マイホームの購入は人生の一大イベントです。だからこそ、後悔のないタイミングで購入したいものですね。「家がほしいけれど、今の状況で買って大丈夫だろうか?」と不安に思ったり、「他の人はどんなタイミングで買っているのだろうか?」と気になったりする人も多いはず。そこで、みんなが家を買った理由やきっかけになるライフイベント、買う前に検討しておくべきポイントなども解説します。
家をすでに買った人や近々購入を予定している人は、なぜマイホームを持ちたいと思ったのでしょうか?データを見ていきましょう。
住宅金融支援機構の住宅ローン利用予定者調査(2021年4月)によれば、家を買う主な理由は、大きく「ライフステージ」「生活・環境の質向上」「経済的理由」といった3つに分けられます(※1)。
※1 出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2021年4月調査)」P4より
(https://www.jhf.go.jp/files/400356698.pdf)
「子供や家族のため」が多く、「結婚、出産を機に」、「老後の安心のため」と続きます。年代別に見ていくと、20・30歳代では「子供や家族のため」、「結婚・出産を機に」が圧倒的に多く、「老後の安心のため」は50歳代が突出しています。
「もっと広い家に住みたい」がトップで、次いで「もっと質の良い住宅に住みたい」、「もっと新しい家に住みたい」、「教育や子育て環境」と続きます。年代別に見ていくと、20・30歳代では「もっと広い家に住みたい」、「周りに気兼ねせず使える住宅に住みたい」、「教育や子育て環境」が多く、40・50歳代では「もっと質の良い住宅に住みたい」が最多です。
世代を問わず多かったのは「資産として住宅(不動産)を持ちたい」という理由。次いで「現在の住居費が高い」と家賃の悩みが続きます。「住宅ローン金利が低く買い時だ」をあげた人も少なからずいました。
「家を買う理由」をトータルで見てみると、結婚や出産、子供の成長などライフステージの変化で住宅購入を決断する人が多いようです。初めて家を購入した年齢で最も多いのが、ライフステージが変わりやすい30歳代ということからも、家族構成や家族環境の変化が「持ち家」への後押しとなっていることがわかります。
国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」(※2)によると、家を購入した人の年齢(世帯主の年齢)を見ると、注文住宅、注文住宅(新築)、分譲戸建住宅、分譲マンションでは、最も多いのは30歳代でした。家の種類によって平均年齢に差があり、最も低いのは分譲戸建住宅で「39.6歳」。次いで注文住宅が「40.4歳」、分譲マンションが「43.5歳」、中古戸建住宅が「46.8歳」と続き、最も高いのは中古マンションの「47.1歳」でした。
家を購入する際には住宅ローンを組むのが一般的ですが、多くの金融機関では、住宅ローンを組めるのは20歳以上65歳未満とされています。さらに、借入期間も80歳までがほとんどです。借り入れの最長期間は通常35年です。したがって最長期間の住宅ローンを組みたい場合は45歳までにローンを組む必要があります。
家を買いたいと思うタイミングは人それぞれですが、こういった住宅ローンの年齢制限も事前に知っておいた上で、無理ない購入プランを立てていきましょう。
同じく、国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」によれば、家を購入した1世帯あたりの居住人数は平均2〜4人のようです。家の種類別に平均人数を見ると、注文住宅では「3.3人」、分譲戸建住宅では「3.5人」、分譲マンションでは「2.9人」、中古戸建住宅では「3.4人」、中古マンションでは「2.7人」となっています。
注文住宅や分譲戸建住宅など一戸建ての住まいでは7割以上が3人以上の世帯です。結婚や出産など家族が増えたタイミングで購入している人が多いことが読み取れるでしょう。
それに対して、分譲マンションや中古マンションは1世帯あたりの平均居住人数が少なく、2人以下の世帯からのニーズも比較的高いといえます。
いずれにしても、家の購入について考えるタイミングは、結婚生活が安定し、子供が生まれるなどのライフイベントがきっかけになるケースが多いようです。
※2 出典:国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」より
(https://www.mlit.go.jp/common/001401319.pdf)
結婚、出産、定年など、人生にはさまざまな節目があります。ライフステージの変化が家を買うきっかけが後押しになっていますが、それぞれどのような特徴やメリットがあるか見ていきましょう。
家を買うタイミングで多いのが「結婚」です。これから人生を共にするパートナーと将来の家族計画を考えながら買いたい家について検討できるので、とても良いタイミングだと言えます。
