松岡 頌子2021年入社
私が自然環境に興味を持つようになったのは、小さい頃にテレビで見た砂漠化のニュースがきっかけでした。気候変動や人口増加によってもともと緑豊かだった場所が干からびていく光景を見て、幼いながらに「このままではいけない」と問題意識を持つようになりました。その想いのもと農学部に進学し、乾燥に強い植物を育てるための研究に没頭した後に博士号を取得しました。いざ進路選択の時期になると、このまま研究の道に進むべきか就職すべきか非常に迷いました。企業は営利を目的とした組織であるため、直接的に利益が生まれにくいもの、つまり自然環境のような一見価値が分かりにくいものを対象にした研究には取り組めないと思い込んでいました。そんな中、住友林業が「木」という事業の軸に沿い、すぐには利益が出ないかもしれないけれど、長期目線で見たときに価値のある研究テーマにも取り組んでいることを知り、衝撃を受けました。その様子を見て、数あるハウスメーカーのうちの一社というイメージから、持続可能な社会のために本気で取り組む会社というイメージに一気に変わりました。目先の利益にとらわれず、長期目線で必要となるような研究に集中できる環境があることに惹かれ、入社を決めました。
私は今、筑波研究所で研究員として働いています。筑波研究所は、育林技術や木質材料の開発、木造建築の構法開発など7つのグループに分かれて多様な研究開発に取り組んでいるのが特徴で、「木の力を最大限に引き出すための研究所」といえるかもしれません。その中で私はバイオリファイナリーチームに所属しており、石油由来であるプラスチックなどの化成品を木材由来のものに代替するための技術開発に取り組んでいます。木材を原料とするための方法として、木の強固な構造を細かく分解して糖を取り出そうとしているのですが、これが非常に難しいです。技術的に難しいというのはもちろんですが、技術的に実現できたとしても、事業化につなげるためには安定した結果が求められますし、コストも最適化する必要があるためです。簡単には結果が出ないことは承知の上で、毎日一歩でも前進するために何ができるかを深く考え、焦らず、目の前の実験に全力を注ぐ。取り組んだ末に良い結果が出た際は、スタッフの方々と思わずガッツポーズをしてしまうほど嬉しいです。こうして、共に喜び合う仲間がいることも大きな魅力に感じています。
バイオリファイナリーは将来を見据えた研究開発段階の技術であり、現時点で生活の中に根付いているわけではありません。そのため、自分の仕事が社会に貢献しているとはまだ胸を張って言えませんが、いつか必ず実感できるときが来ると信じて研究を行っています。石油などの化石燃料はずっと昔に死んだ生物から長い年月をかけてできた炭素の貯蓄で、限りある資源です。一方で、植物は大気中からCO₂を吸収して利用することができるため正しく循環させていくことで持続的な利用が見込めます。植物が吸収した炭素をバイオマス資源として利用してプラスチックなどの化成品や燃料などを製造することによって脱炭素社会の実現に貢献することができます。木材の新しい活用先を増やすことで伐採・再植林を促し、木の循環を後押しします。また、私たちがターゲットとするバイオプラスチックは生分解性のため生態系への影響を抑えることができます。一方で、石油という化石燃料を活用するほうが一般的な社会の中で、バイオマス資源のように新たな資源の活用方法をステークホルダーの皆様に選んでもらうのは簡単なことではありません。挑戦的なテーマではありますが、今後事業化できた際には持続可能な脱炭素社会の実現につながる一つの事業になると信じています。
入社前は新しい技術を生み出すことこそが大切だと考えていましたが、入社してさまざまな経験を積む中で、技術をいかに事業につなげるかということも大切だと気づきました。技術はあくまで手段であり、技術を用いて社会にどのように貢献していくかを考えることが企業の務めであると考えます。研究に本気で取り組むだけでなく、事業化するための大きな絵を描き、チームの一員としてその将来像に向かって進んでいくことが、企業で研究職として働く者の使命だと感じています。自分の知的好奇心だけをモチベーションにしてはいけないし、かといってコストや事業としての成功率だけに気を取られてもいけない。両方のバランスをとって研究対象と向き合いつづけたいと思います。そのためには、課題解決力や構想力、マネジメント力といったビジネススキルを伸ばす必要があります。社内の研修制度も活用し学びはじめていますが、今後も自己研鑽しつつ、いつか「木材を使った新しいものづくりによって、社会を支えています」と胸を張って言える日を目指して邁進していきます。
それぞれが担当しているテーマについて、一人ひとり発表します。お互いに「こんな進め方をしてみたら?」とアドバイスし合う時間でもあります。
研究テーマとは別に、グループ内でさまざまな役割分担がされており、私は化学物質の管理を担当しています。実験で使う薬品の法規制を調べ、安全性を確認します。
一緒に実験に取り組んでくれているスタッフの方々と、どのような流れで進めるか、必要な機材や薬品をいつまでに用意するかなどについて確認します。
木材を分解して糖にする実験を行っています。
スタッフの方々と協力し、数時間ごとに実験結果を採集します。データを整理するのも含めて実験です。
チームで実験に取り組んでいるため、退社後にスタッフの方々とおいしいアップルパイを堪能するなど、ねぎらい合う時間を大切にしています。
林 宏樹2012年入社
松田 未由2020年入社
内田 明日花2019年入社
青木 理名2023年入社
西脇 健太2015年入社
市村 直也2007年入社
佐原 健太2017年入社
松岡 頌子2021年入社
猶原 丈雄2007年入社
伊豆 善崇2017年入社
井原 将吾2020年入社
川田 真里亜2020年入社
角 遼太郎2020年入社
鈴木 洸明2017年入社
白井 さおり2016年入社
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松田 未由2020年入社
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川田 真里亜2020年入社
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林 宏樹2012年入社
松田 未由2020年入社
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市村 直也2007年入社
佐原 健太2017年入社
松岡 頌子2021年入社
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