志望していたインドネシアへの赴任。
工場を適切にマネジメントしていく。
入社後、住友林業のグループ会社である、住設機器・建材メーカーの住友林業クレスト(株)に出向し、主に鹿島工場の改善推進業務に従事してきました。現在は、インドネシアにある木質建材製造会社のKTI( Kutai Timber Indonesia)に赴任するための、渡航準備を進めています。KTI社は、インドネシアで長い歴史を持つ外資系の合板製造会社で、合板工場と建材工場、パーティクルボード工場を併設し、世界各国に様々な木質建材を供給しています。私は、約1,250人が働く木質建材工場の管理を担当します。主要製品は、欧州向け防火扉となる部材や風力発電の羽根となる部材、日本企業向けの楽器パーツとなる部材等がありますが、私の役割は、これら製品の製造から品質管理、開発、生産管理、安全管理等を通じて、工場を適切にマネジメントしていくこと。今回の海外赴任は、入社当初から志望していたものです。住友林業では、住友林業クレスト(株)の製造部門で数年間勤務した後、海外の製造工場に赴任するキャリアを歩まれている先輩が多く、海外で働くチャンスがあるのは非常に魅力的でした。
工場の改善を進めるTPM活動の推進者に抜擢。
徹底した「整理・整頓・清掃活動」が生んだ成果。
入社3年目のときです。上職長の退職に伴い、TPM活動の推進者に抜擢されました。TPMとはTotal Productive Maintenance(全員参加の生産保全・生産経営)の略で、製造現場の生産性向上のためのマネジメント手法であり、その活動とは、いわば、工場全体の改善活動を形づくる仕事でした。突然の抜擢となり、明確な経験不足。工場に関する本を何冊も読み、TPMのあるべき姿、確かな成果が出る方法を模索し続けました。その一つが「整理・整頓・清掃活動」です。もちろん、こうした活動は従来からありますが、工場を経営するうえで極めて大切な取り組みなのです。そのレベルを高めていくことを目指しました。たとえば整理であれば、必要なものと不必要なものを明確にして廃棄する。整頓であれば、ものの置き場や置く量を決め表示する。清掃は、このエリアを誰がいつどのように掃除するかを明確にするなど、働く社員に「整理・整頓・清掃」のあり方の認識を変えてもらう取り組みでした。さらに決めたことは遂行するようにチェックシートをつくり、点数を付け、報奨制度を導入するなど、改善活動のモチベーションを維持する仕掛けもつくりました。その結果、工場全体の生産効率が目に見えてアップしたのです。この活動は社長や役員に向けて成果発表を行い、非常に大きな達成感を得ることができました。
生産性向上というミッション遂行へ。
一流の製造管理者を目指して。
工場は継続的改善を行わずに停滞すると、競争に負けて淘汰されてしまいます。その意味でTPM活動は、競争力の源泉です。その際に重要なことは、受け身ではなく、常に主体的に工場のことを考え、改善すべき事項を見出し、責任を持って実施することです。さらにTPM活動の重要な点は、全員参加であるということ。そのためには従業員の理解を得る必要があります。「会社の方針で決まったから改善活動をやる」のではなく、一人ひとりに改善活動の背景や意義、内容を噛み砕いて説明し、それぞれが理解して取り組むことで成果は大きく違ってきます。TPM活動は、そうした社員の意識改革にもつながるものです。赴任予定のKTIの現地駐在員とは、密に連絡を取っているのですが、現在工場のミッションとして挙げられているのが生産性の向上です。生産性は年々向上しているものの、コスト競争力で他社より優位に立つために、生産性をより向上させる必要があります。これが私の最初のミッションになります。その実現に向け、これまで培ってきたノウハウやスキルを現地工場の改善に活かしていきたいと考えています。文化や価値観が異なる難易度の高いフィールドで、従業員の安全確保やお客様が満足する品質、環境に配慮した工場づくり、従業員の高いモラルの実現など、一流の製造管理者を目指したいと思っています。
達成するために無我夢中で取り組むことだと考えています。私が経験したTPM活動は、私が担当するまで課長職の方が担当しておりました。突如辞令あり、入社3年目であった私が担当することに。荷が重すぎると感じましたが、工場経営をするうえで極めて大切な活動であり、競争力の源泉であることを認識していたので、達成のためにシナリオを描き、無我夢中で取り組み、結果を残すことができました。