部屋干しは天候に左右されず好きな時間に洗濯物を干せて便利ですが、一方で独特のニオイが気になる人も多いのではないでしょうか。洗濯物が乾きにくく、部屋が洗濯物で占領されることや部屋に湿気がこもるのも悩みのタネ。そこで、湿気やニオイを防ぐ方法や早く乾かせる工夫など、上手な部屋干しのポイントをご紹介しましょう。
共働きなどで日中、不在が多い家庭では、天気の変化に対応できないため、晴れていても室内に干す人が多いようです。部屋干しには、実は外干しのネックを解消するメリットがたくさんあるのをご存じですか?
天気に左右されない
部屋の中に干しておけば急な雨で洗濯物が濡れてしまったり、強風で飛ばされたりする心配がありません。天候を気にせず、自分の好きなタイミングで洗濯物を干したり取り込んだりすることができます。
花粉やホコリがつきにくい
外干しをすると、目に見えないホコリや花粉、黄砂、排気ガスといった汚れが洗濯物に付着することがあります。でも部屋干しなら、そんな心配はありません。
紫外線で衣類が変色しない
強い紫外線は色あせや生地の日焼けといったダメージの原因になりますが、部屋干しなら紫外線によるダメージを防げます。特にデリケートな素材やお気に入りのおしゃれな洋服は部屋干しがおすすめ。退色を防ぎ、衣服がより長持ちします。
プライバシー保護や防犯につながる
外干しの洗濯物から「どんな人が住んでいるのか」や「留守にしているか」などがわかる場合があり、特に一人暮らしの女性にとっては不安なものです。外に干さないことでプライバシーが守れますし、空き巣被害などの防止にもつながります。外から丸見えにならず、外観に生活感が出ないのも部屋干しの良さです。
ちなみに、マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査(※1)によると、天候に関係なく部屋干しをする人の割合は約30%に上り、意外と多いことがわかりました。年代別でみると20~30代で「部屋干し」と回答した割合が他の年代より高く、特に30代では37.3%を占めています。
上でご紹介したメリットもあり、家事や子育てと仕事の両立などで忙しい世代にとって、部屋干しは家事負担の軽減にもつながっているのでしょう。夜洗濯して夜干すなど、自分たちの生活スタイルにあった部屋干しを行っている人も多いのではないでしょうか。
また、近年、部屋干しを快適にする家電やアイテム、設備などの商品が充実してきたことも後押ししていると思われます。
※1 株式会社クロス・マーケティング「洗濯に関する調査(2022年)」より
部屋干しは日光や風など自然の力を借りることができません。そのため「カラッと乾かない」、「ニオイが気になる」といった不満を感じることも......。痛感している人も多いと思いますが、あらためて部屋干しのデメリットをチェックしておきましょう。
洗濯物が乾きにくい
部屋干しの場合は太陽光や風など自然の力に頼れないので、たとえ風通しも日当たりも良好な場所に干したとしても、外干しのような速乾効果は得られず、乾きにくいことがあります。
臭くなりやすい
部屋干しの一番のネックが「ニオイ」ではないでしょうか。ニオイは洗濯で落としきれなかったたんぱく質や皮脂といった汚れが酸化したり、雑菌が繁殖したりすることにより発生します。部屋干しによって洗濯物の乾燥に時間がかかると、汚れの酸化や雑菌の繁殖が進み、洗い方によってはイヤなニオイが出てしまうことがあります。
部屋に生活感が出る
家の中で最も日当たりや風通しの良いのはリビングという住まいが多く、実際、くつろぎの場となるリビングに洗濯物を干している人も少なくありません。でも、洗濯物が見えると生活感丸出しになり、せっかくのインテリアも台無しです。来客時などは見た目が特に気になり、いちいち片付ける手間もかかります。
家の中に干すスペースが必要
室内に洗濯物を干すには、それなりのスペースが必要です。家族分の洗濯物を干すとなると、けっこう広いスペースが占領されてしまうので、浴室や脱衣所だけでは干しきれないこともあります。
洗濯物がもっと早くカラリと乾いて、イヤなニオイも残らないのなら、本当は部屋干しをしたい......。そんな人は多いはず。でも、あきらめないでください。不満をすっきりと解消する快適な部屋干しのコツをお伝えします。忙しくてもできる、簡単なコツもお教えします。
洗濯物は溜めておいて週末にまとめて洗おうと考えがち。でも、洗濯待ちをしている間にもニオイの原因である雑菌がどんどん増えてしまいます。こまめに洗濯・部屋干しをして、できるだけ短い時間で乾かすのがニオイを防ぐコツ。特に湿気の多い梅雨時は普段よりペースを上げて洗濯をしましょう。
それでは、洗う前から干すまで、部屋干しのコツ10選を時系列で紹介します。
脱いだ衣類や使ったタオルなどを、洗濯機の中にポンと放り込まないようにしましょう。適度な湿気がある洗濯機の中は雑菌が繁殖しやすく、洗濯機に入れたままにしておくと、汚れはどんどん酸化し、雑菌も繁殖してニオイの原因を生むことになります。そうなると、洗剤を使って洗いなおしても落としきれずに残ってしまうことも......。
すぐに洗わない洗濯物はランドリーボックスに入れるようにしましょう。ランドリーボックスはメッシュ素材など、できるだけ通気性の良いものがおすすめです。また、明らかに湿ったものは、一度ハンガーなどにかけて乾かしてから入れるのがニオイを防ぐポイントです。
