E07
木目の方向で変わる、脳の活発さ
- 木目の向きで脳活動が変化
壁の木質仕上げの木目模様が横方向か縦方向かで主観評価や脳波が変化。 - 木目が横だと脳が活性化
木目が横方向の方が、縦方向より脳活動が活性化、つまり集中力が増した! - 用途に応じて木目の方向を選択
リラックスする空間は縦方向、集中する空間は横方向など用途によって木目の向きを変えるとよさそう。

1.背景・目的
国産スギ板目材を横貼りおよび縦貼り使いにしたときの心理反応および生理反応の差異を明らかにし、より効果的で魅力ある木の使い方提案に繋げる。
2.実験概要
- 試験体:【図1】に示すスギの板目材(N)およびスリット材(S)の2種類のパネル(幅100mm×長さ900mmの板材を9枚並べた900mm×900mmの大きさ)を用意し、これらを横貼り(H)および縦貼り(V)で被験者に提示する。試験体はNH、NV、SH、SVの計4種類。スリット材とは、板目材に幅6mm、深さ5mmの溝を6mm間隔で彫ったもので、材面に単純な意匠を施した例として用いた。なお、今回用いた材には、強力な誘目性を有する節はほとんど現れていない。
- 方法:試験体を1枚ずつ2500mmの距離から30秒間自由に観察した際の被験者の視線の動きおよび脳波を収録した。このとき、被験者は座位で目の高さが試験体と一致するように椅子の座高を調整した。視線追跡にはアイマークレコーダ(ナックEMR-8)を、脳波収録には簡易脳波計(ニューロスカイMind Set)を用いた。自由観察の後、被験者に試験体の見た目の印象に関する【図2】に示す7組の主観評価を7段階評価で行わせた。また、木目の見え方や試験体の用途(どの部屋に使いたいか)についても5段階で申告させた。
- 被験者:男女学生23名(男性13名、女性10名)、平均年齢21.5歳(標準偏差1.3歳)、平均視力は両眼とも1.0であった。視線追跡を行う都合で、23名はいずれも裸眼またはコンタクトレンズ装用で正常視力を有していた。

3.結果
- 【図2】に主観評価の結果を示す。板目材とスリット材との間には、横貼り、縦貼りに関わらず、「派手な-地味な」「自然な-不自然な」「不快な-快い」「落ち着きのある-落ち着きのない」印象において、有意な差が認められた。しかし、横貼りと縦貼りでの差はスリット有無に関わらずほとんど現れなかった。
- 【図3】に示す通り、木目の見え方と用途に関する評価全てについて、板目材とスリット材の間に有意な差が認められた。板目材はスリット材に比べて眼への刺激が弱く、木目が明瞭で、違和感が少ないと言える。また、提示された試験体をどこに使うかという設問に対して、自室には「板目材の横貼りを縦貼りよりも使いたい」、風呂には「板目材の縦貼りを横貼りよりも使いたい」という評価が有意に多かった。
- 視線追尾分析の結果、視線がよく停留するのは、山形の板目模様の頂点部や、輪状の玉杢部分、暗い心材と明るい辺材の境界部などであった。
- 脳波測定の結果を【図4】に示す。板目材の横貼りの方が縦貼りよりもβ波のレベルが有意に高かった。



4.考察
- 主観評価の結果、横貼りと縦貼りで有意な差は認められなかったが、板目材の場合、自室に使いたいのは横貼り、風呂に使いたいのは縦貼りで、材の向きによって想定される用途に違いがあった。
- 脳波測定の結果、横貼りの方が脳活動が賦活される可能性が示された。