吹き抜けがあると、空間の明るさや広がりを感じられ、デザイン性も高くなります。そのため家づくりにおいて吹き抜けを採用したいと考える方も多いでしょう。ただ、さまざまなメリットがある一方で、吹き抜けには注意したいデメリットもあります。分かりやすく解説しますので、自分たちのライフスタイルに合った家づくりのヒントにしてください。

久留米展示場(福岡県久留米市東合川1-7-31 KBCマイホーム展久留米会場)
1階の天井や2階の床を作らず上下階の空間が縦につながる状態を吹き抜けといいます。吹き抜けはリビングや玄関、階段ホールなどに設けられることが多く、縦にスペースが広がることで開放感が生まれるなど、以下のようなさまざまなメリットがあります。
上下階の空間をつなげる吹き抜けにより、高い天井とゆとりあるスペースが生まれ、開放的な雰囲気になります。頭上に空間の余裕があることで圧迫感がなく、目線を上に向けたときに視界の広がりが感じられるのが特徴です。床面積が比較的コンパクトなリビングでも、吹き抜けがあればゆったりくつろいで過ごせるでしょう。吹き抜けを玄関や階段ホールに設ければ、広さと開放感を印象付けることができるかもしれません。

鳩ケ谷展示場(埼玉県川口市坂下町1-5-8 川口・鳩ヶ谷住宅公園内)
吹き抜けの高い位置に窓(高窓)を設置して日差しを取り込むことで、効果的に採光を確保できます。高窓から入った光が一度天井や壁に反射することで、柔らかく均一な光が部屋の奥まで届きやすくなり、一般的な高さの窓(腰窓)より室内全体を明るくしてくれます。立地によっては隣家が近いことで、1階から自然光が入りにくいケースや、日光が当たる南側に窓を設けるのが難しいケースでも、プライバシーを守りながら採光を確保しやすいのが吹き抜けの魅力です。
上階にある寝室や子ども部屋などの個室と、下階にあるリビングが吹き抜けでつながる間取りなら、上下階で家族が互いの気配を感じやすく、自然とコミュニケーションをとりやすくなります。夕食の支度ができたときも子どもに声掛けがしやすく、外出時に「行ってきます」、帰宅時に「お帰りなさい」と会話する機会も増えるでしょう。家族のつながりを大切にしたいなら、コミュニケーションのとりやすい吹き抜けリビングを考えてみてはいかがでしょう。
泉佐野展示場(大阪府泉佐野市日根野2496番1 ABCハウジング泉佐野住宅公園)
暖かい空気が上昇する特質を利用し、吹き抜け下部にある窓から外気を取り込み、高窓から出ていく流れをつくることで効率良く換気ができます。「重力換気」または「温度差換気」と呼ばれるこの方法なら、それほど大きな窓を設けなくても空気を循環させられるので、風通しが良くなり快適に暮らせます。下部にある窓と上部にある窓を同時に開ける必要があるため、手が届きにくい所にある窓は電動またはチェーンなどで開閉できるようにしましょう。
 重力換気のイメージ
重力換気のイメージ
吹き抜けの高さを活かして、デザイン性の高い照明器具やシーリングファン、個性的な家具を配置することで、生活感を抑えたおしゃれなインテリアを実現できます。吹き抜けと合わせて、小上がりと一体化した階段や、らせん階段などを採用することで、ダイナミックな空間の演出も可能です。天井や壁の一部を板張りにしたり、アクセントクロスを貼ったり、木質感を活かした梁を取り入れるなどして、さまざまな空間の変化を楽しめます。
小倉展示場(福岡県北九州市小倉北区許斐町一番地 RKB住宅展小倉北)
市川展示場(千葉県市川市鬼高1丁目1番地2号 ABCハウジング 市川住宅公園)
上下階がつながる吹き抜けならではのメリットがある一方で、考慮しておきたいデメリットもあります。家づくりで失敗して後悔しないために、特に知っておきたい問題とその解決策についてまとめました。
吹き抜けでは「暖気は上に」「寒気は下に」たまります。エアコンだけでは冷暖房効率が低下しがちで、夏は天井に近いほど暑さを、冬は床に近いほど寒さを感じるかもしれません。窓辺で冷やされた空気の塊が暖房によって下降気流となり、足元が寒くなる「コールドドラフト」という現象も起こりがちです。また、窓の面積が多いほど日射熱や外気温の影響を受けやすく、光熱費が増える可能性もあります。
対策としては、建物を高気密・高断熱仕様にする、カーテンなどで日射をコントロールする、シーリングファンを設置する、全館空調システムや床暖房を導入するといった方法があります。
吹き抜けは上下階の空間がつながっているため、下階のリビングの話し声やテレビの音、またキッチンで料理をしているにおいなどが上階に伝わりやすくなります。音については、勉強や仕事で集中するための部屋を吹き抜けから離す、壁に吸音材や遮音材を使用するなどの対策を取れると良いでしょう。においについては、独立型キッチンにしたり、吹き抜けのある空間からキッチンを離したりする、吸気と排気の設置場所を工夫して空気の流れが他に拡散しないようにする、吹き抜け上部に開閉できる窓を付けるなど、必要に応じて対策を検討しましょう。

