日本で注目されている北欧の暮らしやインテリア、そして空間づくり。シンプルで、飽きることなくいつまでも活用できる北欧のデザインは、日本のデザインと共通する点が多々あります。
この記事では、北欧デザインと日本のデザインとの共通点や、北欧デザインが日本で人気の理由を紹介します。
どこか似ている北欧と日本
日本で注目されている北欧の暮らしやインテリア、そして空間づくり。シンプルで、飽きることなくいつまでも活用できる北欧のデザインは、日本のデザインと共通する点が多々あります。
この記事では、北欧デザインと日本のデザインとの共通点や、北欧デザインが日本で人気の理由を紹介します。
日本と北欧は地理的に遠く離れているにもかかわらず、多くの共通点を持っています。ここでは、その共通点をいくつか紹介します。
日本と北欧は両地域とも、自然との調和を重視し、四季の変化を大切にする文化を育んできました。
北欧インテリアに自然のモチーフが多いのは、Friluftsliv(フリルフスリフ)という価値観が根底にあるからです。Friluftslivはノルウェー語で「自然のなかで、自然に寄り添い、ありのままに暮らす」という意味です。
島国である日本でも、荒々しい自然の流れに逆らわず、風や光を取り入れて共存する暮らしを送り続けてきた点で共通しています。
自然と共生する北欧のライフスタイルは、建物やインテリアにも反映されています。
シンプルで質素な暮らしを送る北欧で好まれているのは、機能的で使いやすいデザインです。北欧では木や革など、経年変化する素材をメンテナンスしながら長く使うことで、住環境が整えられてきました。
日本の歴史を見ても、1970年代前半には物質的な豊かさが求められていたものの、1970年代後半に均衡し、1980年代以降には心の豊かさを求める感性に変わっていった点も、自然との共生に安らぎを見いだす北欧の価値観と共通しています。
日本と北欧はともに、個人の尊重とコミュニティの調和を大切にする社会構造を持ちます。北欧は、個人の成功を追求するというよりも、むしろ社会全体の幸福を優先する価値観を持つ傾向にあります。
日本人が持つ「和」の精神は、集団の調和を重視しながらも個人の役割を認識する考え方です。このように、人とのつながりに関する日本の価値観も、北欧と通じるものがあります。
日本人に好まれている、北欧デザイン。
ここからは、北欧デザインと日本のデザインに共通する部分を紹介します。
北欧デザインは、デンマークやスウェーデン、フィンランド、ノルウェーなどの北欧諸国から発信されたデザインで、無駄がそぎ落とされているのが特徴です。家具やインテリアは余計な装飾を排除し、シンプルな線や心安らぐような曲線が使われ、花や葉といった自然素材や動物が使われている商品が多々あります。これらは、自然の美しさやあたたかさを感じることが、北欧の幸せな暮らしの根底にあると考えられているからです。
日本のデザインにも北欧と同じく、落ち着いた色合いや天然素材がよく使われています。壁や扉などにも北欧デザインと同じく木が使われ、自然と調和がとれたデザインが多く見られます。シンプルさや余白を好み、淡い色彩やぼかし、グラデーションが多く使われているのが特徴です。
両デザインとも、日常生活に溶け込む実用性と美しさのバランスを重視し、使う人の快適さや幸福感を追求しています。
北欧デザインが日本で受け入れられている理由は、文化の価値観やデザイン哲学が似ているためです。
北欧には「ヒュッゲ(HYGGE)」という概念があります。ヒュッゲとは、「居心地がいい空間」や「楽しい時間」です。その空間を作り出す術として、北欧の文化ではシンプルで美しく、機能面で良い物を長く使うという概念があります。家具には天然木が使用されており、経年変化によってその味わいが深まるのが魅力です。
一方で、日本には古くから「わびさび」という独特の美意識があります。「侘(わび)」は簡素のなかに趣を見いだす概念。「寂(さび)」は、古びて趣が増すことです。
このように、シンプルさのなかに心地よさを見いだす点で、日本と北欧のデザインが共通しているのです。
