インテリア担当としての私の仕事は、設計のコンセプトを共有し、新しい空間に溶け込むようなインテリアをお客さまと一緒につくりあげることです。そのために、照明や家具、窓まわりの装いなどを、設計の意図する大きな方向性を常に意識しながらお客さまの好みや機能なども検討し、一つひとつ具体化してゆきます。私の役割は、新しく誕生するインテリアとお客さまの橋渡し役になることです。
会社を経営されているNさまは、ご夫婦とお子さま2人の4人家族。ご主人はお忙しく、毎日のように、全国を飛び回っていらっしゃいます。求められていたのは、その日の疲れを癒やし、休日はのんびりとご家族で過ごせる、大きなやすらぎのある住まいでした。
設計担当者がお客さまのご要望に応えてつくりあげようとしている空間のコンセプトを早い時点で共有し、打ち合わせを綿密に行いながら、それをインテリアとして具体化するアイデアを考えていきます。
家具も照明も窓まわりの装いも、美しさだけでは選択できません。お客さまのお好みはもちろん、機能性やメンテナンス性などにも配慮して選びます。
お客さまのご要望に、ただ「はい」とお返事をするのはやさしいことです。しかし、お客さま自身が気付かれていないことや、より空間にふさわしいと思えるものもあります。打ち合わせの中でしっかりと信頼を得て、時には思い切ったご提案をするのもインテリア担当の大切な仕事です。
住宅ではほとんど見ることのできない梁の連続する美しい空間計画を設計担当が描いていました。その空間に溶け込み、一体となるようなインテリアをつくることがテーマでした。当初奥さまは「リビングには、外からの視線を遮るためにレースのカーテンを」とお考えでした。ですが、そのやわらかな印象は美しいけれども、この空間には直線を活かしたウッドブラインドが似合うのではないかと思い、お打ち合わせを重ねながら、何が最適かご一緒に考えていきました。設計のコンセプトを活かし、その完成度をさらに高めるように皆で力を合わせてつくりあげたインテリア――私にとっても忘れられない仕事です。この新しい空間が、ご家族のくつろぎの舞台となればうれしく思います。