●みんなのいえ かぞくのへや
2019/01/04 公開
カレンダーには「小寒」「大寒」「立春」などのことばが書かれていることがあります。これは「二十四節気」と呼ばれており、古代から使われてきた季節の目安を示すもの。それぞれの意味を知ることで四季を深く味わうことができそうです。
「二十四節気」は古代中国で生まれた暦で、1年を約15日ごとに24等分したもの。昔は月の満ち欠けを基準にした「太陰暦」が暦として使われていましたが、暦と季節にずれが生じていました。そこで季節を知る目安として作られたのが、太陽の位置をもとにした「太陽暦」です。しかし、太陽暦においても年によっては暦と季節に多少のずれが生じることから、そのずれを調整するために二十四節気が太陽暦に取り入れられました。
二十四節気をさらに3分割したのが「七十二候」です。約5日ごとに次の候へと移り、両方を知ることで季節の変化をより細やかにとらえることができます。
では、二十四節気や七十二候のことばには、どんな道しるべが隠されているのでしょうか。一部を以下に紹介します。短い期間にも細やかな季節の変化があることがわかります。
●大寒(だいかん) 1月20日頃
1年でもっとも寒いころ。寒気を利用するとおいしくなる酒や味噌などを仕込むのに適しているとされ、寒仕込みの時期です。
○大寒の七十二候
凍てつく寒さの中、春の芽吹きに向けてじっとたえる草花や、春の気配を感じて産卵の準備につく鶏(にわとり)を表現することばが並びます。
・款冬華(ふきのはなさく)
・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)
・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)
●雨水(うすい) 2月19日頃
雪が雨へと変わるころ。農作業を始める目安となります。この日にお雛様を飾ると良縁に恵まれると言われています。
○雨水の七十二候
雪どけにより潤いだす大地や霞(かすみ)がかった春の景色、草木の芽吹きを感じさせることばが並びます。
・土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)
・霞始靆(かすみはじめてたなびく)
・草木萌動(そうもくめばえいずる)
●啓蟄(けいちつ) 3月6日頃
暖かくなり冬ごもりをしていた虫たちが這い出てくるころ。昔はカエルやヘビも虫と考えられていました。
○啓蟄の七十二候
冬眠から目覚め始める虫たち、桃の花が咲き始める様子、さなぎから羽化して美しく羽ばたく蝶を連想させることばが並びます。
・蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)
・桃始笑(ももはじめてさく)
・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)
●清明(せいめい) 4月5日頃
「清浄明潔」の略で、清々しい春の陽気で花が咲き始めるころ。ちょうどお花見のシーズンにあたります。
○清明の七十二候
暖かい南の島で冬を過ごしたつばめが日本に飛来し、それとは逆に日本で冬を過ごした雁(がん)が北へ帰っていく様子や、春の空に虹がかかる風景が浮かぶようなことばが並びます。
・玄鳥至(つばめきたる)
・鴻雁北(こうがんかえる)
・虹始見(にじはじめてあらわる)
●小暑(しょうしょ) 7月7日頃
梅雨の終わりころで、大雨に注意したい時期です。この頃から徐々に暑さが増していきます。暑中見舞いを出し始めるのもこの頃です。
○小暑の七十二候
暖かい風が吹く中、水面に蓮の花が咲く様子や、春に生まれた鷹の幼鳥が飛び方や狩りを覚え出すことを表現したことばが並びます。
・温風至(あつかぜいたる)
・蓮始開(はすはじめてひらく)
・鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)
中国から伝わった二十四節気のほかに、日本の気候や風習に合わせた日本独自の暦を「雑節(ざつせつ)」といいます。主に農作業の目安になっていて、「節分(せつぶん)」「彼岸(ひがん)」「社日(しゃにち)」「八十八夜(はちじゅうはちや)」「入梅(にゅうばい)」「半夏生(はんげしょう)」「土用(どよう)」「二百十日(にひゃくとおか)」「二百二十日(にひゃくはつか)」があります。
童謡『茶摘(ちゃつみ)』の歌詞にある「夏も近づく八十八夜」はまさしく雑節の「八十八夜」のこと。立春から数えて88日目の5月2日頃をさし、この日に摘んだ新茶は縁起がよいともいわれています。
立春から数えて210日目の「二百十日」は9月1日頃にあたり、台風の多い日として警戒されていました。諸説ありますが、江戸時代の天文暦学者である渋川春海(しぶかわはるみ)が釣りに出ようとしたところ、漁師から「二百十日は海が荒れる」と聞き、その通りに荒天になったことから暦に記されるようになったといわれています。9月1日は奇しくも関東大震災が発生した日でもあり、現在は防災の日となっています。
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