鳩ケ谷展示場(埼玉県川口市坂下町1-5-8 川口・鳩ヶ谷住宅公園内)
吹き抜けに面した2階個室に内窓を設けることで、視覚的なつながりを持たせつつ、1階の音やにおいを遮断できます。
北円山展示場(北海道札幌市中央区北5条西17丁目13-2 STVハウジングプラザ ギャラリー北円山)
音やにおいの問題を解消するため、吹き抜けの周りを廊下にして個室と距離を取るのも、効果的な方法の一つです。
一般的な脚立では、吹き抜けの高い位置にある照明器具や窓サッシに手が届かないケースも考えられます。電球が切れたときなど照明器具のメンテナンスや、窓サッシのガラス掃除を自分でできないと不便です。家づくりの計画段階で、電動で昇降するタイプの照明器具や遠隔で開閉できる窓を選び、長柄のハンディモップなどで掃除ができるか確認しましょう。照明器具には寿命が長いLEDを採用し、交換回数を減らすことも手間を抑えるポイントです。
1階に吹き抜けを設けると、真上にある2階の床面積が減ることになります。部屋数や収納スペースが不足しないよう、家族構成や将来の暮らしもイメージして間取りを考える必要があります。土地面積と建ぺい率・容積率などの条件から建築可能な延床面積を計算した上で、吹き抜けをどれくらいの大きさで、どこに設けるか決めましょう。もしもリビングを吹き抜けにするのが難しいときは、階段や玄関ホールに設けることを検討してみても良いかもしれません。
建ぺい率・容積率とは?計算方法・用途地域別の基準・緩和条件を解説
豊かな空間の広がり、明るい光で満たされた居心地の良さ、高さを活かした伸びやかなインテリアなど、吹き抜けならではの魅力的な事例を紹介します。ぜひ理想のイメージを膨らませる参考にしてください。
瀬田展示場(東京都世田谷区瀬田5-20 朝日新聞総合展示場ハウジングプラザ瀬田)
上下に連なる大きな窓が、吹き抜けの開放感を一層高めています。外に広がる庭や空を眺めながら、明るい光に包まれて、ゆったりと流れる時間を感じて過ごせそうです。石、木、アイアンなどの素材を活かした、スケルトン階段と一体となったアクセントウォールが、空間の魅力を引き立てるフォーカルポイント(目を引く場所)となっています。
嶋展示場(山形県山形市嶋北4-6-25 TUY次世代展示場「シマカラ」会場内)
リビングは吹き抜けにより開放的で伸びやかに、ダイニングは通常の天井高で落ち着ける、一つのLDKの中で異なる雰囲気を感じられるよう考えられています。居心地の良さのポイントになっているのが、包み込まれるような温もりの感じられる木質感のある天井です。天井の高さや素材の違いにより、空間に変化を生み出しています。


