「人目を気にせずのんびり過ごせる家がいい」「こだわったおしゃれな注文住宅にしたい」など、さまざまな理由から中庭のある家が気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで、中庭のある家のメリット・デメリット、失敗しないための対策、間取り事例をご紹介します。中庭のある家への憧れがさらに強くなるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
中庭
浜田山第一展示場(東京都杉並区高井戸東3-36-35 浜田山住宅公園内東会場)
まずは、中庭の定義や坪庭との違いについて解説します。
中庭とは、壁や建物に囲まれた屋外の庭のことを指します。形状は建物や敷地によってさまざまです。道路や隣家から見えづらいため、プライバシーを守りながら、屋外空間でくつろぐことができます。ちなみに、パティオという言葉も中庭を意味します。
似たような庭のタイプとして「坪庭」がありますが、面積やその目的が異なります。坪庭は中庭よりも比較的コンパクトな広さでつくられることが多く、植栽や照明などを置いて、室内から観賞して楽しむことを目的としています。
中庭のある家のLDK
駒沢第一展示場(東京都世田谷区深沢4-6 駒沢公園ハウジングギャラリー ステージ2)
中庭のある家の形状は大きく3パターンあります。それぞれの特徴も解説します。
家がコの字になって庭を囲むパターンです。庭の3方向が建物で囲まれていますが、一方向はオープンになっているため、程よい開放感を演出できます。空いている方向に植栽やフェンスを置くことで、外からの視線を遮ることができます。
中庭のある家(コの字)
庭の4方向すべてが建物に囲まれたパターンです。周囲の視線をほとんど気にする必要がなくなるため、家族だけの空間でのんびりとくつろげます。また、中庭に面した各空間から庭に出たり庭を眺めたりできるので、とてもリラックスした時間が過ごせるでしょう。
中庭のある家(ロの字)
庭をL字に囲んだパターンです。2方向しか壁に接していないため、コの字やロの字と比べると開放感があり、外部とのつながりが強くなります。
中庭のある家(L字)
中庭のある家の外観
駒沢第一展示場(東京都世田谷区深沢4-6 駒沢公園ハウジングギャラリー ステージ2)
中庭のある家にはさまざまなメリットがあります。ここでは例を挙げてご紹介します。
住宅密集地に家を建てると隣家との距離が近くなり、十分な通風・採光を確保できないケースが考えられます。その場合、中庭を設けて自然光や風を採り込むことで、明るく心地よい室内空間を実現できます。敷地の北側にあって日当たりが良くない部屋でも、中庭側に窓を設けることで、室内に光が届きやすくなります。
庭が道路や隣家から見える位置にあると、カーテンを開けたままでは人目が気になってくつろげないという方も多いのではないでしょうか。建物で囲まれた中庭は、外部からの視線を遮ってくれるため、カーテンを開けたまま家でのんびり過ごせるようになるでしょう。
人目につきづらい中庭なら、家族や友人とのバーベキューや子どものプール遊びなどもしやすくなります。また、イスやテーブルを置いての読書、洗濯物の外干しなど、幅広く活用できます。
警察庁のHPによれば、一戸建ての侵入窃盗の侵入口として最も多いのが窓(※)です。そのため、窓を小さくすることは防犯対策として有効ですが、それだと通風や採光が取りづらくなってしまいます。
中庭のある家なら、中庭に面した窓から通風・採光を確保し、道路や隣家側に面した窓を小さくできるため、外部から侵入されにくくなることも期待できます。
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中庭を囲むようにリビングや子ども部屋があると、部屋を出入りする様子が窓越しに見えやすくなるため、家族それぞれが別の部屋で過ごしていても、お互いの気配を感じられる空間になります。目を離した隙に道路に飛び出してしまうという危険性も軽減するため、子どもやペットも安心して遊ぶことができ、より屋外空間が身近なものとなるでしょう。
道路や隣家に面した窓を減らすことで、スッキリとした外観になります。一般的な家とは一線を画す外観は、おしゃれに見えるため、マイホームへの愛着が生まれるでしょう。
中庭のある家の外観
浜田山第一展示場(東京都杉並区高井戸東3-36-35 浜田山住宅公園内東会場)
中庭
駒沢第一展示場(東京都世田谷区深沢4-6 駒沢公園ハウジングギャラリー ステージ2)
中庭のある家はデメリットもあります。ここでは、デメリットの例と対策をご紹介します。
凹凸の少ない住宅と比較した場合、ロの字やコの字の住宅は形状が複雑になり、外壁部分の面積が増え、一般的には建築費用が高くなる可能性があります。中でも、ロの字の中庭にする場合は通常よりも建物が大きくなる傾向があるため、より広い土地が必要になり、建築費用や土地の購入費が高くなる場合があります。
<対策>
同じ広さの家で比較した場合、中庭を設けることで建築費用や土地の購入費用が高くなる可能性を念頭に置きつつ、資金計画を立てることが大切です。プランを考える段階で何を優先すべきかを家族で話し合い、検討しましょう。
