成29年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」にも選ばれました。

筑波研究所の新研究棟

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耐震性・低炭素に貢献するハード面の技術と設備

新研究棟建設におけるコンセプトの一つが「サステナビリティの追求」です。その代表的な構造上の技術が、木造で不足しがちな剛性を補い、地震への強さと復元力の高さを実現した「ポストテンション構造」です。ポストテンションとは、部材に通した高強度の鋼棒やワイヤロープに引張力を与え、部材間の固定度を高める技術です。一般的なRC造や鉄骨造は、大地震の際、部材が降伏すると、倒壊を免れても建替が必要になります。しかし木造ポストテンション構造では、交換可能なエネルギー吸収部材に損傷を集中させます。この技術によって、限界を超えた被害にあっても最小限の修復・部材交換で耐震性の回復ができるサステナブルな木造建築が可能となるのです。

また、ゼロエネルギービル(ZEB)を目指し、屋上へのソーラーパネルの設置や断熱性の向上、温室効果ガス排出量の少ない木質ペレットボイラーの導入など、「創エネ」と「省エネ」の双方向の工夫を重ねています。さらに風環境シミュレーションに基づいて配置し、センサー感知により自動開閉する窓により、自然通風を活かす当社独自の設計手法「涼温房」をオフィスビルにも取り入れました。冷暖房によるエネルギー消費を大幅に削減しながらも、中で過ごす人の快適性を守る設計としました。

※ 弾性限度を超えて、部材の変形が元に戻らない状態になること

ポストテンション構造

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木の良さを活かすソフト面の技術と今後への検証

新研究棟では、万が一の火災時にも建物内の全員が安全に避難できることを「全館避難安全検証法」で確かめ、木造建築物では日本初となる国土交通大臣認定を得ています。高度なシミュレーション技術により火災への安全性を証明したことで、内装材料への制限をクリアし、柱や梁などの構造材を積極的に見せた、木の温もりを感じられる空間を生み出しました。

吹き抜け空間には、樹木を植えたインナーコートヤードを配し、「小さな森」を建物内に再現。今後は、屋内緑化のメンテナンス方法を検証していくとともに、木と緑に包まれたオフィス環境が、そこで働く人に与える心理的・生理的な影響についてデータを収集していきます。

新研究棟を「自らの研究現場」とすることによって、木と緑の良さを活かした、今までにないオフィスビル実現に向けたデータ収集と仮説検証につなげます。

写真:新研究棟の内部

新研究棟の内部

写真:外壁の緑化

外壁の緑化

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サステナブルな木造オフィスビルの高層化へ

住友林業グループが中高層の木造オフィスビルを広く提案していく上で欠かせない、様々な試みを実験的に盛り込んだのが今回の新研究棟です。建物の高層化が進むほど、地震や火災対策への難易度は高まります。木造3階建ての同施設をW350計画の研究開発の土台として技術・ノウハウの蓄積を重ね、災害時にも安全で、人にも環境にもやさしいサステナブルな木造オフィスビルづくりへの挑戦を続けていきます。

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開発担当者より

設計者からの最初の提案は、今から4年前の2015年8月でした。当初の案でもポストテンション技術が使われていましたが、自分たちが思い描いているものとは異なっていたため、設計者と議論を重ねました。今のブロック型に行き着いたのは2016年11月頃でした。ばらばらの木材ブロックがポストテンションにより一体化して地震の揺れに耐えることが、技術概念として分かりやすく、建築表現としても楽しいところが気に入っています。木造架構の大規模化の技術はまだまだ未熟で解消すべき課題も多いですが、ポストテンションの技術は他の構造や技術との組み合わせで、発展の余地が大きいと思っています。W350計画のゴールに向けては、途中にあるW30やW70などマイルストーンを着実に達成できるよう技術開発に貢献します。

写真:筑波研究所 建築住まいグループ チームマネージャー 長島泰介

筑波研究所
建築住まいグループ
チームマネージャー
長島 泰介

PICK UP

W30を第一歩として、W350計画実現を目指すロードマップ

「地上350メートルの木造超高層建築物の建設」という極めて高い目標の達成には、バックキャスティングによって導き出した課題を解決する技術革新でこれまでの常識を超えていくことが欠かせません。想定する建物は70階建て、木と鉄を9:1で組み合わせた木鋼ハイブリッド構造。この全く新しい技術の基礎開発が今まさに筑波研究所で進んでいます。

一方で、これまで培ってきた技術をフォアキャスティングで進化させていくことも重要です。2021年の実現を目指すW30は、ポストテンション構造の限界に挑む地上20~30メートル、高さ6~7階の木造ビルで、すでに立地選定に入る段階です。W30の建設を通して技術の成熟とコストダウンを図り、W350計画実現の可能性を高めていきます。

W350計画実現へのロードマップ

W350計画実現へのロードマップ

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