家族のつながり、室内と外とのつながり
建物と街とのつながり…住まいは多くのものをつなぎながら、新しい暮らしの舞台をつくります。私はいつも、その“つながり”をご家族のライフスタイルと、敷地の状況に合わせてご提案したいと思っています。そして、お客さまと「ここはどうしようか?」「こうだったら楽しいよね」と、一緒にワクワクしながら、プランニングをしていきたいと思っています。そのご家族とその敷地にふさわしい家は一つしかありません。それをご一緒に見つけ出したいと思っています。
「子どもが安心して遊べる広い庭のある家」というご要望にお応えしました。敷地の3方に道路が通っているため日当たりも風通しもよい反面、プライバシーの確保が重要になります。閉じるところと開くところ、メリハリのある設計が必要でした。
建築予定地については、地図や航空写真を見るなどさまざまな手段で情報を得ることができます。しかし、実際にその土地に立たなければ分からないことがあります。肌で感じた光や風、空の広がり、周囲の景色、視線の伸びる方向などが、設計を進めるための欠かせない情報になります。
空間は外とつながると、気持ちのよいものになります。視線の先に何が見えるかを考えながら、一つひとつの窓の配置や大きさを検討していきます。しかし、単純に外とつなげればよいというものではありません。時にはあえて視野を狭めて切り取ったり、ある方角は完全に視線を遮断するという工夫が必要になります。
設計にあたっては、その敷地でしか実現できない楽しいポイントを盛り込みたいと常に考えています。それは設計担当者としてとてもワクワクする時間であり、お客さまにも一緒にワクワクしていただきながら、アイデアを出し合い、つくりあげていきたいと思っています。
ゆとりのある土地を購入され、住まいの新築を計画されたNさまご夫婦。住まいと庭とのつながりをどのようにつくりあげていくかが設計のポイントでした。大きな開口部を持つLDKが、ウッドデッキを経て一段,また一段と地面の高さに近づいていくという室内と外部のシームレスなつながりが、N邸らしさだと思います。奥さまが入れたおいしいコーヒーを飲みながらご主人が庭を眺め、その視線の先でお子さまが元気に走っている――実際にそんな生活が始まっていると伺って設計という仕事のやりがいと醍醐味を改めて感じました。これからも広い庭のある暮らしをどうぞお楽しみください。