「災害大国」と言われるほど、日本は大地震や台風などの自然災害がとっても多い国。だからこそ普段から災害に対する備えが大切です。そこで、災害時に実際に役に立ったと言われるアイテムや、これだけは揃えておきたい防災グッズに備蓄品、自宅での収納のコツなど、参考となる知識をご紹介します。「もしも」に備えてわが家の防災対策をチェックしましょう!
備えあれば憂いなし。被災時に実際に「あってよかった」「なくて困った」と言われるものを、防災士のアドバイスを元にピックアップしました。自宅に置いてなくてハッとするアイテムもあるのでは?
・ほうき・ちりとり
地震の際に割れたガラスが散らばっていると危険。玄関掃除などに使うほうきとちりとりがあると片付けるのに重宝します。
・カセットコンロ
電気やガスが止まった際の調理に大活躍するのがカセットコンロ。アウトドア用のバーナーでも大丈夫です。ボンベの備蓄もお忘れなく。
・ラジオ
テレビや携帯電話が使えなくなったときの情報源として役立つのがラジオ。ラジオで避難勧告を知り、津波を免れたという人もいました。
・トイレ凝固剤、消臭剤
災害時の水が使えないときのトイレに重宝。便器にゴミ袋をかぶせ、用を足した後にふりかけるとサッと固まり、消臭もできます。
・LEDライト
ランタン、懐中電灯など、LEDライトを家の随所に置いておくと停電時の明かりとして安心です。
・モバイルバッテリー・乾電池
日常的に持ち歩く充電式の大容量モバイルバッテリーも家に置いておきましょう。乾電池は懐中電灯を使う際などに便利ですが、入れっぱなしにすると液漏れしてしまうこともあるので注意が必要です。
・ゴミ袋(消臭機能付き)
被災後はしばらくゴミ収集車が来ないことも多いので、生ゴミを入れておくのに消臭機能付きのゴミ袋が役立ちます。オムツや生理用ナプキンなどの汚物処理にも便利。
・現金
災害で停電が起きると買い物をする際、現金以外使えなくなることも。千円札や硬貨も含めて3万円程度用意しておくと安心。特に十円玉は公衆電話を使用するのに必要です。
・紙皿・紙コップ・ラップ
生活用水が足りなくなるので、食事には紙皿・紙コップを使って水の節約を。紙皿にラップを敷いておけば、ラップを捨てるだけで繰り返し使えます。紙やプラスチックタイプの食器なら割れる心配もないですし軽くて持ち運びやすいでしょう。
・生活用水
地震が起きると水道などのライフラインが止まり、生活用水の確保に苦労します。揺れがおさまったらすぐに、浴槽、バケツ、シンク等にできる限り水を溜めるのも知恵ですが、普段から「ペットボトル」や「ウォータージャグ」に水を入れて備蓄しておくと安心です。
・衛生用品、感染症対策品
生活用水が不足してお風呂に入れない、水洗いもできない状況では、ウェットティッシュや生理用品、簡易トイレ、オムツなどの衛生用品がないと不快な生活を強いられます。また、昨今の防災グッズで特に必要なのが、マスクや消毒液などの感染症対策品です。
・歩きやすい靴
被災時は交通機関が止まり、長距離を徒歩で移動するケースも。自宅だけでなく職場にも歩きやすく底の厚い靴を置いておくと良いでしょう。
防災グッズは大きく3つの種類に分けて考えるのが、効率よく揃えるポイントです。特別なものを購入しなくてもOK。家にあるものや100円ショップなどの手ごろな価格の商品もかしこく利用しましょう。
一時持ち出しグッズを防災リュックにまとめましょう。ただし、あくまでも避難所に移動するまでに必要なものに絞ります。大量の水や食料を入れるのは禁物。
リュックが重すぎて移動できなくなってしまいます。サッと背負って走れるよう、5kg以下にまとめて玄関付近に置いておきましょう。子どものいる家庭の場合は、食べ慣れたお菓子や軽いおもちゃも入れておくと良いでしょう。
・飲料水(500mlを2本程度)
・非常食(ご飯、レトルト食品、ビスケット、チョコ、乾パンなど)
・救急用品(絆創膏、包帯、消毒薬、常備薬など)
・衛生用品、感染症対策品(マスク、消毒液など)
・レインウエア(上着兼)・着替え・下着・靴下・室内履き(スリッパなど)
・サバイバルシート
・懐中電灯
・携帯ラジオ
・乾電池・モバイルバッテリー・携帯充電器
・使い捨てカイロ
・軍手
・洗面用具・歯ブラシ・洗口液
・石鹸・旅行用洗濯石鹸など
・タオル(大小)
・ウェットティッシュ(消毒可能なもの)
・メモ帳、筆記用具(ボールペン・油性マジック)
・生理用品、パンティライナー(女性)
・アイマスク・耳栓・枕など安眠用品
・お薬手帳(病院に通っている人はマスト)
・現金・小銭(小銭中心に合計2万円程度)
災害が起きるのは自宅にいるときとは限りません。外出中でもパニックにならないように、必要最低限のものをまとめたプチ防災セットを作り、常にカバンの中に入れておくと安心です。
・飲料水(ペットボトル1本)
・マスク(2枚)
・非常時のおやつ(飴、クッキーなど)
・防災用ホイッスル
・消毒液ウェットティッシュ
・予備のメガネやコンタクトレンズ
・スマホ用モバイルバッテリー
・ファーストエイドキット
※持病がある方は常備薬も
