中垣慶之 建築士

中垣慶之 目標を共にし、一緒につくりあげる。

お客さまはさまざまなライフスタイルをもち、またご家族への深い思いをおもちです。デザインの好みもあります。それらを、どのような素材でいかに形にするか。経験と知識と情報、人のネットワーク――すべてを注いで一緒につくりあげます。まず目標をしっかり共有すること、それがすべての始まりです。

Design

東京都 Mさま邸

米国人のMさまと日本人の奥さま、そして4人の子どもたち。米国の住宅のスケール感とライフスタイルにあった住まいを、日本でいかにつくりあげるか。そして、ご夫婦のインテリアへの深い思いを、どのような素材を使って、いかに形にするか――それが課題でした。Mさまがお好きな、和の落ち着いた雰囲気の演出も求められていました。

ご家族のライフスタイルに合った空間を美しくデザインする

家族のコミュニケーションの中心となるリビングやダイニングをいかに明るく広がりのある空間にするか。家族をつなぐ“コア”としての役割が求められています

リビングは6人家族が集う吹抜けの大空間。1階と2階の大きな窓からたっぷりと光を採り入れています
家族が顔をそろえる食事の時間を何よりも大切にするMさんご一家。ダイニングはゆとりの広さを確保。キッチンも家族全員で作業できるスペースを取っています。
リビングとダイニングは天井までの格子戸で仕切りました。開ければ空間がつながります。格子戸を開けたとき、それはダイニングの壁面の美しい装飾になります。
寝室の南側にスタディルームを設け、格子戸で仕切りました。またご夫婦専用のバスルームも設けました。6人家族のくつろぎとはまた別の、大人の落ち着いた世界です。

空間ごとに最適な材料を見つけ、論理の一貫性をもって仕上げる

大きな洋風の空間、あえて広さを抑えた和空間--空間ごとに最適な材料があります。その空間にどういう要素が求められているのか、論理的にしっかり考えて材料も選びます。

吹抜けのリビングの天井には、大きなトップライトを設けました。豊かな光がガラスの手すりを通して、空間の奥深くまで行き渡ります。
和室の開口部はあえて小さな地窓だけにして「暗さ」を楽しむ空間としています。地窓の外には「鹿おどし」など、和風のしつらえを用意しました。
時にはリビングともつなげて使う和室は、“純和風”ではなくモダン和風の仕上げです。床の間の壁には、時間をかけて探した和紙を使っています。

日本建築の伝統的な手法に学び、活かす

光と影の演出、路地を歩く楽しみ、やわらかに視線を遮る格子……和の要素を積極的に取り入れて、落ち着きのある空間を演出しました。

天然スレートを敷いた「路地」風のアプローチをつくりました。その先には光あふれる大空間が広がります。「暗」から「明」、「狭」から「広」--その演出が空間の広がりを強調します。
落ち着いた色合いで街並みに溶け込む外観。格子は道路からの視線をさりげなく遮るとともに、外観に端正な表情をつくります。
Photo gallery
リビングは6人家族が集う吹抜けの大空間。1階と2階の大きな窓からたっぷりと光を採り入れています。
ダイニング・キッチンは、大勢で集えるように、大きめのダイニングテ−ブルとアイランド型のキッチンにしています。
手すり壁にはガラスを使用。光が住まいの隅々に行き渡ります。
浴室、トイレ、洗面のスペースを一つにまとめ、ゆったりと確保しました。ホテルのようなくつろぎが味わえます。
ゲスト用のパウダールーム。ゆったりとしたスペースをとっています。
和室の窓はあえてこの地窓だけにしました。横長の大きなものにして、外の景色を一枚の絵のように美しく切り取ります。

図面と格闘し、素材探しに足を棒にしながら、毎週のようにMさまご夫婦とスタッフ全員で打ち合わせテーブルを囲んだ日々。共有していたゴールのイメージに向かって、励まし合いながら走りました。「このドリームチームを解散したくない。だからもう一軒、家を建てたい」とMさんがおっしゃったとき、私たちは本当に頑張ってよかったと晴れ晴れとした気持ちになりました。忘れることのできないお住まいです。

中垣慶之 建築士