フォレスターハウスの歴史
別子山の荒廃と大造林計画
1691年(元禄4年)に開坑された別子銅山(現:愛媛県新居浜市)。
19世紀後半の別子銅山では、長年にわたる過度な伐採と煙害によって、周辺の森林が荒廃の危機を迎えていました。
当時の別子支配人、伊庭貞剛(後の第2代総理事)は「国土の恵みを得て事業を続けていながら、その国土を荒廃するに任せておくことは天地の大道に背く。別子全山を“あをあを”とした姿に返さねばならない」と考え、1894年、失われた森を再生させる「大造林計画」を樹立しました。試行錯誤を繰り返し、多い時には年間200万本を超える大規模な植林を実施した結果、山々は豊かな緑を取り戻していきました。
第2代住友総理事 伊庭貞剛
(住友史料館提供)
1881年の別子銅山→2022年の別子銅山
(住友史料館提供)
フォレスターハウスの開設
フォレスターハウスは、「大造林計画」の樹立100周年を記念し、1993年(平成5年)に、かつて植林用の苗木を栽培する苗畑があった別子山中七番に開設されました。
昭和26年 山根 スギ苗畑
昭和30年 七番山 苗畑
フォレスターハウスとは
Forester(木を植えた人々・森林技術者)にちなんで名付けられたフォレスターハウスは、大断面集成材を利用した木構造の建物で、館内には植林の歴史や林業の施業などについて学ぶことができる資料が多数展示されています。また、屋外には森林浴を楽しめる遊歩道が整備されており、ヒノキやシラカバなど60種類以上の樹木や、アヤメ、シャクヤク、カタクリなどの草花が季節ごとに施設を彩っています。
「住友の植林事業ゆかりの地」に開設された当施設は、先人達から受け継いだ、自然環境と調和しながら森林再生を繰り返す「保続林業」の思想を広め、より豊かな森を作るための新しい森林文化を発信する基地です。
館内 大断面集成材を利用
「住友の植林事業ゆかりの地」記念碑