●ステキに子育てLIFE
2017/07/07 公開
せっかくの七夕も、雨やくもりで天の川が見られない……そんな経験、よくありますよね。7月7日は梅雨の最中で星空鑑賞には不向き。ではなぜそんな時期に七夕の日があるのか? 「七夕のヒミツ」をまとめて紹介します。
じつは、かなり読み方が難しい「七夕」。これほど知られている行事でなければ「たなばた」と読むのは困難かもしれません。そもそも、「神様の罰で天の川の両側に引き離された織姫と彦星が、一年に一度だけ、七夕の日に川を渡って会うことができる」という有名な中国の伝説に、「たなばた」というフレーズは出てきません。「たなばた」はどこからきたのでしょうか?
もともと、七夕は中国の伝説と日本の伝説が合わさった行事。日本には、「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれる乙女が衣を織って水神様もしくは先祖の霊に捧げ、水辺で禊(みそぎ)を行うことで、神が厄災を持ち去るという言い伝えがありました。これに、機織りが上手な織姫にちなんで、裁縫や習字の上達を祈るという中国の風習「乞巧奠(きっこうでん)」が結びつきました。「たなばた」の読みは「棚機津女」に由来しているというのが一般的な説です。
江戸時代、七夕は五節句のひとつに定められ、一般でも広く行われるようになりました。成長が早く、生命エネルギーの象徴とされる笹に短冊や飾りを結ぶのは、日本独特の習わしです。飾りにも意味があり、短冊は学問や習字の上達、網は豊魚、吹き流しには機織りの上達、折鶴には長寿の願いがこめられています。
また、あまり知られていませんが、七夕の行事食はなんとそうめん! この日に索餅(さくべい。そうめんの原型と言われている中国の小麦料理)を食べると病気にならないという中国の伝説に由来し、江戸時代頃にそうめんを食べる風習が広く伝わるようになったと言われています。そのため保育園や学校によっては、七夕の日の給食にそうめんを出すところもあります。
日本三大七夕祭りといえば「仙台七夕まつり」「湘南ひらつか七夕まつり」「安城七夕まつり」。このうちもっとも古いのが、仙台の七夕まつりです。すでに江戸時代、伊達政宗公が藩主だった頃から仙台の地には七夕の行事がありました。
ただ、当時は旧暦だったため、七夕行事が行われていたのは現在の8月。これにならって、仙台では今でも七夕まつりを7月ではなく8月に行っています。同様に、他の地域でも8月に七夕まつりを行うところが多くあります。
七夕が雨に見舞われるケースが多いのは、明治以降に太陽暦が採用され、7月7日が梅雨シーズンにあたってしまったためです。そこで国立天文台では旧暦7月7日を「伝統的七夕」と呼んで、星空観察をしようと提案しています。「仙台七夕まつり」の項でもお伝えしたように、旧暦の7月は現在の8月。この時期ともなるとすっかり梅雨も明け、星空が眺められる可能性もアップします。
2017年の伝統的七夕は8月28日。電気を消して、夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。織姫の星はこと座のベガ、彦星の星はわし座のアルタイルで、はくちょう座のデネブと共に「夏の大三角形」を構成しています。ベガとアルタイルにかかる帯のような光は、数億以上の星が集まる天の川。さらに天の川を下ると、赤く光る星・さそり座のアンタレスも見つかります。
子どものころから馴染みのある行事でも、よく調べてみるとさまざまなエピソードが隠されています。わたしの家では他にも節分をテーマにした「伝統派もトレンド派もチェック! 子どもと楽しむ節分」や、鯉のぼりをテーマにした「"キャラのぼり"も登場! カラフルな鯉のぼりで子どもの成長祈願」などの記事を掲載しています。夏休みの自由研究として、親子で伝統行事のルーツや地域ごとの風習を調べてみるのはいかがでしょうか。興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。