庭のある家でどんな暮らしを思い描いていますか?「草花を眺めながらのんびり過ごしたい」「ガーデニングを楽しみたい」「芝生のある庭で子どもがのびのび遊べるようにしたい」など夢は膨らみますよね。そんな希望を叶えるために、DIYの庭づくりに挑戦する人も多いでしょう。でも初めての庭づくりは、何からスタートすべきか分からないという人も多いはずです。そこで、基本的な進め方はもちろん、DIYで実現できる多彩な庭づくりのアイデアと必要なアイテムなどを、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
庭のDIYのメリット・デメリット、そして初心者が庭づくりを行う上での注意点も改めて確認しておきましょう。
メリットは主に以下のような点でしょう。ものづくりが好きという人や、少しでも費用を抑えたいという人は特に楽しめるのではないでしょうか。
プロに依頼せず自分で庭づくりをする場合、以下の点は理解しておきましょう。
以上のようなメリットやデメリットがありますが、この記事では、初心者でも比較的簡単にできる庭づくりのアイデアを紹介します。その前にまずは庭づくり全体の流れを把握しておきましょう。
庭づくりは下記のような流れで進めていくと良いでしょう。順番にポイントを解説していきます。
・庭の使い方を考える
まずは庭をどう使いたいのか目的を明確にしましょう。いつも花に囲まれた庭にしたい。家庭菜園を楽しみたい。読書やランチを楽しみたい。子どもやペットと一緒に思いっきり遊びたいなど、庭でできることはたくさんあります。自身や家族にとって理想の「庭がある暮らし」をイメージしましょう。また、お手入れの時間があまり取れない、草むしりはなるべくしたくないなど、できないことや避けたいことを明確にしておくのもポイントです。
・好みのテイストを考える
四季を採りこんだ趣のある和のスタイルや、落葉広葉樹と下草で里山のような懐かしい雰囲気を醸し出す雑木の庭、自然風の景色をつくって楽しむイングリッシュガーデン、手入れされた芝で開放感を楽しむアメリカンガーデン、岩や自然石を用いる山岳風のロックガーデン、アンティーク調の雑貨が馴染むジャンクガーデンなど、庭の種類は多種多様です。近年は、芽出しから枯れ姿まで草花の一生を慈しむ「ナチュラリスティックガーデン」や、多肉植物を多用する「ドライガーデン」が注目されているように、新しいスタイルも生まれています。
こうしたさまざまなスタイルから自分好みの庭を探して、全体の方向性を決めておくと、統一感のある庭をつくりやすくなります。ただし、庭については家を建てる際に建物との統一感も大切です。ご自身の家(これから建てられる家)に合うかどうかもしっかり検討しましょう。
つくりたい庭のイメージがすぐ思い浮かばないときは、WEBサイトやSNS、住宅展示場などでチェックするのがおすすめです。写真が多くアップされているInstagramで好きなテイストを見つけたり、実際の展示場にも足を運んだりして、具体的なイメージを固めていきましょう。
・アイテムや設備を考える
イメージを探しながら、そこにどんなアイテムや設備をレイアウトするかも考えましょう。シンボルツリーや花壇、目隠しフェンス、子どもたちが遊べるウッドデッキ、草花の水やり用にも使えるガーデンシンクや立水栓(※)、ペットの足洗い場、草むしりの手間を軽減する防草シートなど、わが家の庭に欲しいアイテムを考えてみましょう。
※ガーデンシンクや立水栓などのアイテムで、屋外用水栓を新たに設置する必要がある場合は、専門の業者に依頼しましょう。排水方法についても必ず確認しましょう。
庭づくりにかかる費用は、広さや形、地面の状態、庭でどんなことをしたいのかによっても変わり、数万円でできるものもあれば、数百万円必要な場合もあります。こだわるほど必要なお金が増えていくので、「気づいたら予算オーバーしていた」ということを避けるためにも、予算決めが肝心です。
