厚手のコートやダウンジャケット、ニットなど、分厚くてかさばりがちな冬服は収納するのにひと苦労。しかも正しく保管しないと、お気に入りの服がカビや虫食いでダメになってしまうことも。そこで、冬物衣類をコンパクトにすっきりとしまえる収納方法や、衣類をきれいに長持ちさせるためのポイントなどをご紹介します。
まずは、冬服収納ならではの気を付けたい点をチェックしておきましょう。
冬物の衣類は気軽に洗濯しにくい素材や厚さのものが多く、夏のように汗をかかないこともあって、一度着ただけでは洗わないことが多いのではないでしょうか。ところが冬場でも暖房の効いた部屋などにいると、案外汗をかいていて、目には見えにくい汚れが付着しています。そしてこの皮脂汚れがじつはクセモノです。虫食いをする衣類害虫は皮脂汚れに含まれているタンパク質が大好物なのです。
衣類害虫は春から夏にかけての幼虫が孵化する時期に衣類を食べますから、冬服収納は遅くとも5月のゴールデンウィークまでに済ませておきましょう。
冬物をすっきりと収納するためには吊るし方や畳み方のひと工夫が大事です。ここでは、「吊るす」「畳む」など、アイテム別の上手な収納術をご紹介します。
厚手のコートやジャケットは、シワになりにくいようにハンガーにかけて収納しましょう。肩に厚みがあるハンガーを選ぶと型崩れを防げます。コート類はクローゼットの端にまとめて吊るしておくと、すっきりと収納できます。
また、クリーニングに出すとビニールのカバーを被せて返されますが、カバーはあくまでホコリをふせぐ簡易的なもの。カバーをしたままで保管すると湿気がたまり、衣類の変色やカビの発生などトラブルを生み出す原因になりかねません。特に保管が半年以上続くコート類は要注意なので外して収納するようにしましょう。ホコリよけしたい衣類には不織布のカバーを使います。
ニット
ニットセーターなど糸を編んで作った衣類は伸縮性があるので、ハンガーにかけると伸びてしまいがち。ハンガーの跡がつきやすかったりもするので、畳んでしまうのが原則です。
ニットの畳み方
⑤さらに半分折り畳んで完成!
*丸める方法もあります(下記の画像参照)※上の写真③で長方形を作ったあと丸める
①身頃と袖を内側に折り畳んで長方形に整えてからロール状に巻く
②上まで巻いて完成
畳んだ後の収納のポイント
畳んだセーターを上に重ねて収納すると、下のセーターが見えないうえに、取り出しにくくなります。畳んだセーターは衣装ケースや引き出し、カゴなどに立てて並べて収納しましょう。手持ちのセーターの数や種類が一目でわかり、簡単に取り出せます。ブックエンドを使って仕切りを付けるのもおすすめ。量の増減に左右されず、立てたセーターが倒れないようにしっかりと支えてくれます。
畳んで衣装ケースに入れた衣類
丸めて収納ケースに入れた衣類
パーカー
厚みがあるパーカーは重さもあり、ハンガーに掛けると肩が伸びやすいので、畳んで収納するのがおすすめです。パーカーもセーターと同じく、衣装ケースなどの中に立てて並べると場所を取らずに収納できます。
パーカーの畳み方
⑦フードの中に身頃をおさめて完成!
