パントリーとはどのような空間でしょうか。また、パントリーがあるとどのような暮らしが叶うのでしょうか。この記事では、パントリーの定義をはじめ、パントリーのメリット・デメリット、収納のアイデア、設置するときのポイントなどをたっぷり解説します。これから家づくりを検討する方はもちろん、今まさに注文住宅などを検討中の方も必見です。
パントリーと一口に言っても、壁に棚を作る壁面タイプと、1つの部屋として設けるタイプなどがあります。それぞれにどのような特徴があるかを解説します。
町田森野展示場(東京都町田市森野5-7-25 町田森野住宅公園)
パントリーとは、キッチン周辺やキッチンに隣接する形で設置される収納スペースのことをいいます。食品庫ともいわれます。主にパスタや缶詰、調味料など、常温で保管できる食品のほか、キッチン収納に入らない調理器具や、キッチンペーパーといった消耗品をストックしておく目的で利用されます。そのほか、飲料水や保存食など、災害時の備蓄品を保管する場所としても活用できます。もちろん、設置場所によっては、家電や掃除機、洗面室で使用するモノをしまうこともできます。
壁の一部を収納として活用するタイプです。キッチンのすぐ横や背面に設けることが多く、しまってあるモノがすぐわかることや、料理をしながらでも手が届くなどアクセスの良さが魅力です。
中に人が入れるスペースを確保した、出入口がひとつの小部屋タイプの収納庫です。壁面収納タイプと比べて収納量が多くなるので、ファミリーや買い置きする機会が多い人に向いています。扉を付けるとキッチンまわりがスッキリし、扉を付けない場合はモノの出し入れがしやすくなります。
ウォークインと同じ小部屋タイプですが、入口と出口をそれぞれ設けているので通り抜けできます。例えば、キッチンと玄関がつながる動線にすれば、買い物から帰宅してすぐにパントリーへ直行し、常温保存できるものはパントリーに置くなどスムーズになります。重いお米や飲料水などをそのまま保管できるので、負担を軽減できます。ただし、間取りの工夫や十分な広さを確保する必要があります。
食品のまとめ買いや消耗品をストックできるなど、その収納力がメリットのパントリーですが、他にもメリットはたくさんあります。一方で、デメリットもあり、設置する上での注意点を理解しておかないと、パントリーは使い勝手が悪くなってしまいます。
岡崎第一展示場(愛知県岡崎市昭和町木舟25 岡崎中日ハウジングセンター)
たくさんの食品やキッチン用品を収納できるスペースが格段に増えます。まとめ買いした食品やインターネットでケース購入した飲料水なども、ストックしておくのに便利です。また、食器を置くなどの使い方もできるため、収納に余裕が生まれるでしょう。
収納物の定位置を決めてきちんと収納すれば、在庫状況が把握できるため、食材やキッチン用品などの管理がしやすくなります。また、災害時にも活躍するレトルトや缶詰などの保存食は、いつのまにか賞味期限が切れてしまうこともあるでしょう。収納物を取り出しやすいパントリーがあれば、保存食を日常で使いながら保存できる「ローリングストック」を簡単に実践できます。
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たくさんの食品ストックはもちろん、普段は使わない食器、ストックしておく調味料や消耗品まで収納できるので、キッチンがすっきり片付き、広く使えます。
土岐展示場(岐阜県土岐市土岐津町土岐口字中山1372番1号 ハウジングパークイオンモール土岐)
パントリーには十分な間取りの広さが必要です。無理に作ってしまうと、ほかの部屋の広さを圧迫してしまうかもしれませんし、行き来しづらい場所にあるとストレスを感じてしまいます。必要なスペースを考えることはもちろん、動線も考慮することが大切です。パントリーを設置するときのポイントは後ほど解説します。
その他、収納ルールを設けず適当にあれこれ収納してしまうと、物置のような状態になってしまうかもしれません。うまく使いこなすために、一定のルールを設けましょう。
