取り組み事例02木材建材流通の商習慣を変革
電納言 〜納品書・請求書をデジタルで〜
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基本方針デジタルを活用した業務変革で生産性向上 (自動化・省人化・省力化)
背景
日本の木材建材流通業界が抱える課題
木材建材流通業界は、歴史がある分、古くからの慣習が色濃く残っていました。例えば受発注や請求関連のやり取りは紙による郵送が多く、送付する側・受け取る側双方の事務手間が多く紛失事故も起こりやすい状態。コミュニケーションもFAXや電話を用いることが多くあったため、FAXは文字が潰れて読み間違えたり、電話でのやりとりもミスが発生しやすく、様々な点で効率的とは言えない状態が課題でした。人財不足が深刻化する中で、業務効率化のための対策が不可欠でした。
しかしながら、これは業界全体の課題のため1社で解決することは困難。そこで住友林業は、業界の課題解決につながるサービスとして「電納言」の開発に着手しました。
「電納言」の開発は、その搭載機能の参考とするため、お取引先様へのヒアリング調査から始めました。その結果、商材によっては、メーカー側の設定単価と実際の販売単価が異なる場合があり、メーカー側と発注側が異なった金額で伝票処理することにより発生するズレ(違算)を早期発見したいニーズがあり、このためには発注・仕入の情報のデータ化が必要であることがわかりました。
また、納品書・請求書は郵送やFAXで送るとなると、時間のロスも発生します。いつ届くのか正確に把握することが難しいため、時間に余裕があっても手元に納品書が届かないことには仕入単価の照合作業もできない。毎月の締日前には、早く送るようにと電話で催促するなどの作業を余儀なくされていた担当者も多くいました。
「電納言」システムの概要
「電納言」は、住友林業からの納品書・請求書をデジタルで受け取ることができるサービスとしての提供から始まりました。納品書・請求書のデータが毎日更新されてダウンロード可能な状態になるほか、エクセルでデータの加工ができるCSVやPDFでの出力機能、注文番号や仕入先名、品番や金額、数量などからの検索機能、データの10年保管などの機能を持ちます(図1)。
図1.「電納言」のイメージ
サービス申込後、電納言のURLにアクセスすればすぐにブラウザ上で利用できるため、パソコン上の難しい設定などは不要です。
「電納言」は様々な作業の効率化に寄与しましたが、特に、従来週一回の郵送で届いていた納品書・請求書が毎日更新となったことで、書類が届いたその日から膨大な数の情報を一気に確認するという作業がなくなり、平準化することができました。ご利用されているお取引先様の中には、「電納言」の情報を自社システムと連携し、仕入情報照合の自動化に取り組むケースもあります。
「電納言」サービスの広がり
2024年末時点での「電納言」の導入先は967社、拠点数単位では3,262カ所に上っています。「電納言」の導入先がここまで広がった背景としては、コロナ禍を契機としたお取引先様でのテレワーク普及や、場所を選ばない多様な働き方を目指す時代背景に合致するなど、本サービスの使い勝手の良さを実感頂けているためと考えています。
今後の取り組み方針
現在の木材建材流通業界では、少子高齢化等による人手不足の中、限られたリソースを有効に活用するため、事業と業務の変革を進めていくことが必須であると考えています。
そのため、納品書・請求書をスピーディーに届けるだけでなく、業界にとって有益となるサービス・機能を提供していくため、業界全体の事業・業務をデジタル化、効率化できるプラットフォームの一部となるよう継続的な改善を進めていきます。
具体的な取り組みとして、仕入データと納品データの照合や、業界特有の違算※1 データの管理など、お取引先様が日常的に行っている業務を効率化し、より重要な業務へ注力できる時間を確保できるようサポートできるサービス・機能を提供してまいります。
- ※1 違算
- 発注側・受注側間で品番、数量、金額などの認識に差異が発生すること。