*フードを身頃側に折り畳んでから畳む方法もあります(下記の画像参照)
マフラー・手袋・ニット帽
幅の広いストールはハンガーに掛けて収納してはいかがですか。半分に折ってスラックスハンガーに掛けておけば、使うときも片手でサッと取り出せて便利です。くるくるっと丸めて棚にしまう手もあり。自分がどんな柄のものを持っているのか一目でわかります。ボリュームのあるマフラーなどは、S字フックを利用しましょう。ふんわり感を保ったまま収納できます。
S字フックにかけたマフラー
一方、散らばって行方不明になりがちな手袋やニット帽などの小物類は、置き場所を定めてひとまとめにしておくのが上手な収納のコツ。カゴやトートバッグなどを活用してもいいでしょう。
冬用のブーツ
丈の長いブーツの収納は場所を取るうえ、倒れやすいのも困りもの。ブーツキーパーを使用すると倒れにくくて、型崩れも防げます。
また、突っ張り棒やハンガーパイプなどに吊るして収納する方法もおすすめです。下の棚板を外すなどしロングブーツが入る高さを確保したら、ブーツハンガーを使って吊るすだけです。
ブーツハンガーを使って吊るして収納
ウインタースポーツウエア
冬の楽しみでもあるウインタースポーツですが、スキーウエアなどのスポーツ用品はダウンと同様、収納時にかさばるのが難点ですが、圧縮袋を使うとコンバクトに収納できます。スキーブーツは透明の衣装ケースに入れておくと中身が見えるので押入れなどで迷子になりにくく、シーズンになればそのまま車に積み込むこともできて便利です。
このように、各アイテムによって収納の仕方を工夫したいものです。ただ、いくら収納を効率化してもスペースの限界はあるもの。毎年洋服だけが増えていくのは大変です。なので、来年もう着ることがない服(サイズが小さくなった子供服など)は、しっかり収納するタイミングで、人にあげたりリサイクルショップやフリマアプリなどで売ったり、捨てたりすると良いでしょう。
冬服を長持ちさせる秘訣は清潔にして収納すること。収納する前にきちんとケアすることで、翌シーズン以降も傷みなく、きれいな状態で気持ちよく着られます。ケアのポイントは洗濯&防虫対策を行い、通気性を良くして、収納スペースに余裕をもたせることです。
衣類に汗や皮脂、食べこぼしのシミなどが残ったまま収納すると、カビや虫食いが発生する原因になりますから、収納する前に「しまい洗い」をして、汚れをしっかり落としておきましょう。
しまい洗いのタイミングは、不要な衣類を見極めるのにもうってつけ。よれたり、傷んだりしてもう着ないと思う衣類はこの段階で断捨離してはいかがですか?
洗濯した衣類は、しまう前にしっかりと乾燥させましょう。湿気が残ったまま収納するとカビの原因になります。干した後、さらにアイロンをかけると、湿気が取れて防虫対策にもなります。クリーニングに出した衣類もそのまま収納せず、風通しのいい場所で2~3日乾燥させるのがおすすめです。
カビを防ぐには、通気性のよい場所で収納することも大切です。着ない時期もクローゼットをたまに開けて、風を通す時間を作る習慣をつけたいものです。衣類の詰め込みすぎも禁物。防虫剤の成分が行きわたらず、シワの原因にもなります。余裕のある収納を心がけましょう。収納空間の7割程度を埋めるイメージで収納するといいでしょう。掛ける収納であれば、ハンガー同士の間にスッと手が入るくらいが理想的です。
通気性の悪い押入れや衣装ケース内に保管するときは、除湿剤を入れておくと安心です。段ボールは吸湿性が高いので、段ボールでの保管は避けた方が無難です。収納ケースやタンスの引き出しに防虫剤を入れておくこともお忘れなく。防虫剤の成分は上から下へと広がっていくので、防虫剤は衣類の上に置きましょう。
収納場所を清潔にしておくことも大切。収納ボックスや引き出しなどの中のホコリを取り除き、消毒用エタノールをしみ込ませたタオルで拭き掃除をしてよく乾かしましょう。ただし、消毒用エタノールでタンスなどの着色塗料が剥がれる恐れもあるので、目立たない部分で試してから使用してください。
冬服の収納で大切なポイントとなるのは、スペースの確保と適切な保存方法です。収納はアイテムに合った方法でコンパクトにまとめるのがコツ。冬服にカビや虫食いなどダメージを与えないためのケアも忘れずに行いましょう。
また、収納する前に手持ちの冬服を総チェック。不要なものは処分して、必要な衣類だけを残すようにすると収納スペースに余裕が生まれます。
冬服の収納に限らず、これから、家づくりやリフォームをする際は、家族が増えたり、ライフスタイルが変わったりすることも想定して収納計画を立てましょう。
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