近年、家づくりで平屋に注目が集まっています。ワンフロアに生活空間がまとまっていて、家事などで階段を上下せずにすみ、家族でコミュニケーションを取りやすいといった点が人気のようです。しかし平屋は、必要な部屋数や収納を設けようとすると建物が大きくなり、広い土地が必要になるケースもあります。そこで登場したのが、平屋の快適さを備えつつ、必要なスペースをプラスできる1.5階建ての住まいです。平屋と2階建てのいいとこ取りをした1.5階建てについて紹介します。

東広島展示場(広島県東広島市西条中央3-23-18 広島テレビ住宅展示場 東広島ハウジングフェア)
1.5階建ての家とは、平屋をベースとしながら平屋にコンパクトな2階を設けた住宅です。「平屋を建てたいけど、敷地の条件などから部屋数や収納が少し不足してしまう」「2階建てにするほどではないけれど、書斎やゲスト用の寝室などのスペースも欲しい」といった場合にぴったりな選択肢かもしれません。
平屋のようにLDKや水回り、主寝室といった主要な生活空間を1階に集約したうえで、「上の階」にプラスアルファの空間を持つことで、平屋では確保が難しかった書斎や趣味の部屋、収納スペースなどを実現しやすくなります。このように、「暮らしの快適さの基盤は1階に置きつつ、必要な分だけスペースを追加する」という点が、一般的な平屋や2階建てとの大きな違いといえるでしょう。
ちなみに1.5階建てという名称は、平屋と2階建ての中間を意味するものとして使われる表現ですが、建築基準法では1.5階建てという区分はありません。上の階に設けるスペースが、天井高1.4m以内のロフトなら平屋となり、天井高がそれを超えるなら2階建ての扱いとなります。今回の記事で紹介している1.5階建てのプランは、建築基準法では2階建てとなります。
>漫画でわかる!「初めての家づくり」㊼平屋+αの住まい方~土地に合わせた1.5階という選択~

1.5階建ては平屋と2階建ての長所を併せ持つようにも思えますが、どう選べばいいか迷うかもしれません。以下に、平屋と2階建てのそれぞれと比べた1.5階建てのメリット・デメリットについてまとめました。
| 1.5階建てのメリット | 1.5階建てのデメリット | |
|---|---|---|
| 平屋と比較して | 部屋や収納スペースを増やせる コンパクトな敷地でも計画しやすい | 上下の移動が発生してしまう |
| 2階建てと比較して | 1階部分で普段の生活を完結させられる ライフスタイルの変化に対応しやすい | より広い土地が必要になる場合がある |
平屋は1階のみのため、部屋数や収納を増やすには建築面積を広げなければならず、より広い土地が必要になります。1.5階建てなら、平屋よりも土地の制約を受けにくいといえるでしょう。特に都市部やその近郊では土地の価格が高い傾向があり、平屋を選ぶと延床面積がコンパクトになりがちですが、1.5階建てならゆとりを持って暮らせる可能性が広がります。
また、1階にゆったりとLDKと家族の個室などを配置しながら、上の階に必要なスペースを計画できるのが1.5階建ての魅力です。書斎・ワークスペース、セカンドリビング、ゲスト用の寝室、収納といったように、暮らしに合わせて多目的に活用できます。上の階の独立性を高めた間取りなら、ライフスタイルの変化に合わせて使い方も変えやすいでしょう。
平屋で庭や駐車場を確保したいときは、限られた土地をそれぞれに配分することになります。同じ敷地面積でも、1.5階建てにすることで上の階に室内スペースを増やせるので、外構計画や駐車スペースを充実させることが可能です。庭や駐車場もしっかり設けたいという人は、1.5階建てを検討してみると良いでしょう。
1階で生活のほとんどを完結できる間取りにした1.5階建てでも、上の階へ行き来するため階段の上り下りが発生します。LDKや水回り、寝室などを1階に配置することで、ワンフロアで普段の生活が完結できるよう計画するのがおすすめです。老後に備え、階段の勾配を緩やかにする、荷物を持っても上り下りしやすいよう幅を広くするといった対策をしておくと安心です。
>おしゃれな平屋の間取り11選! 30坪未満~40坪台、1LDK・2LDK・3LDK・4LDKの間取り
2階建ては二つのフロアを行き来するのが暮らしの前提になりますが、1.5階建てなら、1階にLDKや水回りはもちろん、寝室や子ども部屋など日常使いする空間をまとめる計画にすれば、平屋のようにワンフロアで快適に暮らせます。普段の生活は階段を上り下りすることなく送ることができる点が魅力です。また、洗面台やトイレなど水回りを含めて、生活空間をコンパクトにまとめることで、冷暖房や照明にかかる光熱費、メンテナンスの維持費も、2階建てより節約しやすいといえるかもしれません。
1.5階建ては生活の基本を1階で完結させる設計が人気になっています。子どもが独立するまでは上の階を子ども部屋として活用し、独立したら、生活の拠点を1階のみに集約することで、階段の上り下りがないワンフロアでの生活が可能です。また、使わなくなった上の階のスペースは、ゲスト用の寝室や趣味室、書斎など、その時々の暮らしのニーズに合わせた空間として使用でき、長期的に住みやすい工夫ができるでしょう。
1.5階建ては、LDKや寝室、水回りといった主な生活空間を1階にまとめることが多くなるため、1階と2階の広さがほぼ同じ総2階建ての住まいと比べると、1階部分の面積(建築面積)が大きくなる傾向があります。同じ延床面積の家を建てる場合でも、1階が広いということは、それだけ広い敷地(土地)が必要になる可能性がある点は、注意しておくと良いでしょう。

