WALNUT STORY
アメリカと日本で家具を製作してきたジョージ・ナカシマは、日系二世の家具デザイナーです。自然に対して畏敬と敬愛の念を抱き、技巧を駆使し、木の持つ美しさを活かす形を追求して家具を作り続けてきました。その伝説の木匠（ぼくしょう）が好んで素材に選んだのがウォルナットという銘木です。
ジョージ・ナカシマは自らをウッドワーカー（木匠）と呼び、木に秘められた美しさを家具という形で表現。木と対峙し、手仕事によって家具をつくることで、樹木に新しい生命を吹き込んできました。彼が製作する家具は、樹木が自然の中で長い歳月をかけて形成した美しい杢目（もくめ）や微妙な色あいの変化といった木の個性が最大限に尊重されています。
木匠ジョージ・ナカシマがデザインした多くの家具にはウォルナットの無垢材が使われ、五感に語りかけてくる心地よさと確かな存在感があります。ウォルナットの素材感と背中の細いリブが絶妙なバランスでデザインされ、緻密に計算された力学と形態が美しく調和。それらの家具は自然の美しさと心地よさを私たちに感じさせてくれます。
写真左から：ラウンジアーム 250,000 円（税別）、コノイドチェア 190,000 円（税別）、ミラチェアH 140,000 円（税別）、アームチェア 240,000 円（税別）、ストレートバックチェア 185,000 円（税別）
価格は2014 年7 月現在
アメリカ、そして日本。国境を超えて、受け継がれる手仕事の精神と哲学。それをつなぐのが、ウォルナットという銘木です。日系二世としてアメリカで生まれたジョージ・ナカシマは米国ペンシルバニア州ニューホープで工房を開き、現在もその地で家具づくりが行われています。日本とも関わりが深く、高松にある桜製作所でも家具の製作を行っていました。いまでも桜製作所ではナカシマの家具をライセンス製作しており、ウォルナットに秘められた美しさを家具という形で触れることができます。
左上 ／ 米国ニューホープのコノイドスタジオ。
右上 ／ 米国ニューホープのミラ・ナカシマ邸。
左下 ／ 桜製作所の工房の風景。
右下 ／ 桜製作所での手カンナによる作業。
ナカシマは著書『木のこころ』の中で「あなたがその表面に見ている木目は、板の中まで通っているものの現れである。木目は表面にだけ固着しているのではない。むく板は年と共に豊かに美しくなる」と語っています。生涯を木と共に生きた木匠が語る言葉ほど、無垢材の魅力を端的に表したものはありません。ウォルナットが生み出す家具や空間につつまれたとき、あなたはその豊かさと美しさを実感できるでしょう。
桜製作所によるウォルナットの家具。
ハイアットリージェンシー京都の日本料理レストラン「東山」。
桜製作所にある
ウォルナット無垢材。
ナカシマがフリーハンドで
描いたスケッチ。
取材協力：桜製作所／桜ショップ 銀座店
参考文献：「木のこころ」ジョージ・ナカシマ著 神代雄一郎、佐藤由巳子共訳（鹿島出版会）
