竹山 憲子 インテリアコーディネーター

竹山 憲子 お客さまが楽しむインテリアに

私がインテリアデザインをするときに心がけているのは、物を選ぶことから始めないということです。一番に考えるのは、そこでご家族がどんな時間を過ごされるのかということ。私はそれにふさわしい雰囲気を、家具や照明などを使い、空間と一体のものとしてつくりあげていきます。新しく始まる暮らしの中で、お客さまがいつまでも楽しめるインテリアであることを願って。

Design

千葉県 Iさま邸

Iさま邸はご夫婦とお嬢さまの3人家族。シンプルな中にも、フェミニンなやさしさのあるインテリアをご希望でした。お打ち合わせの中で赤がお好きと伺い、その色をアクセントに使いながら、ご一緒に家具や照明器具などを選んでいきました。

空間の使い方から考える

リビングではどんなことをして過ごされるのか、ダイニングテーブルは食事以外にも使われるのか。ご家族が、新しい空間をどのように使われるのか、まずそのイメージを伺い、それにふさわしいインテリアをつくりあげていきます。

I邸のリビングは、ダイニングとは独立して設けた落ち着いた空間です。ソファをL型に置くことを最初から計画し、窓の大きさもソファの大きさを想定しながら決めていきました。
リビングの一角にはピアノを置く予定で、間を仕切るために壁を立て、それをリビング側でTVスペースに使いました。壁には土の質感を残した温かな風合いのタイルを張り、床は赤みのある温かな色合いが特徴のチェリーを選びました。
スチールの階段はダイニング空間のアクセントとして大きな存在感があります。ダイニングテーブルに堂々とした木製のものを選ぶことで、階段とバランスを取りました。
大きなダイニングテーブルは、食事以外にも子どもの勉強や家族の読書の場所としても使う予定で、その用途にふさわしい椅子を選びました。階段下には家族のスタディコーナーもあります。

照明を使って引き立てる

照明は、空間の雰囲気を大きく左右するものであり、インテリアデザインの重要な要素です。私は設計担当とも話し合いながら、照明の位置やスタイル、照明器具の種類やデザインなどを考え、お客さまにご提案していきます。

リビングのソファの横にフロアスタンドを置くことを最初から計画し、スペースを確保しました。脚に木を使った素朴な風合いのスタンドを、この空間に合わせて選びました。
ダイニングテーブルを照らすペンダントライトは、厚手のガラスで曲線を描いた温かな雰囲気のあるデザインのものを選びました。

お客さまらしさを表現する

お好きなファッションやデザイン、お好きな色や小物……はっきりとは意識されていなくても、それぞれのご家族にはそのご家族らしさがあります。それをさりげなくインテリアの中に取り込み、お客さまに長く楽しんでいただけるインテリアをつくりあげます。

リビングのセンターテーブルは、石の質感があり、くぼんだところに季節の花などを飾ることができるものを選びました。シンプルな空間の中で、さりげなくインテリアを飾って楽しまれるIさまにぴったりです。
赤がお好きで、車の色も赤というIさま。インテリアも赤をワンポイントのアクセントに使いました。また、ローマンシェードの先端に丸い縁飾りを付けることで、インテリアにフェミニンな要素を加えました。
スタディコーナーの椅子の座面も赤い色の入った物を選びました。赤一色では印象が強くなりすぎるので、緑なども混ぜています。
子ども室のカーテンをまとめるタッセルにも丸い縁取りを付け、かわいらしさを演出しました。
Photo gallery
ピアノ室は壁を設けてリビングと空間を分けています。ピアノ室側の壁は、楽譜などが収納できるスペースにしました。
奥に和室が続くダイニング。吹抜けになった階段から明るい光が入ります。
ダイニングテーブルは食事以外にも勉強や読書、気の置けないお客さまを迎える場所として使われる予定でしたので、椅子は3人でも座ることのできるベンチタイプのものに。座面は落ち着いた雰囲気の革張りで、赤系の色を選びました。
階段下のスタディコーナー。テーブルはこの空間に合わせた造り付けの家具です。設計担当と打ち合わせを重ね、テーブルの横幅とサッシの縦の線をそろえました。
南と東に窓のある明るい子ども室。ピンクをアクセントに使った女の子らしさのあるインテリアにしています。
床のチェリーに合わせ、玄関収納も同じ素材で製作しました。横長の窓が、視線を遮りながらも明るい光を採り入れています。
アクセントにタイルを使って落ち着いた表情に仕上げた外観。門柱にも同じタイルが使用されています。

新しいお住まいのお引き渡しでお伺いしたとき、階段下のスタディコーナーに置きたいと探されていた、「真っ黒じゃないプリンター」をとうとう見つけられたというお話を聞きました。「よかったです!」--私もうれしくなりました。それは単に、探されていた物があったからではありません。以前は家具やインテリアショップなどに興味を持たれていなかったIさまが新しいお住まいをきっかけにインテリアを楽しまれていると知ったからです。これからも、お好きな洋服などと同じように、インテリアを長く楽しんでいただきたいです。これからも、いつでもご相談ください。I邸のインテリアがどのように変わっていくのか、私も楽しみにしています。

竹山 憲子 インテリアコーディネーター