取り組み事例03ビッグフレーム構法で構造設計を「全自動化」
5時間がAIで10分に短縮
CASE
- ホーム
- 取り組み事例 - 03 ビッグフレーム構法で構造設計を「全自動化」5時間がAIで10分に短縮
基本方針デジタルを活用した業務改革で生産性向上 (自動化・省人化・省力化)
背景
高まる構造設計業務負荷
建築基準法改正や省エネニーズへの対応など、建物への要求が高まっていることを背景に、住友林業の構造設計を担当するチームの対応事項は増加の一途をたどっていました。独自技術であるビッグフレーム構造※1 の設計システムにおいても、構造計算や建物の安全性に関する技術基準を満たすために多大な時間を費やさなければならず、納期調整や人財確保が課題となっていました。また、構造設計者の知識や経験・力量によってバラつきがないように業務プロセスを標準化することも急務でした。こうした経緯から、デジタル技術を活用した設計業務の効率化・高度化に向け従前より準備を進めていました。
- ※1 ビッグフレーム構法
- 日本初の木質梁勝ちラーメン構法を用いた住友林業オリジナル構法。大断面の柱と梁を強固に緊結することで高い耐震性を確保しながら、大空間や大開口の計画が可能。また、柱よりも梁を優先した「梁勝ちラーメン構法」を採用することで、間取りの制約も少なく、将来的な間取り変更も容易。
取り組みの全体像
CAD入力が全自動化する「全自動構造設計システム」の概要
「全自動構造設計システム」は、建物形状や柱、梁の位置などの構造計画をもとに居住性、耐震/耐風性、施工性、製造コストを考慮し、AIが最適な構造部材を選定します。また、選定した構造部材をCAD※2 に入力する作業も自動化されるため、CAD入力作業も含めた計算業務にかける時間を短縮することができます。(図1)
- ※2 Computer Aided Design
- コンピュータ上で図面の作成を行うためのソフトウェアツールのこと。

図1:全自動構造設計システムイメージ
取り組みの効果
5時間の業務が10分に短縮、最大97%の業務時間が削減
「全自動構造設計システム」によって、従来、構造設計者が約5時間※3 費やしていたCAD入力業務が10分程度で完了、最大97%の業務時間の削減に繋がりました。(図2)
※3 住友林業アーキテクノにおける構造設計システム平均入力時間(「全自動構造設計システム」導入前実績)

図2:構造設計業務と全自動化範囲
施工精度の向上や製造コストの削減にも寄与
「全自動構造設計システム」を導入することで、構造設計者の知識や経験によってバラつきのあった業務プロセスが標準化されるため、結果確認に要する時間を短縮することができました。
また、AIが最適な施工手順や材料の歩留まり※4 を考慮して設計するため、施工精度の向上や製造コストの削減にも寄与することができています。
- ※4 歩留まり
- 木材など、加工前の材料に対して実際に使用した材料の割合。
今後の取り組み方針
現状、構造設計者が柱や梁の適切な配置を考えている構造計画の作業も全自動化していきます。また日々の業務で蓄積した構造設計データやAIを活用して、さらなる作業時間の短縮を目指します。また、申し込みから設計、施工、引き渡しまでの住宅生産プロセス全般でAIを活用したDXを加速させ、木造住宅の付加価値やお客様満足度の向上を目指します。