私がインテリアデザインをするときに心がけているのは、物を選ぶことから始めないということです。一番に考えるのは、そこでご家族がどんな時間を過ごされるのかということ。私はそれにふさわしい雰囲気を、家具や照明などを使い、空間と一体のものとしてつくりあげていきます。新しく始まる暮らしの中で、お客さまがいつまでも楽しめるインテリアであることを願って。
Iさま邸はご夫婦とお嬢さまの3人家族。シンプルな中にも、フェミニンなやさしさのあるインテリアをご希望でした。お打ち合わせの中で赤がお好きと伺い、その色をアクセントに使いながら、ご一緒に家具や照明器具などを選んでいきました。
リビングではどんなことをして過ごされるのか、ダイニングテーブルは食事以外にも使われるのか。ご家族が、新しい空間をどのように使われるのか、まずそのイメージを伺い、それにふさわしいインテリアをつくりあげていきます。
照明は、空間の雰囲気を大きく左右するものであり、インテリアデザインの重要な要素です。私は設計担当とも話し合いながら、照明の位置やスタイル、照明器具の種類やデザインなどを考え、お客さまにご提案していきます。
お好きなファッションやデザイン、お好きな色や小物……はっきりとは意識されていなくても、それぞれのご家族にはそのご家族らしさがあります。それをさりげなくインテリアの中に取り込み、お客さまに長く楽しんでいただけるインテリアをつくりあげます。
新しいお住まいのお引き渡しでお伺いしたとき、階段下のスタディコーナーに置きたいと探されていた、「真っ黒じゃないプリンター」をとうとう見つけられたというお話を聞きました。「よかったです!」--私もうれしくなりました。それは単に、探されていた物があったからではありません。以前は家具やインテリアショップなどに興味を持たれていなかったIさまが新しいお住まいをきっかけにインテリアを楽しまれていると知ったからです。これからも、お好きな洋服などと同じように、インテリアを長く楽しんでいただきたいです。これからも、いつでもご相談ください。I邸のインテリアがどのように変わっていくのか、私も楽しみにしています。