品川展示場(東京都品川区東品川4-4-7 品川シーサイド住宅展示場)
開放感のある玄関の吹き抜けを活かし、背の高い大型の観葉植物を置くことで、屋内でも自然を感じる空間を演出しています。吹き抜けの1階部分には椅子と机を置いて、緑のある空間で家族がくつろげる癒し空間となっています。
小倉展示場(福岡県北九州市小倉北区許斐町一番地 RKB住宅展小倉北)
上下階を吹き抜け階段で連続させることで、豊かな空間の広がりを感じられる住まいになっています。階段途中に設けられた小上がりにいると、家族の気配を程よく感じて過ごせるのが特徴です。子どもの学習スペースや、趣味スペースなど、暮らしの変化に合わせて多目的に活用できます。


徳山展示場(山口県周南市公園区動物園横 徳山住宅公園 KRYハウジングサイト)
吹き抜けにより空間が広くなると、インテリアコーディネートの自由度も高くなります。ダイナミックな空間には存在感のある照明器具を採用することで、高級感のある雰囲気を演出することもできます。昼は明るい陽光の降り注ぐ快適な空間が、夜は照明の生み出す光と影で、また違った粋な印象に変わります。
東広島展示場(広島県東広島市西条中央3-23-18 広島テレビ住宅展示場 東広島ハウジングフェア)
吹き抜けのある家を建てるとなると、「耐震性は大丈夫?」「容積率はどうなる?」など、いろいろと気になるポイントが出てくるでしょう。ここではよくある疑問についてQ&A形式でお答えします。
A.いいえ、原則含まれません。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積(建物内の各階の床面積の合計)の割合で、その制限については地方自治体によって地域ごとに定められています。吹き抜けの上階部分は延床面積に算入されないため、容積率が低い条件の厳しいケースでも、空間のゆとりを感じられる住まいにできます。ただし、吹き抜けの形状などに細かな条件があるため確認が必要です。
A.はい、吹き抜けを設けても、耐震性を確保することができます。
大きく開放的な吹き抜けを実現するには、空間を遮らないよう床・壁・柱・梁を減らすことが求められます。しかし構造計算を基に適切な補強を行うことなどにより、吹き抜けでも耐震性を確保することが可能です。吹き抜けを導入したい場合は、専門家と相談しながら耐震性を確保できるように検討しましょう。
住友林業では、耐震性に優れた独自のBF(ビッグフレーム)構法で、大空間の吹き抜けや、明るい光を取り込む大開口、コーナーサッシやワイドサッシなど大きな窓のある吹き抜けにも対応しています。

A.はい、屋根裏スペースなどを活用することで可能です。
平屋で縦に広がる開放的な空間を実現したいなら、勾配天井などの方法があります。
また、住友林業の1.5階建て「プラスカイ」では、1階のみで普段の生活を完結させつつ、上階スペースを子ども部屋や収納などに利用できるよう工夫しています。吹き抜けのような伸びやかな大空間と、2階建てと平屋の長所を取り入れた間取りで、快適に暮らせる住まいを実現できます。

hitマリナ通り展示場(福岡県福岡市西区愛宕4丁目21番地 hitマリナ通り住宅展示場内)
吹き抜けのメリットを活かした理想的な住まいを実現するには、吹き抜けを取り入れる目的を明確にして、必要な部屋数や収納スペース、建築費用、耐震性、断熱性などをしっかり確認した上でプランを決めることが大切です。
まずは、SNSなどで建築実例の画像を見たり、住宅展示場のモデルハウスを訪ねたりして、どれくらいの大きさで、どんな種類の吹き抜けがあると良いかイメージを膨らませましょう。また、木造、鉄骨造、RC造など工法の違いによって得意・不得意があり、かかる費用も変わるため、依頼先についても慎重に情報収集することをおすすめします。
住友林業は独自のBF(ビッグフレーム)構法で、大きな窓や広々とした吹き抜けなどの大開口・大空間を可能にし、耐震性や断熱性の高い建物でずっと快適に暮らせる住まいを提案しています。開放感のある暮らしができる、吹き抜けのメリットを上手に活かした住まいにしたいと考えているなら、一度HPをチェックしてみてください。
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