花や植物を植える場合、理想の庭をイメージしても、庭がある環境や条件によって実現できないこともあります。そのため、以下のポイントをチェックしておきましょう。
・日当たりを確認する
花や植物の成長は日当たりの影響を受けます。季節や時間帯によって日が当たる場所とそうでない場所がある点に注意しながら、1日を通しての日当たりを確認しましょう。中には日当たりが良すぎると弱ってしまう植物もあるので、注意が必要です。
・風通しを確認する
程よく風が通ることは、植物の成長に必要です。風通しが悪いと植物が病気になりやすく、害虫も発生しやすくなります。また、風が強く吹く場所では草木が倒れてしまう場合があります。
・土の状態を確認する
植物栽培には、排水性、保水性、通気性、保肥性の良い土が適しています。
土の良し悪しを確認する方法はいろいろとありますが、触ったりにおいをかいだりするのもひとつの方法です。手で握ると形を保つけれど指でつつくとホロリと崩れる...そんなフカフカとした触感で良いにおいがするのが、良い土の特徴です。
また、排水性や保水性といった水はけは、良すぎず悪すぎずバランスのとれた状態が理想ですが、水はけの良し悪しは、鉢に庭土を入れてジョウロで水をかけるだけでも分かります。
水が土に染み込むように吸い込まれ、鉢底から流れだしてくるのがバランスの良い土です。逆に水をかけると同時に底穴から出てくるのは水はけが良すぎ、土の上部に水が溜まるようなら水はけが悪い証拠です。
この状態を見て、必要に応じて土づくり(土壌改良)を行います。
水はけが良すぎる場合は赤玉土や腐葉土などを加えて、水はけが悪い場合には砂やパーライト(人工の土壌改良資材)を加えて調整します。
・雑草や小石などを除去する
植物を植える際は、根を張りやすくするために、植え場所の小石や雑草はできるだけ取り除いておきましょう。
庭づくりを始める前に、自分の中にある庭のイメージを、簡単でいいので絵にしてみましょう。
例えば、「リビングの日当たりを考えると、シンボルツリーはもう少し端に寄せた方が良さそう」とか「ここに植栽を増やせばボリュームがあって見栄えがしそう」など、どこに何を配置するかをスケッチすることで、頭で考えるだけでは気づかなかったことに気づけることもあります。
また、庭で洗濯物を干す場合など、普段の生活動線も書き入れておくと、より快適な庭づくりができるでしょう。
最初に決めた予算の範囲内で、「どうしてもこれだけは実現したいけど、DIYするのは難しい」というものもあるかもしれません。予算・求めるクオリティ・安全性の確保・工事の難易度などを考慮して、DIYする部分とプロの業者に相談する部分を決めましょう。
何をDIYするのかを決めたら、必要な材料、道具、工具などを揃えて、庭づくりを始めましょう。
初心者でも参考にしやすいアイデアと、あると便利なアイテムを紹介します。
樹木や草花を植えるのは最も手軽に楽しめる庭づくりのひとつでしょう。樹木を植える場合は、日当たりの良い南側に落葉樹を植えるのがおすすめです。夏は茂った葉が暑い日差しを遮り、冬には葉が落ちるため暖かな日差しを屋内へと届けてくれます。日陰でも強く育つ常緑樹は北側に植えて、風を通しながら、外からの視線を遮ってくれます。
<必要なもの>
・樹木や草花
自分の好きな植物を選ぶことで庭への愛着が増します。その上で、季節や庭の環境に適しているか確認しましょう。
・スコップ、シャベル
土に穴を掘ったり、混ぜたり、植物を植え替えたりと、必要不可欠な道具です。
・園芸用のはさみ
剪定や収穫には、植物の枝や茎を傷めないよう、必ず園芸用のはさみを使います。自分の手のサイズに合ったはさみを選びましょう。
・手袋(グローブ)
