●わたしらしさを楽しむ家づくり
2020/05/08 公開
季節ごとの行事を楽しむ心のゆとりが、暮らしに潤いをもたらします。お盆や七夕など、夏の季節行事をご紹介します。 ※ご紹介する内容には諸説ありますので、あらかじめご了承ください。
「梅仕事」とは、梅を使った自家製の梅酒や梅干しなどを作ることです。梅の収穫時期である5月下旬から6月にかけて行われます。
青く硬い実は梅酒や梅シロップ、青梅のしょうゆ漬けにします。熟して黄色く色づいた梅では梅干を、完熟したやわらかい梅では梅ジャムを作ります。
梅酒は、漬けてから3ヶ月以上経ってからが飲み頃です。徐々に色が変わっていく梅酒の瓶を眺めるのも、梅酒づくりの楽しみの一つ。下準備をていねいに行い、密閉して冷暗所で保管すれば、20~30年経っても飲むことができます。
梅干は、塩漬けを1週間、赤しそを加えて2週間、仕上げに天日干しを3日以上して、ようやく完成です。塩分濃度20%以上で漬け込めば、数百年経っても食べられると言われています。
すぐには食べられないけれど、手間暇をかけて、ていねいに作り、熟成を楽しみながら味わう。梅仕事には、そんな喜びがあります。
「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、別名を「茅の輪(ちのわ)くぐり」とも言います。神社に置かれた大きな「茅の輪」を目にしたことはありませんか?
「夏越の祓」とは、年の前半の最後の日にあたる6月30日に行われる神事です。半年間についた穢れを祓うもので、神社には、茅(ちがや)で作られた「茅の輪」が置かれます。
参拝者はこれを左右に"八の字"を描くように3回くぐりながら「水無月の 夏越の祓する人は 千歳の命 のぶというなり(6月に夏越の祓いをした人は、寿命が千年にも延びると言われている)」と唱え、無病息災を願います。
※神社によって作法が異なる場合があります。
「茅の輪くぐり」の由来は、『備後国風土記(びんごのくにふどき)』に記された「蘇民将来(そみんしょうらい)」の説話が由来だと言われています。
ある日、スサノオノミコトが道に迷ったとき、蘇民将来と巨旦将来(こたんしょうらい)の二人の兄弟に宿を頼んだところ、裕福な弟の巨旦将来は断り、貧しい兄の蘇民将来は盛大にもてなしました。
スサノオノミコトはもてなしのお礼に「もし疫病が流行したら茅の輪を腰につければ逃れられる」と教えました。そして数年後に疫病が流行したとき、茅の輪をつけた蘇民将来の家族だけが助かったといわれています。
ここから、茅の輪が厄払いのお守りとなります。やがて時代と共に茅の輪は大きくなり、現在のような厄払いの形になりました。
「七夕」は、中国の星伝説と「乞巧奠(きこうでん/きっこうてん)」という宮廷行事、日本古来の年中行事「棚機(たなばた)」などが結びつき、現在のような形になりました。
中国最古の詩集『詩経』には、星の名称として「織女」「牽牛」の言葉が記されています。その後中国で伝説が徐々に形作られ、3世紀以降の書物には「1年に1度、7月7日に牽牛と織女が天河で会う」と書かれているのを見ることができます。
「乞巧奠」は、古代中国の宮廷行事です。7月7日の夜に織女星をながめ、織女のように裁縫や手習いごとが上達するようにと祭壇に針などを供える行事が行われていました。
それが奈良時代に日本にも伝わり、平安時代には貴族たちが詩歌や管楽、裁縫、習字などの芸事の上達を祈願する行事となりました。また、この日に里芋の葉に溜まった夜露で墨をすって文字を書くと、願いが叶うとされていました。現在でも、宮中の伝統行事を受け継ぐ京都の冷泉家が乞巧奠を行っています。
「棚機(たなばた)」は、お盆の前に祖先の霊や客神に捧げる衣を、神聖な場所とされる水辺で織る日本古来の行事です。
江戸時代には、奇数が重なる縁起の良い日として7月7日は「五節句」の一つ「七夕(しちせき)の節句」となりましたが、それが棚機と結びつき、七夕と書いて「たなばた」と読むようになったと言われています。
