●わたしらしさを楽しむ家づくり
2015/12/25 公開
お正月のお祝いは年神様をわが家に迎え入れ、新年の幸せを祈るもの。大掃除をすませお飾りをしてお祝い膳を囲み、家族そろってお祝いしたいですね。日本の伝統や文化をとりいれながら、わが家に合ったお祝いスタイルで新しい節目を迎えましょう。
年の瀬を迎えた街で、植木職人さんが庭木をきれいに剪定し玄関先にりっぱな門松がたてられた家を見ると、いよいよ新しい年がやってくる、と清々しい気持ちになりますね。こうしてさっぱりと清められた家にお迎えするのが、年神様。年神様は家内を守り幸せをもたらすためお正月に家々を訪れる神様で、鏡餅はお供えに、門松やしめ縄は年神様が迷わずに家に来られるよう目印として飾られるものといわれます。家のなかの大掃除といっしょに新しい年の幸せを招き入れるよう、玄関や家まわりを整え、お飾りや生花を飾り華やかに新年を迎えましょう。
ドンとした門松もいいですが最近は縁起のいい和風の小物や花をあしらったリース、コンパクトな門松も増えているようです。松竹梅の枝物、金や銀に色付けされた塗り柳など「お正月ならでは」の花をアレンジしたリースは生花店でも扱っていて、こうした生花のリースを玄関のドアに飾っているお家もあります。部屋におくフラワーアレンジなら花器に剣山や吸水スポンジをおき、枝物と花、蔓やワイヤー、色とりどりの球体など、正月花を現代的にダイナミックに仕上げる小物を組み合わせるなどして、お年賀に訪れたお客さんの目を楽しませる豪華なアレンジを作るのも楽しいです。
お飾りや正月花に松が欠かせないのは、常葉樹で一年中葉が落ちないことから強い生命力を表し、松の木のこずえに神が宿るためとされています。
ダイニングテーブルでの食事が一般的になった今、ふだんはしまい込んであるお正月用の食器やお膳を出したり片付けたりするのは、時間も手間もかかりたいへんですよね。おせち料理をお取り寄せするお家も増えているようですが、家族が顔を合わせ新年の挨拶をかわす食事の席は、お祝いの彩りも添えたいもの。そこでお正月はふだんの食器に漆のお椀やお重、祝い用の箸など、ハレの日のためのアイテムを1~2点加えてみます。
たとえば朱塗りのお盆を人数分用意して、そこに金銀の水引鶴、亀などの飾りをあしらい、取り皿や箸をおくと、いつも使っている食器も華やいで見えます。おせちにシャンパンやワインを合わせていただく席でも、漆の塗り盆や食器があるとそれだけで卓上が華やぎます。
和室、そして床の間のある家なら、お正月は「お家のセンス」を見せる絶好のタイミングです。日本ならではの「おもてなし空間」といわれる床の間。床の間の飾りは家にお客を迎えるとき、家主が季節にあった花を活け、掛け軸をかけて楽しんでもらおう、という思いをこめた空間演出。茶席や懐石料理の店では、季節や行事にあわせて掛け軸も替えますが、わが家のお正月なら高価なものでなくても松竹梅や鶴、赤富士、旭日、干支など「縁起がいい」とされる絵柄を飾ってみます。
今は、子どものお習字や自分で描いた富士山の絵などのオリジナル作品も、表装屋さんに依頼すると掛け軸にしてくれます。(ネットで注文ができ桐箱つきで届くものも!)楽しくて縁起のいい絵柄は、床の間はもちろん、洋室にかけてもお正月ムードが盛り上がります。
兄弟や親戚が集まった時、人数分の座布団と和テーブルがあれば大人数に対応できるのも和室ならでは。畳の部屋はふすまやつい立てでし切ることもできて、その時々の状況で寝室にもなり、食事の場にもなります。ハレの日も仏事にも対応する和室は、実は機能的な空間。二世帯同居で人の集まりや行事が多い家ならば、どこかにひとつ和室をキープしておきたいところです。
家の行事や暮らしのシーンで「あって良かった」と思えるシンプルな和室。和室は今、そこからさらに進化して空間の美しさを楽しめるような高いデザイン性を持つことをご存じですか?たとえば天井を高くし天然木の梁(はり)や柱をオブジェのように見せる広い空間や、坪庭に面した小さな茶室は、伝統をいかしながら、美しい空間を楽しむ和の形です。「ホテルオ―クラ」本館ロビーのように、海外からも注目を集める日本の建築意匠。進化し続ける和の建築をご覧になりたい方は、住友林業のカタログ「和楽 華」をぜひ一度ご覧ください。