パントリーをうまく使いこなすための、上段、中段、下段を使い分ける「基本のルール」を紹介します。ひと部屋タイプの大型パントリーはもちろん、壁付けタイプでも活用できます。
すし桶や重箱など使用頻度の低いモノやキッチンペーパーやティッシュのストックなど、軽くて期限のないもの、または期限が長いものを収納します。取っ手の付いた収納ケースに入れることで、奥のモノでもラクに取り出せます。重量のあるモノは取り出しづらい上に、落ちてくると危ないため、上段には置かないように注意しましょう。
パントリーの上段
出し入れしやすいゴールデンゾーンとなり、日常的に一番使う場所です。ここには、片栗粉や小麦粉などの粉モノ、塩や砂糖などの調味料、レトルト食品(パスタソースやカレールー)などの使用頻度の高いモノや、賞味期限が短い食品などを収納します。収納ボックスも活用して、食品の種類によってグループ分けをするなど、ルールを決めて整理しましょう。
パントリーの中段
缶詰や飲料水の買い置き、かさばる調理器具など、重量のあるモノを収納します。収納する際はキャスター付きの平台車の上に置くと、出し入れがしやすく便利です。
パントリーの下段などにあると便利な平台車
ケースで購入したストック類も段ボールのまま保管できますが、段ボールは配達されるまでに汚れていることも多いため、できれば段ボールから出して保管するのがおすすめです。
パントリーの下段
パントリーの中がきれいに整理されていると、毎日の気持ちも変わるはずです。収納アイテムを活用するなど、おしゃれで快適なパントリーにするためのアイデアをご紹介します。
ホワイトなど同系色のボックスやケースを使うことが、スッキリ見せるためのポイントです。形状もシャープなモノか丸みのあるモノ、どちらかで統一しましょう。空間全体に統一感があるとスッキリ見えます。中が見える半透明のボックスは便利ですが、しまったモノの色が目立ちすぎると、ゴチャゴチャした印象になることもあるので注意しましょう。
使用するボックスやケースは食品の粉やほこりがたまりやすいので、お手入れのしやすい素材を選ぶのが基本です。例えば、籐(とう)のカゴはおしゃれな半面、ほこりが溜まりやすく洗いにくいため注意が必要です。
フタ付きの収納ボックスを重ねてしまうと、下に置いたボックス内のモノが取り出しにくくなります。もし、棚の高さに余裕があるときや棚の高さを変えられるときは、引き出し式の収納ケースを活用すると良いですね。
飲料水や野菜など重いモノは床にそのまま置かず、キャスターの付いている平台車を使うと取り出しやすく便利です。購入した商品を段ボールのままでしまう場合も、平台車を使うと動かしやすく身体の負担を減らせます。
ふりかけやパスタソースなどタテに並べてしまえるものは、ファイルボックスやファイルケースなどを活用すると、中身が見やすく省スペースで収納できます。しまうモノの形状に合わせて、収納ボックスを使い分けることがポイントです。レシピや料理本、調理器具の説明書などをしまっておくのにも便利です。
収納ボックスには必ずラベルを貼り、カテゴリーごとに分類しましょう。「自分が把握していれば大丈夫」ではなく、家事を家族みんなで協力し合えるように、誰でもわかりやすいように工夫することが大切です。
麦茶のパックやシリアル、パスタなど、日常的に使う食品は、密閉タイプの保存瓶がおすすめです。詰め替えがしやすく、密閉型なので出し入れが多くなっても長く保存できます。キャニスターなど、お揃いのガラス容器に入れて収納すれば、統一感が生まれ、おしゃれな雰囲気に仕上がります。
町田森野展示場(東京都町田市森野5-7-25 町田森野住宅公園)
収納ボックスの中へ細かいモノをそのまましまうと、取り出す際に見つけづらくなります。収納ボックスの中も整理が必要なので、さらに小さな収納ボックスを入れたり、仕切りやジッパー付き保存袋などを使ったりして、まとめましょう。
神戸東展示場(兵庫県神戸市東灘区本庄町3-2-14 ABCハウジング ハウジングコレクション神戸東)
