「リビングにグリーンを置きたいのだけれど、何がいいかしら?」「思ったよりお客さまが多いので、リビングにイスを増やしたい。どんなのがいいと思う?」――お引き渡しを終えたお客さまから、ご連絡をいただくことがあります。さっそく絵を見せていただいたり、ショールームにご一緒しながら、私なりの考えをお伝えします。お住まいが完成した後も、こんなお付き合いが続くことが、インテリアコーディネーターの仕事の楽しさであり、やりがいです。お客さまのお好みやお住まいの雰囲気を一番よく知り、ご一緒にインテリアデザインを考えてきた者として、いつまでもお客さまにご相談いただける存在でありたいと思っています。
大理石を床に使った開放的なLDKで家族や友人がくつろげる空間にしたい、というご要望がありました。「光のグラデ―ションが昼と夜を彩る」というコンセプトの下、どんな光があれば心地よい住まいになるのか、空間ごとに光の表情を考えていきました。
インテリアコーディネートを進める際に私が一番大切にしているのは、そのお客さまにとってどんな光が心地よいか、ということです。それはお客さまの好みや、その空間でどんな時間を過ごされたいか、ということによって異なります。じっくりとお話を伺いながら昼と夜の光の計画を進めます。
インテリアは多くもので構成されます。窓からの光や照明は大きな要素ですが、他にも床や壁、天井の仕上げ材の種類や質感、家具の大きさや形、さらに素材感や色など、たくさんの要素があります。そのため同じ強さの光を当てても、黒い家具やラグがあれば光は吸収されます。インテリアデザインは、空間全体をイメージしながら進めることが必要だと思っています。
お客さまとご一緒に少しずつインテリアをつくりあげていきます。イメージが具体的になるなかで、さらにその空間を、お客さまらしく引き立てるものを考えます。それは、時には照明器具であり、またアートや小物のこともあります。
お客さまが、新しいお住まいのどこで、どのような時間を過ごされるのかその場所、時間、過ごし方にふさわしい光を、一つひとつ丁寧に考えていきました。開放的なLDK空間全体をやさしい光で包むシェード、スタンドの穏やかな光がウォルナットの床を照らす寝室、どの空間もMさまご夫婦らしい個性やお好みが表現されています。お住まいができあがった後は、家で過ごす時間がとても長くなったと伺い、うれしく思いました。お引き渡しの後も、アートや家具の相談をいただいたりときどき食事にお招きをいただくなど、楽しいお付き合いが続いています。これからもご一緒にインテリアを楽しむことができたらとても幸せに思います。