TOPICS OF OAK
オークは種類も多く、特にヨーロッパの人々にとってはとても身近な存在です。たくさんの異名を持つオークが存在したり、生ハムづくりやコルクづくりに必要だったり、ウイスキーを琥珀色にしたり。そんなオークにまつわる雑学をご紹介します。
オークの学名は、Quercus(クエルクス)。ラテン語で「美しい樹」という意味です。その他にも「良質な木材」という意味があります。オークは種類が多く、学名は樹種ごとにさらに細かく分類されています。オークは世界各地に生育していることもあり、樹種によっては正式な学名以外にもたくさんの異名を持つものが存在します。たとえば、コモンオークには142種もの異名があります。これは、ヨーロッパの20以上の国でこの木が生育しているためだと言われています。
スペインには「ハモンハブーゴ」という最上級の生ハムがあります。この生ハムづくりには、オークが欠かせません。「ハモンハブーゴ」を名乗るには、3つの厳しい条件があります。まず、スペインの特定の地域のみに生息するイベリコ種の黒豚であること、そしてハブーゴ地方で作られること、さらにコルクオークやホームオークの実であるドングリを食べて育っていることです。つまり、ドングリがなければスペインを代表するおいしい生ハムは生まれないというわけです。
ワインの栓に使われるコルク。このコルクは、オークの樹皮からつくられています。どのオークの樹からでもつくられるというわけではなく、分厚い樹皮を持つコルクオークという樹種に限られます。コルクの歴史は古く、古代ローマ時代までさかのぼります。当時は、壺の栓として用いられていました。現在のように瓶の栓として利用されはじめたのは15~16世紀頃。ちなみにワインの栓は、型を使って樹皮から抜くという意外に単純な方法でつくられています。
蒸溜したばかりのウイスキーは無色透明です。あの美しく輝く琥珀色は、オークの樽で眠りつづけることでついていきます。長期間にわたり、樽は静かに呼吸し、オークに含まれるポリフェノール類がウイスキーの中に溶け出していくのです。この成分が、ウイスキーを琥珀色に染めます。ポリフェノール類はウイスキーの香味にも大きく影響し、糖蜜香や穀物香、フルーツ香などが強まり、ウイスキーならではのまろやかで芳醇な香味の華を咲かせます。