土で手が汚れるのはもちろん、植物の棘が刺さってしまう可能性もあるので、ガーデニング用のグローブがあると便利です。
・ジョウロ
力が弱い人にとっては、水を満タンに入れると持ちづらくなる可能性があります。水やりをする植物の多さや大きさはもちろん、自分が持ち運べるサイズを選ぶようにしましょう。ハス口を外せるタイプなら、ピンポイントの水やりにも対応します。
・水をまくホース
庭にたくさん植物を植える場合は、散水ホースがあると便利です。
砂利を外回りや小道などに敷くことで、おしゃれな雰囲気を演出することができます。色や大きさ、形にもさまざまな種類があり、選ぶ素材や敷き方によって和のスタイルにしたり洋風にしたりと、庭のデザインを楽しむこともできます。
また、砂利の上を歩くと足音がするので防犯対策としても有効です。砂利の下に防草シートを敷くことで雑草対策にもなり、庭の手入れの負担を軽減できます。
<必要なもの>
・砂利
さまざまな色や形、大きさ、素材があります。芝やコンクリートなど他の素材と組み合わせれば、より庭の景観を高めてくれます。
・防草シート
日光や草の種が入り込まないように、隙間なく敷き詰める必要があります。
・レーキ
広い範囲の砂利をならすには、レーキと呼ばれる道具を使います。土をならすのにも使えます。
・鎌
砂利を敷く前に雑草を取り除きましょう。
・ゴムハンマー
防草シートを地面に固定する際、ハンマーでピンを打ち付けます。
・メジャーとハサミ
砂利を敷くスペースに隙間なく防草シートを敷くために、どれくらいの大きさが必要か測った上で、必要なサイズに切ります。
芝生を敷くことで、見た目にも美しく、リラックスできる庭になります。
砂利よりクッション性が高い芝は外遊びがしやすく、小さな子どもやペットがいる家庭におすすめです。
ただし、ふかふかとした芝生を保つためには、芝刈りが欠かせません。グリーンを楽しみたいけど、手入れに手間はかけたくない場合は、天然の芝生より人工芝がおすすめです。
砂利を敷くのと同様に、下に防草シートを敷くことで雑草対策にもなります。
<必要なもの>
・天然芝
種をまいて育てる方法と、成長した芝をマット状やシート状に切り出した「切り芝(ソッド)」を敷き詰める方法が一般的です。
芝生の種類は大きく暖地型と寒地型に分かれ、どちらもDIYで敷くことが可能です。
日本に自生する暖地型(夏芝)は、高温多湿の環境や、病害虫に強いというメリットがあります。ただ、耐寒性は弱く、沖縄など一部の地域を除き冬は休眠し地上部の葉は変色してしまうので、比較的暖かい地域に向いています。代表的な種類は、ノシバやコウライシバ、バミューダグラスなどです。
寒地型(冬芝)は耐寒性が強いものの、日本の夏のような高温多湿には弱いため、寒冷地に適している芝生です。代表的な種類は、ペントグラスやブルーグラス、ライグラスなどです。
お住まいの地域の特徴や庭づくりの希望を踏まえて、購入先にしっかり確認した上で購入するようにしましょう。
出典:「芝生の種類」より https://allabout.co.jp/gm/gc/400642/
・人工芝
タイルのように並べるマットタイプや、広い範囲を一度に敷くことができるロールタイプがあります。
・デッキブラシやホウキ
芝生のメンテナンスや掃除に使います。
街や公園で素敵な花壇を見つけると、自分の家でもつくってみたくなりますね。鮮やかな緑と色とりどりの花が、庭を一層華やかに彩ってくれます。花壇はレンガや枕木、柵、花壇用のエッジング材で区切ってつくるのが一般的です。ポイントは植える草花の生育に最適な環境選びと、色のバランスを考えてレイアウトすることです。
<必要なもの>
・草花の苗
庭の環境で十分育つ草花を選びましょう。開花期が長い植物や丈夫な植物を選ぶことがポイントです。四季に合わせて選べば、一年中楽しめる花壇をつくることができます。