洗濯機のフタを閉めてしまうと、雑菌が繁殖したり湿度が高くなったりして、カビが生えてしまう可能性があります。洗濯後はフタを開けっ放しにしておいて、中を十分に乾燥させましょう。洗濯槽の定期的なクリーニングも忘れずに。できれば1〜2ヶ月に一度、最低でも半年に一回は洗濯槽専用の洗剤や漂白剤を使って掃除をしてください。
洗剤は指定通りの量を守ることが大事。少なすぎても多すぎても、効力を発揮しきれません。特に多く入れすぎると、洗濯で溶け切れなかった洗剤の残りかすが衣類や洗濯機の中に残り、雑菌やカビを発生させる原因となったりすることもあります。また、指定どおりの量であっても、粉末の洗剤は溶け残ることがあるので要注意。気になるときは、一度お湯で溶かしてから使うといいでしょう。
洗濯液を衣類全体に行き渡らせるには、洗濯物を詰め込みすぎないことも大切。詰め込みすぎると汚れが落ちにくくなります。洗濯機の容量に対しての洗濯物の量は7〜8割が適切です。洗濯物が多いときは洗剤をたくさん入れるのではなく、2回に分けて洗うことをおすすめします。
部屋干し用の洗剤は、従来の洗剤よりも除菌力が高く、香りもプラスされているので、部屋干しで気になる生乾きのニオイを防ぐ効果があります。また、除菌&抗菌効果がある酸素系漂白剤を一緒に使うとさらに大きな効果を上げることができます。
ただし、使いすぎによって衣類に過剰な香りが残り、周囲には悪臭に感じられる場合もありますから、洗剤の使いすぎには気をつけましょう。
洗濯物は終了のサインが出たら、できるだけ素早く洗濯機から取り出して干しましょう。湿気がこもり、適度な温度もある洗濯機の中は、時間が経てば経つほど雑菌の宝庫になり、ニオイが発生して洗濯物に再びついてしまいます。タイマーをセットしておく場合も放置せず、すぐに干せる時間を設定してください。
カーテンレールや長押などに洗濯物を干している光景をよく見かけますが、これはやめましょう。カーテンや壁は案外汚れていて、汚れが洗濯物についてしまいますし、カーテンにカビが発生する原因にもなります。また、窓や壁があるために空気も動きにくく、乾くのに時間もかかります。
湿った洗濯物同士がくっついたり、密集しすぎたりすると、乾くスピードが落ちてしまいます。したがって洗濯物はできるだけ広いスペースに干すのがベストです。スペースに限りがある場合も、洗濯物と洗濯物の間に風が通るように、できるだけ間隔を開けてハンガーを掛けるなど、洗濯物同士が触れ合わないようにしましょう。
丈の長いものと短いもの、厚手のものと薄手のものは、交互に並べると風の通り道ができ、乾きやすくなります。また、バスタオルやシーツなど大きなタイプのものはピンチハンガーで蛇腹に干すと、少ないスペースでも重なり合わずに干すことができます。
空気が動かないと湿気がその場に滞って、いつまでも洗濯物が乾きません。サーキュレーターや扇風機を上手に使って風を起こしましょう。風の向きに対して、洗濯物を平行に干すと、洗濯物の間を風が流れ、素早く乾かすことができます。サーキュレーターや扇風機は室内で布団を干すときにも効果的。湿気の多い部屋には小型の除湿機を置くこともおすすめします。
換気扇やエアコンの除湿機能を使って湿気を取り除くのも賢い手です。リビングや寝室などに干すのが目障りなときは、物干しスタンドなどを置いたりして洗濯物を干すといいでしょう。もちろん、洗濯乾燥機や浴室乾燥機を利用するとさらに家事がラクになり時短になるはず。
ちなみに、お風呂場は部屋干しにおすすめのスペースのひとつ。浴室乾燥機がない場合でも換気扇があるため、湿気を追い出しやすいからです。また、当然、濡れたり湿気が溜まったりする場所としてそれに応じた作りになっているので、壁や床などを湿気によって傷める心配がありません。
天井に取り付け可能な物干しや、キャスター付きのステンレス製室内物干し、浴室扉や室内ドアの枠に取り付けて使うハンガーフックなど、空間を有効利用して省スペースで洗濯物が干せる便利グッズがたくさん登場しています。コンパクトなものなどさまざまなタイプがありますから、使い勝手に合わせて選びましょう。また、生乾きのイヤなニオイを防ぎつつ汚れもキレイに落とせる、部屋干し用の洗濯洗剤などもあるため、活用したいですね。
どの家庭も抱える家事の悩みといえば、「とにかく時間が足りない」ことではないでしょうか。もしこれから家づくりを検討される際は、洗濯家事の時間が短くなる工夫を取り入れることで、ゆとりが生まれて好きなことに使える時間が捻出できるかもしれません。
たとえば、「脱ぐ・洗う・干す・たたむ・しまう」という一連の作業がスムーズに進む動線になるように、間取りを工夫すると良いでしょう。
洗濯機置き場のある脱衣所を広く取ってランドリースペースにし、そこに室内物干しやアイロンカウンターを設置しておく。さらに洗面所やお風呂場の隣などに、大型のウォークインクローゼットを設置する。さらに近くに服や下着、小物類に分けてしまえるファミリークローゼットや個別の収納を造り付けて、家族それぞれが自分の衣類を自分で収めるようにするなどです。
今回ご紹介した部屋干しのコツ10選に加え、わが家の生活スタイルに合った空間や動線づくりも、ぜひ取り入れてみてください。
>家事が楽になる!さまざまな洗濯空間をマンガで紹介!
漫画でわかる!「初めての家づくり」⑲~それぞれの洗濯空間(2)~