【木の効果】
研究成果ライブラリー

住友林業
E31
  • 覚醒・活性効果

木材は、
『ストーリー』とセットで売れ!

ここがPoint!
  • ストーリーの有無で比較
    7樹種を使い、画像・実物のどちらを見せるか、さらに樹種情報(ストーリー)があるかないかで購買意欲などを比較した。
  • ストーリーで購買意欲向上
    樹種に関するストーリーを伝えることで購買意欲が高まった!
  • ストーリーを充実させて差別化を
    注文住宅の購入者などに木質建材を提案する際に、その樹種の育ってきた環境、使われてきた歴史や逸話などのストーリーを併せて伝えることで、より付加価値の向上に繋げられる。

1.背景・目的

近年建築材料としての木材の価値が見直され、木造建築が増加している。一方で建築材料や内装としての木材が人に与える 影響に関する研究については増加しているものの、人が木質内装にどのような印象をもち、どのように選んでいるかについては研究が少ない。そこで、樹種や説明による嗜好や使いたさへの影響を明らかにすることを目的として実験を行った。

2.実験概要

被験者

5年以内に戸建注文住宅の購入を検討している一都三県在住の30~49歳の男女118名(男性61名、女性57名、平均年齢40.7±5.9歳)を被験者として、2022年12月9日~10日に本実験を実施した。

提示刺激

提示刺激は幅300mm×長さ400mm×厚みmmの6樹種の無垢材(図1)を設定した。提示条件として、刺激の提示方法(実物、画像)および樹種に関するストーリー教示(有、無)の組み合わせ4条件を設定し、図2に示す条件の組み合わせで被験者を4グループに分けた。試験計画の都合で各樹種2つずつ提示刺激を用意した。

図1 提示刺激一覧
図1 提示刺激一覧
図2 実験条件組み合わせ
図2 実験条件組み合わせ

測定項目・実験方法

各木材に対する印象評価、用途ごとの使いたさについて7段階SD法によるアンケートを実施した(図3)。また、他木材や木造に関する好ましさなどについてアンケート、自由記述を実施した。

図3 測定項目一覧
図3 測定項目一覧

実験は図2の各グループでまず第1ターンの提示方法で提示を行い、1樹種提示するごとにアンケートに回答した。6樹種終了したら次のターンに移り同様にアンケートに回答し、第3ターンまで実施した。(図4)

図4 実験の流れ
図4 実験の流れ

3.結果

木材に対する印象評価項目(「好きな-嫌いな」を除く7項目)および居室用途ごとの利用したさについて4種類の条件ごとに因子分析(主因子法、Promax回転)を実施した(表4)。第1因子は「あたたかい」「洗練された」「高そうな」「落ち着いた」といった材料の質感を示す形容詞対で構成されていることから「質感」因子、第2因子は「フォーマルな」「重厚感のある」といった空間の様式感を示す形容詞対で構成されていることから「形式感」因子、第3因子は「ざらざらした」という材料の粗滑感を示す形容詞対で構成されていることから「粗滑感」因子と命名した。なお、印象評価項目「好きな-嫌いな」は単独で「好ましさ」評点として以後の解析に用いた。

表4 因子分析結果(画像のみ)
表4 因子分析結果(画像のみ)

スギ/アッシュ/オーク/チーク/チェリー/ウォルナットの樹種ごとに、提示方法(実物、画像)、ストーリーの有無、ターン数が木材の印象の3因子に影響を及ぼし、3因子が「使いたさ」「好ましさ」を決定づけるとする構造モデルを設定し共分散構造分析を実施した(図5)。その結果、ストーリー教示が質感因子に、質感因子が使いたさ因子・好ましさに強く影響していることが明らかになった。

図5 共分散構造分析結果(数値は順に、スギ/アッシュ/オーク/チーク/チェリー/ウォルナットのパス係数)
図5 共分散構造分析結果(数値は順に、スギ/アッシュ/オーク/チーク/チェリー/ウォルナットのパス係数)

提示違い(画像提示か実物提示)・ストーリー有無による効果について明らかにするため、樹種ごとの二元配置分散分析を行った。
ストーリー有無の効果について単純主効果検定を行ったところ、A条件ではストーリー有条件において4樹種で好きな印象が向上、3樹種で使いたい評価が向上し、C条件ではストーリー有条件において4樹種で使いたい評価が向上した。以上から、各樹種の情報を伝えることが総合的な印象を向上させる可能性が考えられる。

4.考察

本研究では樹種や説明による嗜好や使いたさへの影響を明らかにすることを目的とし、提示方法やストーリーの有無が木材の印象に影響し、その印象が内装への使いたさや好ましさといった総合的な評価に影響するという構造を示した。特にストーリー提示が質感因子と形式感因子に与える影響と、質感因子が使いたさや好ましさに与える影響が大きいことが明らかになった。また、ストーリー情報が複数の樹種で総合評価を高める可能性が示唆されたが、ストーリーの内容に大きく影響を受けた可能性も否定できない。

引用文献:
「木材の提示方法や樹種のストーリー教示が嗜好性や使いたさに及ぼす影響」第25回日本感性工学会大会 2023年11月21日