・培養土
用途に合わせた複数の用土や肥料などが混ぜてある土です。肥料分や水もち・水はけなどが調整されているため、そのまま使用できます。
・レンガやガーデンエッジなどの囲い材
土や水の流出を防ぐための花壇を囲う材料です。選ぶ素材によってデザインを楽しめます。
・モルタル
レンガを積み上げる際に、接着するために使います。砂、セメント、水を適切な分量で混ぜ合わせてつくることもできます。
・砕石(さいせき)
レンガなどを並べた際に浮いてしまうのを防ぐために、下地として敷き詰めます。
・こて、バケツ
モルタルをレンガに塗る際に使います。
庭に小道をつくることで、安全な足元をつくり、散策の時間が一層楽しくなります。レンガや枕木、砂利、石、タイルなどが使われ、選ぶ素材や色合い、並べ方でさまざまな演出が可能です。例えば、きちんと整列させれば、手入れが行き届いたイメージに。無造作に並べると、手づくり感のあるナチュラルな雰囲気をつくり出せます。また、小道に曲線を付けたり、曲がりくねらせたりすることで、奥行き感を演出できます。
<必要なもの>
・小道の敷材
レンガ、枕木、砂利、自然石、タイル、クルミの殻など
樹木や植栽を夜にライトアップすることで、空間に奥行きが生まれ、昼とはまた違ったくつろぎ空間に生まれ変わります。また、足元を照らして安全性を確保する役割や、人感センサーのあるライトを用いて、防犯性を高めることもできます。
<必要なもの>
・ガーデンライト
屋外にあるコンセントにつなぐタイプや、手軽に使える電池式、太陽光で充電できるソーラータイプなどがあります。
晴れた日にのんびりできるリラックススペースや、子どもやペットの遊び場、バーベキューや水遊びなどのアウトドアリビング空間など、外で楽しむ時間をつくり出してくれます。
<必要なもの>
・デッキ材
デッキ材の種類は天然木と人工木(樹脂木)があります。
天然木には、柔らかく加工がしやすいソフトウッドと、硬い素材で耐久性の高いハードウッドがあります。それぞれの特徴を理解して、選びましょう。
人工木(樹脂)のデッキ材は、メンテナンス性や耐久性の面で選ばれることが多い素材です。DIY用の組立キットなどの商品もあり、DIYの初心者でも比較的つくりやすいことが魅力です。
・基礎石(束石)
ウッドデッキの下に据える土台となる部位を指します。設置場所がコンクリートで覆われている場合は必要ありません。
・ノコギリやドライバーなどの電動工具など
各種電動工具をはじめ、メジャー、水平器や指金といった測定器具など、ある程度の道具を揃える必要があります。ホームセンターで木材を購入する際にカットしてもらう、電動工具をレンタルするなどで、コストを抑える工夫ができます。
庭に椅子やベンチを置くことや、造作をすることで、リラックスできる場所が生まれます。庭を眺めながらコーヒーブレイクやランチを楽しんだり、友人を招いておしゃべりを楽しんだりできます。庭が完成したあとのお手入れの合間の休憩場所にもなるでしょう。
<必要なもの>
・ベンチ
屋外用のベンチの素材もさまざまで、木・プラスチック・金属などがあります。例えば、木製のベンチはナチュラルな雰囲気で庭に溶け込んでくれる半面、ずっと外に置いたままだと腐敗する可能性もあります。水に強い素材を選ぶ、防腐処理をするなどして防ぎましょう。DIYする場合は、ウッドデッキと同じように、資材や工具などが一式必要になります。
花や木がつぼみをつけて、やがて花が咲き、果樹には実がなる。何気ない日常の中で、庭を眺めているだけで、季節の移り変わりを実感できます。
庭は毎日、毎年、違った表情を見せてくれる場所です。季節にあわせて新しい植物を植えたり、新しいアイテムをつくってみたりと、庭づくりの楽しみは尽きることがないでしょう。
<関連記事>