●わたしらしさを楽しむ家づくり
2015/11/06 公開
ちょっと冷え込んだ夜、庭やベランダにテーブルを出してランタンを並べ、ゆっくりと過ごしてみませんか? 庭の木や花もほのかにライトアップすると、昼間とはちがった世界が目の前に広がります。灯りと庭に癒される秋の夜です。
1万個ものスカイランタンが夜空に浮かぶ幻想的な光景。毎年11月の満月の夜、タイ北部のチェンマイで開催されるお祭り「ロイクラトン」では、祈りを込めて「コムローイ」と呼ばれるランタンが夜空に打ち上げられます。「コムロ―イ」は、和紙のような薄い紙と竹ひごで作られた大きな風船。蜜蝋でできた燃料に火をともし熱気球のように空に放ちます。夜空に舞い上がった無数のスカイランタンがふんわりと漂い、やがて消えていく光景は夢のようで、このお祭りは「一生に一度は見てみたいお祭り」として世界中から注目されています。
お祭りの夜のような無数のランタンでなくとも、夜空にともる灯りは気持ちをホッとさせますね。キャンプ場でランタンを囲んで座っていると、隣の人との距離も縮まる気もします。小さな灯りが恋しいのは、ふだんオフィスで「深夜でも昼間のような明るさ」の照明で過ごし、街灯に照らされた街を歩く生活で、夜の暗さを忘れているからかもしれません。秋の夜は家の照明を少し暗くし、ベランダや庭にランタンを並べ、わが家をナイトカフェのようにしてみませんか?
ふだんはキャンプで使うランタン。アウトドアメーカーが出している商品は「ホワイトガソリン」「LPガス」などの燃料を燃やすものと、「LEDライト」のように乾電池や充電式タイプがあります。アウトドアシーンでは卓上やテント内部にはLED、広範囲を照らすならガソリンやガスと、キャンプのなかでも使い分けることが推奨されています。
※テント内や屋内での火器の使用、燃えやすい物への引火、火傷などにはご注意ください。わが家のランタンナイトは近隣の方への配慮も忘れずに、静かにスマートに行いましょう。
本物の火が灯るガスやガソリンはロマンティックですが、小さい子どもがいたり土台が不安定な場所で使うなら安全なLEDがおすすめ。ランタンは専用のポールに吊るすこともできるので、置いたり吊るしたりして灯りで心地いい空間を作り、お茶やワインを楽しみます。充電式のブランケットや電気ケトルを用意して寒さ対策も万全に。
もうひとつのおすすめは、庭の木やベランダの植物に灯りをあて、昼とはちがった風景を楽しむこと。最近は自宅の周囲に木々を植えてライトアップし、葉や木のシルエットが浮かび上がるようなステキな家まわりにしているところも増えています。住んでいる人はもちろん、近くを通る人にも「お帰り」といってくれているような光景で、その家に住む人のセンスを感じます。
街はそろそろクリスマスのイルミネーションが灯る頃ですが、その前に紅葉シーズンの今、ライトアップされた庭園の風景で秋を満喫しておきませんか?
京都では毎年11月中旬から、清水寺、高台寺などいくつもの紅葉の名所がライトアップされます。東京都内ならば大名庭園で知られる「六義園」でも同じ頃にライトアップが行われます。ふだんあまり目にすることのない夜の日本庭園。特に秋色に染まった庭がほのかな灯りに包まれるようすは、この季節にしか見られないものです。
きらめくイルミネーションとは違い、庭を主役にした上品なライトアップは住む人の心を癒してくれる温かいもの。小さなLED照明ひとつで家の外観は変わります。部屋の窓やウッドデッキから見る庭は季節ごとに変わり、朝と夜でも違って見えます。忙しく過ごした1日の終わりに部屋の電気を暗くして、ライトアップされた庭を見ながらゆっくり過ごす。こんなスローライフ、憧れますね。