RSK第二展示場(岡山県岡山市北区撫川1558 RSKハウジングプラザ)
落ち着き空間や集中スペースなど、目的に応じて上の階のスペースを自由に活用でき、暮らしにゆとりを生む、1.5階建てならではのプラン例を紹介します。ぜひ住まいのデザインのイメージを膨らませる参考にしてください。


建築面積:158.42㎡(47.92坪)
1階床面積:137.85㎡(41.69坪)
2階床面積:99.25㎡(30.02坪)
延床面積:237.10㎡(71.71坪)
1.5階建てに多い大屋根のデザインをベースに、箱形の構造を組み合わせることで、開放的な「広々としたフラットバルコニー」を実現しています。
アウトドアで自然の光と風を感じてくつろぐことができ、壁を立ち上げることでプライバシーも確保しています。

また、普段の生活は1階で行いながらも、上の階にバーラウンジスペースを置くなどゆっくりくつろげるような間取りとなっています。


大宮展示場(埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4-264-1 さいたま新都心コクーンシティ住宅展示場)

米子(木の家Lab.)展示場(鳥取県米子市両三柳2360-7 自社(単独:山陰営業所))
近年の働き方や暮らし方の変化を受け、家で過ごす時間が増えたことで、"おうち時間"を充実できる住まいに関心が集まるようになりました。


建築面積:120.91㎡(36.57坪)
1階床面積:114.07㎡(34.50坪)
2階床面積:43.06㎡(13.02坪)
延床面積:157.13㎡(47.52坪)
1階LDKは勾配天井や大開口により開放感を高め、自宅で多彩な過ごし方を楽しめるようにしています。一方、上の階にはテレワークや勉強などに使えるデスクスペースを設け、開閉できる引き戸で1階と空間を仕切って集中できるよう工夫しています。さらに奥には独立したシアタールームや納戸があり、1.5階建ての特徴を活かした"おうち時間"に対応する住まいとなっています。


米子(木の家Lab.)展示場(鳥取県米子市両三柳2360-7 自社(単独:山陰営業所))

RSK第二展示場(岡山県岡山市北区撫川1558 RSKハウジングプラザ)


建築面積:169.09㎡(51.14坪)
1階床面積:155.05㎡(46.90坪)
2階床面積:91.64㎡(27.72坪)
延床面積:246.69㎡(74.62坪)
大屋根の裏側全体を木張りの勾配天井にすることで、包み込まれるような居心地の良さを実現しました。1階に生活で必要なスペースをすべてまとめ、上の階にはラウンジスペースや、セカンドリビングや趣味室に使える洋室、収納など1階に収まりきらなかったスペースをうまく確保しています。

