TOPICS OF TEAK
チークの価値が世界的に知れ渡ったのは約100年前。原産国のひとつ、タイには世界最大のチークが。世界三大銘木であるチークの歴史や特徴についてご紹介します。
チークが自生するインドやタイ、ミャンマーでは、古くから寺院などの建物にチークが使用されていました。インドでは、約2000年以上も前から使われていたと言われています。いまでも1000年以上前に建てられた寺院などでチーク材を見ることができます。タイやミャンマーでは、建築物だけでなく、家具や客車、桟橋、彫刻の素材にも使われるなど、その用途はじつにさまざまです。
タイやミャンマーで本格的に林業が営まれるようになったのは、いまから百数十年前のことでした。イギリスの木材会社がチークの耐水性と耐久性に着目して造船材として使用するようになってから、チークは銘木として世界的にその価値が認められるようになりました。19世紀から20世紀初頭にかけてインドのカルカッタで造られたイギリスの商船はすべてミャンマー産のチークが使用されていたと言われています。
チークの葉は樹齢に関係なく、とても大きな卵形をしています。長さは約30~60cm、幅は約25~35cmにもなります。初めて見ると少しびっくりするかもしれません。葉の表面はざらざらしており、まるでサンドペーパーのような感触です。大きな葉とは対照的に、花は小さいのが特徴。雨季がはじまる頃に枝先から房のように黄色がかった白色の小さな花をたくさん咲かせます。開花時には樹全体が白く覆われ、チーク林が広がっている地域を上空から見ると一面が白く見えるほどです。
写真提供:渡辺弘之
世界最大のチーク(タイ)
タイではマイ・サック、ミャンマーではチョウンと呼ばれるチーク。学名はTectona grandis(テクトナ・グランディス)で、grandis とはラテン語で「大きな」を意味します。大きな樹であるチークの中でも世界最大と言われるものがタイ北部に存在します。樹齢は約1500 年、幹の周囲は10m以上。高さは50mほどだったのが、1999 年に強風で折れ、10m ほど低くなってしまったとのこと。実はこのチークの中には空洞があり、人の胸の高さのところにある小さな穴から見学者が賽銭箱のようにコインを入れていました。そのため、いまではロープで守られています。
参考文献:「東南アジア林産物20の謎」渡辺弘之著(築地書館)/「東南アジア樹木紀行」渡辺弘之著(昭和堂)