●みんなのいえ かぞくのへや
2018/12/07 公開
古来より日本人は四季と共生する暮らしを大切にしてきました。現代でも屋上庭園や観葉植物を取り入れるなど、自然や季節との結びつきは家づくりのキーワードとなっています。暮らしの指標として今も続く「七十二候(しちじゅうにこう)」をイメージした住まいを紹介します。
庭を造ると心地よい自然を感じることができます。庭のスペースを取りづらい都市部などでは、「バルコニー」や「屋上(ペントハウス)」がその代わりとなってくれることも。とくに近年は、家具を配置してリビングの延長として使用したり、菜園や天体観測を楽しんだりと、"空を感じるスペース"を生活の中に取り入れている人が増えています。
そこまで大がかりでなくても、季節の生花をアレンジしたスワッグ(壁飾り)、テラリウムやハーバリウムを飾るなど、さまざまな形で自然を暮らしの一部に取り入れることで、生活に彩りが与えられるでしょう。
もともと日本では、美しい四季を楽しむために伝統的な家屋の多くが開放的に設計されていました。庭木の芽吹きが映し出されるように趣向を凝らして窓を配置するなど、暮らしと季節が密接に関係しているのが特徴です。
現代では見落とされがちな季節の変化。けれど、カレンダーをよく見ると「立春」「春分」「夏至」「大寒」など、気象にまつわる言葉が書かれていることがわかります。これらは春夏秋冬の4つの季節を、さらにそれぞれ6つに分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」による名称で、冬至から冬至までの間を24等分しています。さらに二十四節気を約5日ごとに3等分したものを「七十二候」といい、かつては季節を知る目安であるとともに、農作業やさまざまな行事の指標としていました。
たとえばクリスマスのある12月22日~26日ごろは、七十二候では「第六十四候 乃東生(なつかれくさしょうず)」と言います。「なつかれくさ」とはうつぼ草のこと。夏至のころに枯れたうつぼ草が、再び芽を出すころとなります。12月31日~1月4日ごろは「第六十六候 雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)」といい、地面が凍りつく下で、春を待つ麦が芽を出し始める時期ということ。細やかな季節の移ろいを伝える暦からは、日本人が大切にしてきた暮らしのリズムが感じられます。
古来より受け継がれてきた季節と調和した暮らし方。現在の家づくりに照らし合わせてみると、どんなシーンがイメージできるでしょうか。
冬、「雪下出麦」のころは親しい人たちと笑顔を並べて年初の集いを楽しみます。和室とつなげて使えるリビングがあると、大勢での食事ができ、新年の幕開けをにぎやかに迎えることができるでしょう。1月中旬ころを表す「第六十九候 雉始雊(きじはじめてなく)」は、雉(きじ)が求愛のために甲高い歌声を響かせるころ。こんな時期は部屋の温もりに身をほどきながら、自分だけの時間を満喫してはいかがでしょうか。
春、4月初旬の「第十三候 玄鳥至(つばめきたる)」のころになると、遥か南からツバメが渡ってきます。大開口の窓があるダイニングにすることで、日差しの温もりが木目に広がり、心地よい陽気を感じながら食事をすることができそうです。
夏、七夕のころは「第三十一候 温風至(あつかぜいたる)」と言い、温かい風が吹いて本格的な夏が訪れることを表しています。大きな窓を開け放つと、室内には夏の風が運ばれてきます。庭につながる広々としたテラスリビングをウッドデッキで設ければ、ほのかに漂う木の香りと緑の息づかいを感じられる特別な空間のできあがりです。
秋、9月初旬の「第四十三候 草露白(くさのつゆしろし)」は、草に降りた露が白く光って見えるころ。リビングから庭につながるデッキを一段高い位置に作り、その先に高い壁を設けることで、リビングやデッキから見上げた先の夜空には、まるで切り取ったように美しい満月が映し出されます。秋の夜長が楽しくなる月見の特等席となるでしょう。
さらに詳しく知りたい方へ
大人になると1年は足早に過ぎ去っていくもの。季節の巡りに思いを馳せることで、毎日を新鮮な気持ちで大切に過ごすことができるかもしれません。住友林業のカタログ「The Forest BF」では、七十二候をテーマにした家づくりを提案しています。四季を愉しむ暮らしに興味のある方は、ぜひご覧ください。
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