北欧の木材を国内集成材メーカーへ販売。
集成材は住友林業が手掛ける住宅にも
使用される。
入社以来、国内木造住宅の構造材に使用される集成材原料(ラミナ)の仕入れ・販売に関わっています。集成材とは、いくつかの木材を貼り合わせて作る建材であり、私が仕入れたラミナは国内の集成材メーカー(岡山や奈良など、林業が盛んな地域に多く所在)に販売され、加工されます。その建材は当社自身も仕入れ、我々が手掛ける家づくりに使用することもあります。集成材は柱や梁に使用されるため高い強度を有していますが、柱の場合は表面の美観を求められることもあります。その他にも、お客様である集成材メーカーが求める品質や特徴に応える原料を探して仕入れてくる、ということが私の主な仕事です。集成材メーカーは私たちにとって仕入れた原料を販売するお客様であり、当社の住宅用建材の仕入れ先でもある、という点が他社と違う点であり、川上から川下までを担う当社の事業の特徴や強みを象徴している独自性であると思います。求める強度や価格、加工のしやすさなど様々な条件を勘案して仕入れを行いますが、フィンランド、スウェーデンなどの北欧、バルト三国あたりの製材工場から針葉樹である欧州アカマツ・欧州トウヒなどの製材品を仕入れるケースが多いです。
危機を乗り越えられたのは、
木材商社営業としての使命感が
あったからこそ。
入社4年目、当社の欧州拠点であるアムステルダム駐在事務所で仕事をすることになりました。日本向けの木材製品の仕入れや検品、工場や森林の視察などを行っていましたが、大きな危機に直面したことがあります。我々が求める品質の木材がなかなか入手できず、ようやく求める品質の木材を発見しても値段が通常の倍近くに跳ね上がっている、迷っているうちにその木材も誰かに買われてしまう、というとても厳しい状況でした。このままでは、日本向けの木材の供給がストップしてしまう。そうなると日本の住宅供給もままならなくなり、消費者に多大な負担がかかる。そのような状況は絶対に避けなければならず、いまこの時こそ踏ん張りどころだと思いました。様々なところから情報を仕入れるため、木材業界の会議に足を運ぶ、ネットで調べた企業に訪問など、考えられることにはすべて取り組み、新規の木材サプライヤーをリストアップし、コンタクトをとりました。今まで住友林業が足を踏み入れていない、地域のサプライヤーにもアプローチしました。その結果、いくつかの新規取引先の開拓に成功し、日本向けの木材供給をなんとか確保することができました。
未開拓国や地域企業と
新規ビジネスを行うチャレンジ。
持続的な木材供給の実現に
貢献できたという誇りとやりがい。
自分自身でも足を踏み入れたことのない国や地域の企業を新たに開拓しビジネスを行うという経験は、とてもチャレンジングで刺激的なものでした。住宅を求める日本の消費者の皆様、そして我々のお客様である集成材メーカーに対しても、木材不足の環境下で工場を稼働させ続けることに貢献できたことは、誇りとやりがいも感じました。取引先とは継続的な関係構築が基本でありますが、その当時に新規開拓したお客様とは今も取引があるため、新たな供給体制を築くことにも貢献できたと思っています。持続的な供給、という観点で言えば国産材の活用も重要になると考えています。もともと私が入社する背景になったのも、国内の林業を活性化させ持続可能な事業として確立していきたい、という想いがあったからです。今後は国産材の知識もより習得し、積極的に提案できるようになりたいと思っています。商社という存在は自らが何らかの生産を行うわけではないいため、常に存在価値を意識することを心がけています。より良いものをより安く、求めるものを迅速に自分が直接お届けする。仕入れ先と販売先の両方に価値を感じてもらうことが私の仕事だと思っています。
自分に課せられた「使命」を認識し、それを全うしようとして動いている時は「本気」なのだと思っています。商社で働く人間として存在意義が問われるような状況に直面した時は、何としてでも結果を出さねば、という想いがより強くなるものです。「自分は、何のためにこの仕事をしているのか」と考えることが、自分の実力を発揮するために必要なことであると日々意識しています。