平屋と聞いて、昔ながらの伝統的な日本家屋をイメージされる方もいるかもしれません。でも最近では、住まいづくりを検討する若い世代からも平屋が選ばれています。なぜ今、平屋が選ばれるのでしょうか。平屋の新築に興味がある方に、平屋のメリットや建てる際の注意点、間取りプランなどをたっぷりご紹介します。
住まいに関するさまざまなデータから、平屋を選択する方が増えていることがわかります。具体的な数字を確認してみましょう。
平屋・2階建て・3階建てのうち、平屋を選ばれた方は41.7%を占めています。
さらに、平屋を選んだ方の中で、20歳~40歳未満が52.7%と半数以上を占めており、若い方々にも人気なのがわかります。
平屋人気は、住友林業だけに限った話ではありません。
国土交通省の建築着工統計によると、2023年の平屋の着工棟数は57,848棟。2013年は36,551棟だったので、この10年で1.5倍以上増えています。新築の一戸建て全体に占める平屋の割合は、2013年の7.3%から、2023年には15.2%まで上がっています(※)。
※国土交通省発表の建築着工統計調査より
「居住専用住宅」のうち、地上階数1階~3階の建築物を一戸建てとし、地上階数1階の建築物を平屋として割合を算出
2階フロアのない平屋は天井を高くできるので、開放的な空間を実現できます。屋根の形状を生かして勾配天井にすることも可能で、下の写真のように、通常の平らな天井よりも高くすることで、より一層開放感を得られます。
また、高天井に大きな開口や天窓を設ければ、四季に応じて心地よい光と風をたっぷりと屋内へ届けることができるでしょう。
木質感と窓を活かした快適空間|平屋人気の理由|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
リビングの大開口に合わせてウッドデッキを設ければ、外の空間も暮らしの一部になります。
例えば、各部屋で中庭を囲む間取りなら、中と外の出入りもスムーズで、どの部屋にいても、自然の心地よさを肌で感じられるでしょう。家事や仕事の合間に外に出て小休憩をとることはもちろん、家事や仕事をしながら、ウッドデッキで遊ぶ子どもの様子を見守ることもできます。
庭とつながる平屋の一体感|平屋人気の理由|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
平屋は建物の高さが低く、屋根が視界に入りやすいため、屋根の形状やデザインによって、外観のボリューム感に違いが出るなどその印象が大きく変わります。
屋根の主な形状としては、軒が深い寄棟屋根(よせむねやね)、勾配の大きな片流れ屋根(かたながれやね)、三角形の切妻屋根(きりづまやね)などがあります。
水平ラインの深い軒が特徴的な寄棟屋根の平屋です。
ダイナミックな印象の片流れ屋根の平屋です。
スッキリとした印象の切妻屋根の平屋です。
平屋らしい深い軒と水平ラインを活かした外観|平屋人気の理由|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
1階で洗濯をしてから2階のベランダで洗濯物を干すのは、階段の上り下りが発生するため、体力も必要ですし、時間もかかります。その点平屋はワンフロアで階段の上り下りがなく、生活動線や家事動線が横に動くだけの動線になるため、体への負担も少なく効率的に家事を行えます。
平屋なら家事動線がスムーズ |平屋人気の理由|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
2階建てと違って、階段フロアや2階のトイレおよび洗面室を設ける必要がないため、結果として水まわりをつくるのにかかるコストやメンテナンスコストを抑えることができます。
また、家は長く住み続けるために定期的なメンテナンスが必要ですが、平屋の場合は、2階建てと比べ外壁などの修繕をする際の、足場の高さも低くなるため、メンテナンスコストを抑えられそうです。
その他、2階建てに比べ屋根が大きい平屋は、太陽光発電パネルを設置するスペースも十分です。太陽光発電で十分な発電量を確保し、その電気を使えば、光熱費の削減も期待できそうです。
平屋のコストメリットが大きい |平屋人気の理由|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
ひとつのフロアに家族全員がいるので、家族ひとり一人が顔を合わせる機会が多くなり、自然とコミュニケーションが生まれます。
階段がない平屋は、転倒・転落するリスクや、上下階を移動する際の体への負担も少なくなります。段差の少ないシンプルな生活動線は、子どもからシニアまで、さまざまな年齢の人やライフスタイルに対応できます。家族がいつまでも安心・安全に暮らすことができる、ユニバーサルデザインの住まいといえるでしょう。
上階がない、建物の高さが低いというメリットは、家の広さや採光の確保という点ではデメリットになるのでしょうか。ここでは平屋に興味を持った方が気になるポイントを、Q&A形式でご紹介します。
平屋はすべての部屋が1階にあるため、外部から侵入されやすいのではと不安になるかもしれません。ただ、各フロアに家族がいる2階建て以上の住まいと比較すると、ひとつのフロアに監視の目が集まるのはメリットとも考えられます。