避難所生活ではなく、自宅で避難生活を送る際は、電気・ガスなどが使えない状況で必要になる「備蓄用品」の準備もお忘れなく。1週間ほど過ごせるよう家族の人数分の目安量を揃えて、キッチン近くの食品庫や納戸に入れておきましょう。
・飲料水(1日1人3Lが目安)、生活用水(家族に応じて20~40Lペットボトルやウォータージャグに溜めて定期的に入れ替える)
・トイレットペーパー、オムツ等
・停電対策用品(懐中電灯、ランタン、ろうそく、マッチ、ライター、予備の電池、携帯ラジオ、モバイルバッテリーなど)
・非常食(レトルト食品、インスタント食品、クラッカー、缶詰など)
・医薬品(常備薬、包帯、ガーゼ、脱脂綿、ばんそうこう、ハサミ、ピンセットなど)
・非常用トイレ
・生理用品
・カセットコンロとボンベの備蓄
・ラップ、アルミホイル、ガムテープ
・ダンボール・ブルーシート
防災グッズをしっかりと準備していても、一刻を争うようなときにサッと取り出せなければ意味がありません。家の広さには限りがあるので効率のよい保管方法も考えておきたいもの。キャンプやレジャーで使うアウトドアグッズをうまく兼用するなど工夫をしましょう。
災害が発生したときは玄関から外に避難する場合がほとんどなので、 "一時持ち出し"セットは、できれば玄関に置いておきたいところです。しかし、家族全員分のリュックを置くとなるとスペースが足りず、邪魔になって困ることも。そんな場合は、過ごす時間が長いリビングや、各自の部屋に置いても良いでしょう。
災害時にあちこち防災グッズを探している暇はありませんから、くれぐれも押入れの奥や納戸の中などにしまい込んだりしないように気をつけましょう。夜間の災害時にすぐに必要になる懐中電灯は、寝室のベッドの近くにも置いておくと安心です。
備蓄品は分散して保管するのがベスト。1か所にまとめて備蓄していると、地震などで家具が倒れた場合などに取り出しができなくなることがあるからです。食料はキッチン、毛布は押入れと、使う場所に置いておくのがおすすめ。場所を分けて保管すれば、広い収納スペースを必要としたり、生活スペースを圧迫したりして支障をきたすこともありません。
家具が倒れてもどれかは確実に取り出せるよう、小屋裏収納、床下収納、地下収納なども有効に活用しましょう。床下収納や地下収納は、冷暗環境を保ちやすいので、保存食や飲料などの備蓄品収納スペースとしても活躍します。
小屋裏収納
半地下収納
一方、小屋裏は夏場に高温になりやすいので、保存食や飲料などの保管には不向きです。また、玄関に広めのエントランスクロークがあれば、かさばる備蓄品も保管しやすく、いざというときも取り出しやすくて便利です。家づくりの際は設置を検討してみてはいかがですか。
大きな災害に遭っても、できれば住み慣れた自宅で安全に避難生活を続けたいものですね。そう考えると、自宅での備蓄は必須です。
一般的に食料は3日間〜1週間分の備蓄が必要と言われています。ただし、ストレスが溜まる避難生活で、非常時だからといって、食べ慣れていない保存食ばかり口にしていると元気が出ず、かえって体調を崩しかねません。
そこでおすすめしたいのが「ローリングストック」という備蓄方法。普段づかいの食料品や消耗品を使いながら多めに買い足して、いつも家に一定量が余っている状態にしておき、その余剰分を防災用にするのです。そうすれば、非常時にも馴染みある食品が食べられます。
防災用の非常食はともすれば、「気づいたら賞味期限が大幅に切れていて、泣く泣く全て廃棄した」という事態になりがちです。ローリングストックにすれば、こうしたムダを回避することもできて一石二鳥です。キッチンの近くにパントリー(食品庫)など広い収納を設けて、普段使う食品と同じところに置いておくことで、備蓄の存在を忘れにくくなります。
日本では2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、そして2016年には熊本地震と、近年大きな地震が頻発しています。また昨今は地震だけでなく、大型の台風(2018年9月の台風21号、2019年10月の台風19号、2022年9月の台風14号など)にともなう豪雨により、各地で河川の氾濫や土砂災害が起こって、甚大な被害が出ることも増えています。
こうした国での暮らしに、災害への備えは欠かせません。これから家づくりを考えるなら、災害に強い耐震性能や耐久性能だけでなく、被災後の生活を助けてくれる「防災力」を持った住まいにしたいもの。防災グッズや備蓄品の保管スペースの確保も、安心の暮らしをもたらす大切なポイントになります。
「玄関脇にエントランスクロークを設けて防災グッズを保管する」「小屋裏空間を有効活用して、大量の備蓄品を収納する」「温度変化が少ない半地下収納を非常食や飲料水の保管に利用する」など、あらかじめ適材適所の収納をしておきましょう。そうすればいざというときも安心して自宅で避難生活ができるはず。これから家づくりを考える人は、家族構成も踏まえて、防災グッズや備蓄品の置き場所もセットで計画しましょう。
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