一般的な庭と同様ですが、手入れや掃除など、定期的なメンテナンスは必要です。特に、コの字やロの字の家の中庭は、雨水がたまりやすいので注意しましょう。排水対策が不十分な場合や、落ち葉などが排水口に詰まっていると、雨が降った後の水はけが悪くなり、カビやコケなどの汚れが残りやすくなります。
<対策>
雨水などの排水計画については、設計の段階でしっかり検討することが大切です。
また、中庭に設置するウッドデッキやタイルの素材もメンテナンスに影響します。ウッドデッキは長持ちしやすい樹脂製の素材にする、タイルは掃除がしやすく水はけの良いものにするなど、素材選びにも注意してください。
そのほか、中庭に限りませんが、雑草が生えないように防草シートや砂利を敷くなど、メンテナンスの手間を軽減できるアイデアも検討しましょう。
家の中央部分に中庭があることで、屋内の動線が長くなりがちです。例えば、雨の日は中庭を通ることが難しくなり、向かい合った部屋を移動するだけでも、家の中をぐるっと回らなければなりません。
<対策>
生活動線や家事動線が長く、ストレスを感じることにならないよう、頻繁に行き来するキッチンと洗面室を近くにレイアウトすることや、寝室とトイレを近くするなど、動線にこだわった間取りを考えることが大切です。
ここまでの内容を念頭に置きつつ、中庭のある家の間取りを見ていきましょう。
夫婦2人や家族4人、二世帯など、さまざまなライフスタイルに合う間取りプランをピックアップしました。
中庭のある平屋の間取り
平屋の多彩な間取りプラン|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
主寝室と同じくらいに広い中庭が特徴的です。
LDKの大開口をオープンにすれば、LDKと中庭がつながり、より一層の開放感を得られます。また、屋内とフラットにつながるウッドデッキが設置されているため、中と外の出入りがしやすく、中庭では素足やスリッパで過ごせるのもうれしいポイントです。
中央に中庭、左側にLDK、右側に主寝室や浴室がレイアウトされているのも、この間取りのポイントです。
来客対応もあるパブリックゾーンと、人に見られたくないプライベートゾーンを離すことで、来客からプライバシーを確保できます。
家庭内においては、夜LDKでテレビを見たい人、夜は早く寝たい人がいる場合など、お互いの生活リズムを尊重しながら、快適に過ごせるようになっています。
中庭のある二世帯住宅の間取り(1階部分)
中庭のある二世帯住宅の間取り(2階部分)
中庭のある二世帯住宅の間取り(3階部分)
中庭のある家の外観
武蔵小杉展示場(神奈川県川崎市中原区今井上町11-17 武蔵小杉住宅展示場)
子世帯(3階建て)と親世帯(2階建て)の居住スペースを、左右に分離させた二世帯住宅です。
3階建てと2階建てにすることで、それぞれの居住スペースにも違いを生み出しています。例えば、子世帯のLDKは3階にありますが、親世帯のLDKは1階にあります。これにより、生活リズムが異なる二世帯住宅でも、うまく生活音のストレスなどを軽減して暮らすことができます。
また、コの字の間取りで、1階に中庭、2階に共有バルコニーやサロンスペースがあるのも特徴的です。
中庭やバルコニーは、二世帯の間に程よい距離感をつくってくれるだけでなく、一緒にご飯を食べたり、コーヒーを飲んだりと、コミュニケーションも育んでくれます。
マンションの共用スペースのようなアイデアが、戸建住宅でも生かされており、生活スタイルの異なる二世帯でも、心地よく暮らすことができるでしょう。
中庭のある平屋の間取り
平屋の多彩な間取りプラン|GRAND LIFE|木造注文住宅・戸建の住友林業
L字の建物が中庭を囲んでいます。中庭に接する部分が2面なので、コの字やロの字の家に比べると、より開放感があります。
また、建物の形に合わせてウッドデッキもL字にすることで、LDKと主寝室の両方から中庭にアクセスしやすくなっています。庭には植栽を設けることで、開放感を保ちながらも外からの視線を遮る工夫が施されています。
家族みんなで家庭菜園を楽しみ、収穫した野菜や果物をキッチンで料理し、そしてみんなで食べる。そんな楽しい食育も実現できそうな間取りプランです。
このように、中庭のある間取りを見ることで、より暮らしのイメージが湧いたのではないでしょうか。また、下記に「中庭のある家の建築実例」もピックアップしました。コの字やロの字、L字の中庭、中庭のある二世帯住宅など、オーナーの理想が詰まった家もぜひチェックしてみましょう。
<こちらもおすすめ! 中庭のある家の建築実例>
中庭のある家のLDK
瀬田展示場(東京都世田谷区瀬田5-20 朝日新聞総合展示場ハウジングプラザ瀬田)
プライバシーを確保しながら、屋外の開放感を身近で味わえるのが中庭の魅力のひとつです。そんな心地よさがあるからこそ、中庭を検討される方が多いのかもしれません。
そんな、心地良い中庭のある家を実現するには、具体的な暮らしのイメージを持ち、プランニングを進めていくことが大切です。今回ご紹介したメリット・デメリットや間取りプランを参考にしながら、家づくりを進めていってください。
住友林業では、ハウスメーカーとして長年培ったノウハウをもとに、中庭のある家も多数手がけています。これから家づくりを検討される方は、住友林業の実例ページやInstagramなどもチェックしてみてください。
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