機能性と美しさを重視した北欧デザインの考え方は、限られたスペースを効率的に活用する日本の住環境ともマッチしています。両文化とも品質と持続可能性を重視する点でも価値観が一致しており、これらの要素から、北欧デザインが日本で受け入れられています。
北欧の気候は日本よりも冬は寒く、夏は暑いのが特徴です。
そのようななかで造られてきた北欧住宅の特徴を紹介します。
北欧住宅には、大きな窓があるのが特徴です。北欧は寒い時期が長く、太陽の位置が低いため、陽の光が西日のように低い位置にしか差し込みません。そのため、大きな窓をつくることで自然光を存分に取り入れ、室内を明るく開放的な雰囲気にし、心地よい生活環境を実現しています。
北欧は厳しい自然環境に対応するため、住宅の断熱性能が非常に高くなっています。高性能な断熱材を使用することにより、エネルギー効率が向上し、冷暖房コストの削減につながります。結果として、環境に優しく、経済的かつ年間を通じて快適な室内環境を維持できるのです。
北欧住宅は、無駄を省いたシンプルで機能的なデザインです。洗練されたデザインは清潔感や開放感のある空間を作りだし、疲れた心身をリラックスさせてくれます。多目的に使える家具や収納設計により、限られたスペースでも窮屈に感じさせません。この美しさと実用性との調和が、長く愛される住まいを実現します。
北欧住宅には、木材をはじめとする自然素材が多く使われているのが特徴です。これらの素材は、化学物質の放出が少なく、健康被害のリスクを低減させます。木材は周囲の湿度が高いときには微量に水分を取り込み、乾燥しているときにはごくわずかに内部の水分を放出する効果を持ちます。この調湿効果により、快適な住環境が実現するのです。自然素材の温かみは、視覚的にも触覚的にも心地よく、日常にやすらぎを与えてくれます。
北欧で心地の良い空間や時間を表す「ヒュッゲ(HYGGE)」には、「人とつながる」という意味も込められています。実際に北欧の住宅設計では、オープンなリビングダイニングや、屋外とのつながりを持つテラスなど、家族や友人との交流を促進するような空間づくりが欠かせません。
オープンな空間だけでなく、プライバシーとのバランスがとれた設計により、心地よさを生む社会的なつながりと個人の静かな時間との両立ができます。
ここからは、北欧インテリアの特徴を紹介します。
北欧のインテリアは装飾が少なく、白を基調としたナチュラルで明るい点が特徴です。なぜなら、中心となるのは「家具」ではなく「人」だと考えられているためです。ブラックやグレーのようなモノトーンな色との組み合わせも多く、ナチュラルさのなかに上品さも感じられます。
北欧では、長く暗い冬を少しでも快適に過ごすため、光や照明に気を使っています。
北欧照明は、家具と同様にシンプルで、自然との調和がとれたデザインです。日本はかつて畳の部屋が主流でしたが、フローリングの部屋が増えたことで、部屋の雰囲気に合うと、北欧照明の人気が上がっています。曲線デザインやウッド調の照明は空間になじみ、あたたかく心地よい光で照らしてくれます。
森林資源が豊かな北欧は、部屋のなかに木を使った家具を多く配置するのが特徴です。
木のなかでも、特に無垢材を使うことで経年変化を楽しみながら、ひとつの家具を長く使い続けます。例えば重くて堅く、日本でも住宅や店舗などの床で多く使われているオークや、明るく優しい色合いのビーチ(ブナ)などが家具に使われ、ホッと落ち着く住環境を実現しています。
どこか似た感性や美意識を持っている、日本と北欧。美しさと機能性との調和を追求する北欧デザインは、わびさびや余白に美しさを見出し、限られたスペースを有効活用する日本人の価値観とどこか似ているように感じられます。自然光あふれる空間や高い断熱性能、シンプルで機能的なデザイン、そして人と人とのつながりを大切にする住環境。これらの要素は、現代の日本人が求める理想の住まいそのものといえるでしょう。
「フォレストガーデン呼続公園」が提案するのは、単なる住宅ではなく、心豊かで持続可能な暮らしの形です。
日本の住文化と相性が良い北欧デザインを取り入れることで、未来を見越したサステナブルな暮らしをかなえます。