1階は、玄関土間、LDK、洋室など、それぞれの間をガラス戸で緩やかに仕切っています。オープンな設計により家事がしやすく、家族が互いにつながりを感じて暮らせるようになっています。

RSK第二展示場(岡山県岡山市北区撫川1558 RSKハウジングプラザ)


建築面積:72.87㎡(22.04坪)
1階床面積:71.21㎡(21.54坪)
2階床面積:36.43㎡(11.02坪)
延床面積:107.64㎡(32.56坪)
コンパクトな敷地であっても、1階をメインにした平屋のような暮らしができる間取りと、複数台の駐車スペースや広い庭を確保したいという希望を叶えたプランです。1階の床面積を抑えることで収まりきらなくなった子ども部屋や収納を上の階に設けているのがポイントです。将来的に子どもが巣立った後は、上の階のスペースをゲスト用の寝室や趣味室などにも使うことができ、1.5階建ての特徴が活かされた間取りとなっています。


建築面積:74.52㎡(22.54坪)
1階床面積:72.87㎡(22.04坪)
2階床面積:39.74㎡(12.02坪)
延床面積:112.61㎡(34.06坪)
1階に生活の主要機能をまとめながら、上の階にデスクスペースを設けた間取りです。1階のリビングなど生活空間から程よく距離を置くことで、リモートワークやオンライン会議にも集中しやすい環境を確保しています。書斎としてだけでなく、子どもの勉強スペースや趣味の空間としても活用できるでしょう。
さらに、上の階にはウォークインクローゼットも配置。季節の衣類や布団、スーツケースといったかさばる物をまとめて収納できるため、1階の居住空間を常にスッキリと保つことにもつながります。


建築面積:94.40㎡(28.55坪)
1階床面積:88.71㎡(26.83坪)
2階床面積:51.96㎡(15.71坪)
延床面積:140.67㎡(42.54坪)
上の階の独立性を高め、将来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる間取りの事例です。1階にLDKや主寝室など主な生活空間をまとめつつ、上の階にもトイレやミニキッチンを置いているのが最大の特徴です。1階とは別に簡単な調理や飲み物の準備ができるため、上の階を一つの独立した空間として活用しやすくなります。例えば、子どもが成長した際のプライベートルームや、ゲストが気兼ねなく滞在できるゲストルームとして重宝するでしょう。
また、親世帯との「緩やかな二世帯住宅」として活用するなど、家族の形やライフステージの変化に合わせて多目的に使える点も魅力です。

平屋の住まいは、生活がワンフロアで完結することで家事動線がスムーズになる点や、建物の高さを抑えた水平ラインを活かしたデザインの美しさなどから、世代を問わず人気を集めています。
しかし、「平屋では趣味スペースや収納スペースなどが足りない」といったときにおすすめなのが、1.5階建てです。
住友林業の1.5階建て注文住宅「プラスカイ」は、平屋にプラスの価値を広げる家づくりを提案しています。ワンフロアに生活空間をまとめた快適さ、大屋根を活かした開放感のある勾配天井の豊かな空間の広がり、上の階部分のスペースとの程よい距離感で暮らしやすい間取りを実現しています。ゆるやかな屋根勾配は街並みに圧迫感を与えることなくたたずまいを感じさせる外観で、コンパクトな敷地でも建てやすいため、土地探しの選択肢を広げて検討できるのが特徴です。
※「プラスカイ」:建築基準法上では2階建て扱いとなります。詳しくはお問合わせください。平屋と2階建ての「いいとこ取り」を叶える、住友林業の1.5階建て『プラスカイ』。外観デザインや間取りなど、理想の住まいづくりに役立つ情報をもっと詳しく知りたい方は、無料のWEBカタログ請求がおすすめです。また、多様なライフスタイルに合わせた、建築面積・延床面積の異なるモデルハウスがあり、外観のデザイン、間取りや収納、動線を実物で確かめられます。興味のある方は気軽に訪ねてみることをおすすめします。
>平屋の1.5階建てPLUSKY|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