パントリーを設置する際、まずは、何をどれくらい収納するかを想定し、使い方の目的を決めておくことが大切です。
パントリーの広さの目安は、家族構成や人数はもちろん、パントリーのタイプ(壁付けやウォークイン)や「何をしまいたいのか」「どのように使いたいのか」により変わります。キッチンで使うモノをしまうことが目的の場合、4人家族なら0.5畳~1畳程度の広さで設置される事例もありますので、目安とすると良いでしょう。また、棚の奥行きは30~45cm程度にすると使いやすいです。奥行きがありすぎると食材を詰め込んでしまい、かえって使いづらくなる可能性もありますし、家の中の他のスペースを圧迫する可能性があります。
パントリーに何をしまうかによって、ベストな配置が決まります。キッチンで使うモノだけを収納するなら、下記の写真のようにキッチンのすぐ隣に配置して家事動線をまっすぐにすれば、行き来がしやすいでしょう。洗面所やバスルームで使う洗剤や化粧品などのストックも置きたい場合は、各部屋からのアクセスを考慮する必要があります。先ほど紹介したウォークスルータイプのパントリーを検討しても良いかもしれません。
町田森野展示場(東京都町田市森野5-7-25 町田森野住宅公園)
子どもの成長や家族のライフスタイルの変化によって、収納したいモノの量やサイズは変わります。そうした変化に合わせられるように、高さを自由に調整できる可動板を取り入れると良いでしょう。
ゴミ出しの日までにゴミ箱がいっぱいになった場合、大きなゴミを一時保管できる場所があると便利ですよね。そこで、パントリーに資源ゴミや段ボールなどを一時的に置ける場所を設けておくと、生活空間をすっきり保つことができます。
コンセントを設けることで、パントリーの使い方は広がります。例えば、コードレス掃除機やロボット掃除機を充電しながらしまうことができます。また、まとめ買いした冷凍食品をしまえる2台目冷蔵庫や、ワインセラーなどの置き場所としても活用できます。コンセントは後付けで設置するのは難しいので、パントリーを設置する前に考えておくと良いです。
パントリーの中は湿気やニオイいがこもりやすい点にも注意が必要です。換気扇などの設置も検討しましょう。
最後に、パントリーのある間取りプランをご紹介します。写真とあわせて設置場所や暮らしの魅力をチェックしてください。
キッチンの奥にあるパントリーは、フルオープンではなくセミクローズドタイプです。このため、リビングやダイニングで来客をもてなす際など、キッチン周りがスッキリとしている印象を与えられそうです。
豊田第一展示場(愛知県豊田市秋葉町4丁目75 とよたハウジングガーデン)
たっぷりモノが収納できるパントリーがあれば、キッチンはすっきり片付きます。しかし、生活空間に出せないモノを、隠しておくだけの場所にしてはいけません。そのためには、収納方法を工夫することはもちろん、食材やキッチン用品を買いこみすぎず、しっかり管理できる量を収納することが大切です。使い勝手もよく美しいパントリーがあれば、家事をするのもさらに楽しくなるかもしれません。
すでにお住まいにパントリーがある方や、家づくりの段階でパントリーの設置を考えている方も、紹介したポイントを参考にすれば、きっとおしゃれで使いやすいパントリーになるはずです。
また、ここまでご紹介したように、全国にある住友林業の展示場には、パントリーが設置されたモデルハウスが多数あります。
展示場サイトでは、モデルハウスごとに間取りも掲載されているので、事前にお近くのモデルハウスの間取りをチェックしてみてください。パントリー以外にも気になるポイントがあれば、その魅力を確かめるために、ぜひ現地へ足を運んでみてください。
そのほか、収納改善や家づくりの参考になるカタログも多数ありますので、あわせてチェックして、理想の暮らしのイメージを膨らませましょう。
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