国内外で大規模な森林経営を展開。
インドネシア現地と連携して進める山林管理。
私が所属する資源環境事業本部は、木を植え(植林)、森を育み(営林)、商品・資源として活用(伐採)、そしてまた植える、計画的な森林経営を展開しています。広大な国内社有林は約48,000ha、国土の800分の1に相当します。海外ではインドネシアに約140,000ha、ニュージーランドに約36,000ha、パプアニューギニアに約31,000haの管理面積を有し、森林経営を行っています。また、森林資源を活かす取り組みである木質バイオマス発電事業も、資源環境事業本部の取り組みの一つです。私が所属する森林資源部は海外3ヶ国にある植林会社の管理、新規植林事業の検討を行う部署で、私はその中でもインドネシアを担当しています。具体的な役割は、現地の駐在員と連絡を取りながら、植林会社の日々のオペレーション進捗や月次の業績を把握し部内に報告することや、現場が抱える課題について一緒に考えて対応策を講じること。さらに買収案件などの新規事業を行う際は、事業試算や法務面でのサポート、事業実施を経営会議に附議するための資料作りも行っています。日々、海外山林の買収案件が舞い込んでくるので、その収益性を含めた経済的・社会的意義、環境・地域への貢献などを調査します。
入社2年目、九州・日向山林事業所での経験。
現場を知り、連携・協働する大切さを痛感。
私はかつて国内社有林の管理を担当していました。入社2年目で九州の日向山林事業所に配属。初めての現場であり、試行錯誤の日々。林業の仕事、山林の見立て方、地元の業者との接し方等、すべてがわからないことばかりでした。間伐の作業を地元の業者に依頼した時のことでした。その時は作業完了後に初めて現場に確認に行ったのですが、間伐後の山の仕上がりがイメージと異なっていました。およそ30%の間伐を依頼したのですが、実際確認してみると10~20%。そこでその事業者に手直しをお願いしましたが、返ってきた言葉が「何を考えている!山の仕事をなめているのか!」。その方は長年の経験から、状態の悪い木が少ないと判断し、山のことを考え、間伐する本数を減らしたのです。業者の言うことは正しかった。それ以上に、現場に足を運ばず、進捗管理を怠り、仕事をしてもらう相手のことを何一つ考えていなかった自分に気付いたのです。山林管理は現場を知ることがどれほど大切か、実際に作業をする業者の方々との連携・協働すること、信頼関係を構築することがいかに重要か、身に染みて痛感しました。その後、入社5年目にニュージーランドに、入社6年目にはパプアニューギニアに赴任。日向山林事務所での経験があったからこそ、現地で適切な対応が実践できたと思っています。
植林地の拡大戦略に伴う海外の山林管理。
日本の林業活性化に資する
ビジネスを創りたい。
住友林業は海外植林地拡大という大きな戦略があり、各国の山林所有会社や山林自体に投資することで、植林地拡大を進めています。私がニュージーランドに赴任した際も、買収前の現地調査に参加しました。海外でも国内同様に、木や自然を相手にする仕事ではありますが、それを動かすのはやはり人。現場の山林のプロとコミュニケーションを取る中で、信頼関係の大切さに改めて気付きがありました。
一言に植林と言っても、地域によって植えて育てる樹種が異なります。例えばパプアニューギニアでは原木生産や輸出販売の仕事に従事しましたが、この地で扱っているユーカリの木は16から18年で伐採できる大きさに成長します。日本の杉が60年程度かかるのに対し、成長スピードが早い。したがって、それに応じた伐採計画と需要予測に基づいた予算計画が求められます。それぞれの地域で生産した木材は最終的に、紙・パルプの原料や家具、建設資材などの材料として、現地及び海外へ供給されます。
国内外の森林管理を経験する中で感じるのは、日本の森林の中には管理が行き届いていない場所が多く存在することです。森林の劣化は自然、環境のみならず人の生活にも少なくないインパクトをもたらします。そのような状況を打開するために、森林が持つ価値を改めて見出し、さらに多くの価値を生み出すことで、社会や環境保全に貢献できるビジネスを創造することが、私の将来的な目標です。
怖がらず、相手にしっかりとぶつかっていくことです。それは九州の現場で痛感したことでした。当時自分は、山林からも事業者の方々からも逃げていたのかもしれません。本気でなかったことが業者の方の怒りを買ったのだと思います。業者の方の言葉で、初めて「本気」になりました。本気を出さないと、相手に伝わりません。しっかりぶつかっていかないと、本気でないことが分かってしまう、そう思っています。