記録的な大雨や干ばつ、平均気温や海面水位の上昇。
二酸化炭素の増加による気候変動が世界各地で現れています。
そんな中、私たちにとって急務となっている脱炭素社会へのシフトチェンジ。
きたる2030年に向け、住友林業は脱炭素について本気で考えました。
どうしても削減できないCO₂排出量を
森林のCO₂吸収量を増やすことで±0にする社会
木の効能を活用した
心身ともに健やかに暮らせる社会
私たちは、地球環境、人々の暮らしや社会、
市場や経済活動に価値を提供することで、
将来世代を含むあらゆる人々やすべての生き物に、
地球が快適な住まいとして
受け継がれていくことを目指します。
これまでも強みとしてきた「森」と「木」の価値を
生かし、深め、新たな未来の力へと変えていきます。
「カーボンニュートラル」の実現に向け、化石燃料の使用削減、再生可能エネルギーへの代替など、可能な限りの削減努力をしてもCO₂排出量ゼロの達成は困難です。残りの排出量は、森林のCO₂吸収量を増やしてオフセット(相殺)することが重要です。
世界では森林火災や農地への転用など森林の減少によって大量のCO₂が排出されており、 森を守ることが重要です。CO₂吸収源である森林を適切に管理し、2030年までに保有・管理する森林面積を合計50万haまで拡大していきます。
日本では森林の高齢化によるCO₂吸収量の低下が課題です。十分にCO₂を吸収した木は伐採し木材として利用しながら、再植林することで、森林の若返りを図り、さらにCO₂吸収量を増やします。
木は光合成で大気中のCO₂を吸収し炭素として取り込みます。木が伐採され木材などになっても、炭素は蓄えられたままです。
炭素を蓄えた木材を活用することは、社会の炭素固定量の増加につながります。
木材製品の取扱量・製造量を増やす、これまで木材以外の素材でつくられていた製品を木材で代用するなど、木材の使い道を広げていきます。
今まで、鉄骨・鉄筋コンクリートで造られてきたものを木造に変えていくことで、より多くの木材を使い、炭素固定量を増やし、建築時のCO₂排出量を削減します。
特に中大規模建築は鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主流ですが、木造建築の普及を目指して、事業強化を図っています。
森林経営から木材加工・流通、木造建築、バイオマス発電まですべてを手掛ける住友林業。
この「WOOD CYCLE」を回すことで、事業全体を通じて自社のみならず、社会の脱炭素化に貢献します。
住友林業の森林経営のノウハウを生かし、プロジェクトに参加する企業のカーボンオフセットに貢献する森林投資プロジェクトです。ファンドの仕組みを活用することで個々では実現できない面積・資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を実践します。また生物多様性の維持や水資源の保全といった自然資本としての森林の価値を高めていきます。
日本には多くの木材資源があるにもかかわらず、国産材自給率は約4割にとどまっています。国内の林業課題を解消すべく、植林・伐採から製造・加工・販売、製造時に発生する端材のエネルギー利用までをワンストップで行える木材コンビナートを設立し、木質資源に対する付加価値向上と林産業従事者の雇用創出、国産材の安定供給と価格競争力の強化を図ります。
木造建築は木材が吸収した炭素を長期間固定し、脱炭素社会の実現に大きく貢献するとともに、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べ、建てるときのCO₂排出量を大きく削減できます。国内外で中大規模木造建築事業を拡大しています。
建設業界では「建てるときのCO₂排出量」の削減が課題となっています。建物の一生涯のCO₂排出量や炭素固定量を計算できるソフトOne Click LCAの日本単独代理店契約を締結。木材や低炭素建材の利活用を推進し、日本の建設業界における脱炭素設計のスタンダード化を目指します。
2003年、世界最大の木造住宅市場であるアメリカの住宅事業を開始しました。次いでオーストラリア、アジアへ進出、M&A戦略による企業の買収を通じてグローバル規模で木造化を推進し、街を森にかえています。
世界では貴重な生態系である熱帯泥炭地と森林が失われつづけています。この問題に対し、2023年に株式会社IHIと合弁会社「株式会社Next FOREST」を設立。住友林業の持つ熱帯泥炭地管理技術とIHI社の人工衛星を用いた観測技術、AIを掛け合わせ、従来の人手に頼った調査、計測、計画立案を省力化することでよりスピーディに適切な泥炭地管理手法を広めることを目指しています。これにより貴重な生態系を育む熱帯泥炭地を守り、世界の気候変動へ対応します。
また、新たな森林計測技術の開発により自然資本の価値をより正確に評価し、カーボンクレジット創出に貢献します。