結婚する年齢にもよりますが、比較的若いうちに住宅ローンの支払いがスタートできるのもメリット。たとえば一戸建住宅を購入する場合、住宅ローンの返済期間は30年を超えるのが一般的ですが、20〜30歳代前半に支払いを開始すると定年までに住宅ローンが完済できます。
ただし、長い人生の中では転勤や転職による引っ越しがあったり、家族が増えて手狭になったりするなど、住み替えやリフォームの必要が出てこないとも限りません。将来的にそのような可能性がある場合は「貸す」、「売る」などの選択肢にも対応できる物件の購入を検討するのもいいかもしれません。
子供が生まれ、住んでいた賃貸住宅やマンションが手狭になったのを機に、家の購入に踏み切るケースもよく見られます。マンションやアパートでの子育ては、子供が走り回る足音やはしゃぐ声が迷惑とならないよう、上下階の住戸への気遣いが何かと必要になり、ストレスを感じることもあるでしょう。子供が生まれたタイミングで家の購入を考えれば、周囲に気兼ねせず、のびのびと子育てができる住宅選びができます。将来の子供部屋を視野に入れた間取りが選べるのもメリットです。
このタイミングで家を買う場合は、子育てがしやすい環境かどうかも大切なポイントになります。子供の通う幼稚園や保育園、小学校などの教育環境、エリアの治安の良さ、病院や公園などへのアクセスもチェックして選びましょう。
子供の進学に合わせて家を買う人も少なくありません。特に有名小学校がある学区や私立など、今の住まいから遠い学校に通わせたい場合は良いタイミングです。進学させたい学校の近くに家を購入すれば学区を選べますし、通学時間も短くできて、子供の負担を減らせます。また、子供にとって転校が負担になると考える家庭は、入学のタイミングで移り住めるようなスケジュールで家を買う場合もあります。
「年老いた親の一人暮らしが心配」、「親の介護が必要になった」といった理由で、親との同居を考える人もいるでしょう。そうした場合、今住んでいる住宅では手狭だったり、バリアフリーの観点から高齢者の暮らしに不向きだったりすることから、リフォームやリノベーションではなく家の購入に踏み切るケースも珍しくありません。親世帯と子世帯で住宅購入費用を出し合って二世帯住宅を建てるなど、お金の負担を減らせるメリットも考えられます。
子供が独立して夫婦だけの暮らしになったり、定年を迎えたりして生活スタイルが一変したのを機に、コンパクトな家を購入して住み替えをする人もいます。ライフイベントの多くを済ませている段階ですし、ライフスタイルがこの先さらに大きく変わっていくことも少ないと思うため、より自分たちに合った家選びができそうです。
注意点としては、高齢になると今後の収入が不安にある場合が多いので、住宅購入資金とは別に、老後資金のことも考えたライフプランが必要です。
「家」は人生で一番高い買い物ですから、なんとしても失敗は避けたいところ。家を買う上で、前もって検討しておきたいポイントを見ていきましょう。
まずは、我が家のライフプランを立ててみましょう。ライフプランとは将来の人生設計のこと。
将来的にわたるライフイベント、子どもの教育費、車の買い替え、趣味、旅行の費用なども踏まえて、総合的なライフプランから住宅購入に割く予算を逆算し、購入の予算を決めることをおすすめします。「今の家賃がこのくらいだから、住宅ローンはこのくらいかな」や、「一般的に年収の5~7倍が目安だから借入はこのくらいかな」といった予算の決め方とは安心感が雲泥の差です。
このように、自分の人生設計を根拠として予算を決めておくことで、結果的に家を買う適切な時期が見えてくることがあります。
これから実現したい暮らしと家の購入予算を踏まえて、住みたいエリアを選びましょう。ライフプランにも関わりますが、子供の教育、家族の仕事、親の介護など、家庭の状況も考慮して決めると良いでしょう。
ちなみに、注文住宅では、現在住んでいるエリアと同じ市区町村で計画する人が8割に上るそうです。馴染みのないエリアでの購入を検討する場合は、すでにそこに住んでいる友人知人に地域の魅力を聞いたり、あるいはポータルサイトなどで情報を集めたりすることをおすすめします。一度そのエリアの賃貸住宅に引っ越して、暮らしながら理想の土地や物件を探すという手段もあります。
家の買い時は、不動産価格や住宅ローン金利の低さといった社会情勢もさることながら、結婚や出産に子育て、仕事の状況や老後の見通しなど、それぞれの家族のライフステージによって異なります。
家族でよく話し合うとともに、先に家を買った知人など、信頼できる第三者の意見も聞いてみることをおすすめします。資金計画についてはファイナンシャルプランナーに相談してみると安心でしょう。
インターネットの情報だけで理想の家を選ぶのは難しいものです。「そろそろ家がほしいかも」と思ったら、まずはハウスメーカーにカタログ請求をする、オンライン相談を利用する、あるいは住宅展示場を見学してみるなど、積極的に行動してリアルな情報を得てはいかがでしょうか。
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