七夕の行事食は「そうめん」です。そうめんのルーツは中国の小麦粉料理「索餅(さくべい)」というお菓子です。古代中国の故事に「7月7日に死んだ帝の子が悪霊となって熱病を流行らせたので好物だった索餅を供えて祀るようになった」というものがあり、そこから7月7日に索餅を食べると1年間無病息災で過ごせると言われるようになったということです。
また、素麺を白い糸に見立てて裁縫の技術の向上を願った、素麺を天の川に見立てたという説もあります。
童謡「たなばたさま」には、「五色(ごしき)の短冊、私が書いた」という歌詞があります。この五色は「青、赤、黄、白、黒」で、中国の陰陽五行説にちなんでいます。
陰陽五行説では、「木、火、土、金、水」がすべての根源であると考えられていて、「木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒」を表し、これらの色に魔よけの意味がありました。中国の乞巧奠では、この五色の糸を針に通して飾り、裁縫の上達を願う風習があったそうです。
願い事を書いた短冊と一緒に、笹に飾る色とりどりの飾りにも、それぞれ意味があります。
「吹き流し」は、織姫の織り糸を表し裁縫の上達を、「折り鶴」は健康や長寿、家内安全を、「投網」は大漁を、「巾着」は財産が貯まるようにという意味があります。また紙で作った人形や着物の「紙衣(かみこ)」は、裁縫の上達や着るものに困らないようにという願いや、災いや穢れの身代わりの意味もあります。
「お盆」の言葉の由来は、サンスクリット語で「ウラバンナ」にあり、それが「盂蘭盆会(うらぼんえ)」になり、「お盆」と略されるようになりました。
お盆の由来は、「仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)」に基づいています。
お釈迦様の十大弟子の一人であった目連が亡き父母のために何かできないかと霊視をしたところ、母は餓鬼道に堕ちて、逆さづりになって苦しんでいました。目連は食べ物を母に持っていきますが、母は食べることができません。
嘆き悲しむ目連に、お釈迦様は「7月15日に修行を終えた僧侶たちと一緒に祖先を供養しなさい」と言われ、その通りにしたところ、母は餓鬼の苦しみから救われました。そこから、7月15日は先祖を供養する日になりました。
サンスクリット語で逆さづりを「ウランバナ」と言うことから「盂蘭盆会」の文字が当てられ、これが「お盆」の語源となっています。
由来の通り、お盆は旧暦の7月15日に行われていました。しかし明治時代になり新暦(太陽暦)に改暦されてからは、地域によってその時期が異なってきます。
現在、お盆の時期は大きく分けて3つあります。
(1)新暦の7月15日(新盆・7月盆):東京、函館、金沢の旧市街地など
「靖國神社みたままつり」や「佃島盆踊り」などがこの時期に行われます。
(2)新暦の8月15日(旧盆・月遅れ盆):その他の地域の大部分
「京都の五山送り火」や「長崎の精霊流し」などがこの時期に行われます。
(3)旧暦の7月15日(新暦では8月20日頃):沖縄地方
沖縄は旧暦で行われる行事が多く、また風習も独特です。
一般的にお盆には、「盆棚(精霊棚)」と呼ばれる、ご先祖様をお迎えするための祭壇を作ります。
盆棚にはご本尊やご位牌のほかに、ほおずき、精霊馬、精霊牛、水の子(器に水を張ってハスの葉を敷き、その上に賽の目に切ったキュウリとナス、洗った米を置いたもの)などを飾りますが、それぞれに意味があります。
ほおずきは、その形から道しるべの提灯に見立てられ、お盆の期間中は霊が空洞に身を宿して過ごすと言われています。キュウリで作る精霊馬はご先祖様が馬に乗って早くこの世に帰ってこられるように、またナスで作る精霊牛は馬に乗ってゆっくりあの世に戻るように、との願いが込められています。
水の子は、ご先祖様と同じようにすべての霊を供養するために用意するものです。餓鬼道に落ちた霊の喉が針のように細くなっていることから、食べやすいようにと細かく切って水に浸すようになりました。お盆の期間中、毎日新しいものに取り換えます。
このように、季節の行事にはそれぞれ由来や意味があります。由来を知ったうえで行事を楽しむと、今までとは違った気づきがあるかもしれませんよ。
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