創業以来330年の間、時代のニーズに合わせながら事業領域を拡大し、現在のグローバルな事業体制を構築してきました。
これからも経営理念を根底に据えながら、「木」の可能性を引き出すことで、
多様化する価値観や社会の変化に応えるとともに、持続的な成長を目指していきます。
住友林業グループは、公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。
住友家が別子銅山(愛媛県新居浜市)を開坑し、「銅山備林」経営を始めたのが住友林業グループの原点です。森林から調達した木材は、銅の精錬に欠かせない薪炭や、坑道の坑木、採掘・精錬に従事する人の住む家などに活用されました。
19世紀後半、別子銅山では長期間に及ぶ過度な伐採と煙害によって、周辺の森林が荒廃の危機を迎えていました。当時の別子支配人、伊庭貞剛は「国土報恩」という考えのもと、1894年、失われた森を再生させる「大造林計画」を樹立しました。
保続林業という理念を掲げ、多いときには年間250万本を超える大規模な植林を実施した結果、山々は豊かな緑を取り戻すことができました。また、大造林計画が一段落し、その維持・育成や伐採・製材にも力点を置くことで、持続可能(サステナブル)な経営である保続林業を確立させていきました。
紋別にある国有林を購入したことにより北海道での山林経営をスタート。翌1918年には宮崎県から依頼を受け、宮崎を中心とした九州での造林事業を確立。1940年にはインドネシアのゴム園経営の依頼を受け、引き受けたことで国際化を進めていくことになりました。
財閥解体により、住友の林業部門は6社に分割。2度の合併を経て四国林業と東邦林業の2社となった後、1955年四国林業と東邦林業が合併し、住友林業となりました。
住友の事業精神は、住友家初代・住友政友が商売上の心得を簡潔に説いた「文殊院旨意書(もんじゅいんしいがき)」を基に作られたもので、住友グループに現在もなお引き継がれています。
目先の利益にとらわれず、中長期的な目線で事業を行いましょう
自分たちのためだけでなく、社会のためにも事業を行いましょう
設立時の取り扱いは国内材が中心でしたが、1950年の貿易自由化を機に、南洋材の取り扱いを開始。1955年のフィリピン材の取り扱いを皮切りにマレーシア、インドネシアと事業展開を図り、1958年には米材やニュージーランド材の取り扱いも開始しました。
1970年9月に、日本向け原木の安定仕入れのためにPT.Kutai Timber Indonesia (KTI)社 を設立。加工工場も建設し、合板の製造を開始しました。当社の海外製造事業出発点でもあります。
設立以降、木材・建材を中心に商社事業を展開してきましたが、安心・安全な木造住宅を社会に提供したいという想いから、1964年に分譲住宅事業に進出。1975年には、東京と大阪を拠点に、営業から設計・工事・アフターサービスまで一貫して行える体制を整え 、本格的に木造注文住宅事業に乗り出しました。
木材・建材、住宅、資源分野の研究を一元化し、「木」の可能性を最大限追求することが可能になりました。さらに、研究学園都市という好立地を活かし、共同研究や技術交流を通じ、技術力や研究開発効率の向上を実現しました。
ビッグフレーム構法は、純粋な木造フレームのみによる木質ラーメン構造では国内で初めて、国土交通大臣の認定を取得。設計の自由度、大空間、大開口を実現するとともに、2~3世代にわたり住み継げる、資産としての住まいを実現しました。
超高齢化社会の到来により、長年、住宅事業を通じて培った快適な住空間を創造するノウハウを活かし、高齢者に向けた安心・安全な住環境を提供するために、介護事業へ参入しました。
インドネシア東カリマンタン州スブル地区において、山火事や違法伐採で荒廃した熱帯林を、もとの生態系に戻すプロジェクトを開始。13年間で累計73.8万本の植林を実施した結果、果樹類が実を結び、生態系の改善に貢献することができました。
木材・建材の流通拠点だったワシントン州シアトルで分譲住宅の販売を開始。当社の建築・不動産事業の出発点です。
人口増による安定的な成長が見込める豪州の住宅市場において、大手住宅メーカーであるHenley Properties Groupと合弁会社を設立。当時、日本の住宅メーカーで初の豪州戸建住宅事業への進出となりました。
2011年2月に、建築廃材等を主燃料とした都市型の川崎バイオマス発電所を稼働させ、環境エネルギー事業へと参入。建築廃材や未利用材を活用し、再生可能でクリーンなエネルギー開発に取り組み、温暖化抑制に貢献しています。
2010年の「公共建築物等木材利用促進法」施行により低層の建築物については原則、全て木造化を図ることが決定。これを皮切りに非住宅分野(店舗、病院、カフェ)における木造化・木質化を開始しました。
1691年の創業から350周年を迎える2041年を目標に、高さ350mの木造超高層建築物を実現する研究技術開発構想W350計画を発表。高層建築物の木造化・木質化と街を森にかえる環境木化都市の実現を目指すことで木材使用量・炭素固定量を拡大し、地球環境負荷の低減にもつなげます。
京都大学と協業し、世界初の「国際宇宙ステーション(ISS)での木材の宇宙曝露実験」を開始。宇宙空間で木材がどのように劣化するのか、劣化メカニズムを解析。本実験を通じて高機能な木材の開発に繋げ、宇宙での利用拡大に取り組みました。
2009年、農林水産省の「森林・林業再生プラン」の発表により木材自給率をアップさせる目標が掲げられました。国産材の利用拡大に向けて、国産材の調達をグループ会社である住友林業フォレストサービスに、営業・販売は住友林業(大連)商貿、住友林業ベトナムと協力し中国、韓国、台湾、ベトナム向けに輸出を開始しました。
ネルソン市にて、ラジアータ・パインの植林地である森林を取得。この木材は成長が早いうえ、加工性、塗装性に優れており、住設機器や家具、建材などに最適な材料です。当社の製造拠点と港に近接しているという立地上の優位性があるため、長期にわたり安定した収益を見込んでいます。
2018年に宅地開発会社、ならびに集合住宅・商業施設などを手掛ける総合不動産開発会社の持分を取得し、戸建分譲住宅だけでなく幅広い領域の事業を展開することでアメリカにおける収益基盤の安定化と多角化を進めています。
英国の不動産開発業者Bywater Properties Limitedと合弁会社を設立し、ロンドンで木造6階建て環境配慮型オフィス開発事業に参画します。当社が住宅・不動産事業で欧州に進出するのは初めてのことでした。
2024年12月時点
独自のビジネスモデルで世界各地のニーズに
応える新たな価値を提供しています。
(2023年12月時点)
長い歴史の中で培ってきた日本全国、
世界に拡がるネットワークは、最大の強み。
総面積は約4.8万haとなり、
その広さは東京ドーム約1万個分。
海外でも森林を管理・保有。
2030年までに国内・海外合計
100万haまで拡大予定。
森林認証材・認証過程材、植林木材、天然林材で
その森林の施業・流通が持続可能であると
認められるもの(転換林由来材を除く)、
リサイクル材を
「持続可能な木材及び木材製品」と定義。
国内外で伐採した森林の再造林実施率です。
住友林業が国内・海外で保有・管理する
森林の炭素固定量です。
(2023年12月時点)
国内6か所の木質バイオマス発電所の
電力供給量の合計で、
約55.5万世帯分の電力を
供給しています。