とはいえ、防犯対策が必要なのは平屋も2階建ての住まいも同じです。デザインのアクセントにもなる小さな窓や防犯ガラスの窓、防犯仕様の玄関ドアを設置したり、防犯システムの導入や通りに面した窓を少なくしたりするなど、しっかり対策を行うと安心です。
平屋は2階建てのように、上階の足音やトイレの排水の音などを、気にせず暮らせるというメリットもあります。ただ、すべての部屋がワンフロアにあるため、家族の生活音(テレビの音や話し声など)が気になることもあるかもしれません。
こういった場合の解決方法としては、各居室を対角に配置する、部屋と部屋の間に収納スペースを設ける、中庭をコの字で挟むようにして各部屋の距離をとるなどが考えられます。
平屋は水平方向に広がるので、建築面積が大きくなるほど中心部の日当たりは悪くなりがちです。しかし、一列に部屋を並べたり中庭をつくったり、各部屋に窓を設けたりすることで、通風や採光を確保できます。
また、平屋のメリットを生かし、高窓や天窓を配置するなどすれば、光と風を呼び込むことも可能です。平屋は、周辺の建物の高さや日が差す方向といった環境からも大きな影響を受けるので、土地探しの段階から不動産会社やハウスメーカーなどプロに相談することをおすすめします。
以下の間取りを例に解説します。
必要な敷地面積(土地面積)は、「建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合のことで用途地域ごとに異なる)」の式から、目安がわかります。
上の例の平屋を建てる場合、第一種低層住居専用地域で建ぺい率が60%なら、建築面積28.05坪÷敷地面積60%で、46.75坪以上の敷地が必要ということがわかります。逆に、この条件の場合に、46.75坪の敷地であれば28.05坪の平屋が建てられるということです。
ただし、こちらはあくまでも、法令上最低限必要な敷地面積の例です。建築エリアの建ぺい率、必要な駐車場の台数や確保したい庭の広さなどによって必要な敷地面積は変わるため、プロに相談することをおすすめします。
平屋と言っても、じつはさまざまな形があります。
建物を東西に長く配置して、南側に大きな開口を計画できるのが「I型」です。東南に庭を設け、それぞれの部屋の通風と採光を考えたのが「L型」です。そして、中庭などを配置し、都市部などの住宅密集地でも、通風・採光とプライバシーの確保が両立できるようにしたのが「コ型」です。
ここでは、さまざまな平屋の間取りプランをご紹介しますので、自分たちが望むライフスタイルにはどんなプランが合うのか、各プランにどんな魅力があるのか、ぜひチェックしてください。
■ 建築面積 67.90㎡(20.54坪)
■ 延床面積 66.66㎡(20.16坪)
横に広がるシンプルな長方形の間取りプランです。2人暮らしにちょうどいい大きさのI型です。水まわりは北側に集約して、家事動線をスムーズにすることで、移動の負担を少なくしています。建物の横幅いっぱいに配置したウッドデッキには、LDKと主寝室それぞれから出られるため、休日の昼にウッドデッキでごはんを食べたり、朝起きて外の空気を吸いに出たりと、庭との一体感を感じられるプランです。
■ 建築面積 82.81㎡(25.05坪)
■ 延床面積 81.15㎡(24.54坪)
ほとんどの部屋が南や東を向いているため、採光を確保できます。また、建物の形にあわせてウッドデッキを配置することで、各部屋からウッドデッキに出ることができます。ウッドデッキが各部屋をつなげる外廊下の役割も果たし、部屋の行き来もしやすくなります。
■ 建築面積 92.74㎡(28.05坪)
■ 延床面積 91.09㎡(27.55坪)
周囲を建物で囲まれた場所で平屋を建てようとすると、日当たりやプライバシーの確保が難しくなります。そんな時におすすめしたいのが、建物の中央に中庭やウッドデッキを配置した「コ型」の間取りです。
中庭に面した各部屋に窓をつけることで、通風や採光を確保できます。また、中庭を建物で囲むことで外からの視線を遮りながらも、中庭でくつろぐ子どもや家族の様子を、各部屋から見守ることができます。
■ 建築面積 105.99㎡(32.06坪)
■ 延床面積 102.68㎡(31.06坪)
こちらはLDKを住まいの中心に配置し、廊下を設けずに各部屋を隣接させたプランです。これにより家族が自然と顔を合わせやすく、お互いのコミュニケーションを深められます。子ども部屋はあえてリビングとつなげ、大きな窓から日差しが広がる居心地のいいリビングに、子どもたちが集まるように工夫しています。
今回ご紹介した平屋の魅力や間取りプランはいかがでしたか。将来のライフスタイルの変化まで見据えながら、ぜひ理想の家づくりを進めてください。
もし、平屋への興味がますます湧いたという方は、住友林業の公式YouTubeチャンネルをチェックしてみてください。住宅展示場にあるモデルハウスやオーナー宅の「平屋ルームツアー」もたくさん公開中です。
さらに、建築実例のページや公式Instagramでも、平屋を選んだご家族の住まいをたくさん紹介していますので、あわせてチェックしてみてください。
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