わたしの家

わたしらしさを楽しむ家づくり

2021/02/26 公開

「二十四節気と七十二候」春編~暦で感じる花や鳥、虫たちの息吹

「二十四節気と七十二候」春編~暦で感じる花や鳥、虫たちの息吹

この記事をシェアする

1年を春夏秋冬の4つに分けたものを「四季」、24に分けたものを「二十四節気」、72に分けたものを「七十二候」といいます。

七十二候は細やかな自然の移ろいに目を向けた暦で、鳥や花、気象などの様子で季節を表現しているのが特徴。

この記事では、72ある候のうち春を表す第十候~第二十七候について解説します。

《目次》

  1. 二十四節気と七十二候
  2. 春分 第十候~第十二候
  3. 清明 第十三候~第十五候
  4. 穀雨 第十六候~第十八候
  5. 立夏 第十九候~第二十一候
  6. 小満 第二十二候~第二十四候
  7. 芒種 第二十五候~第二十七候

二十四節気と七十二候

「二十四節気」は、太陽の高さが最も高くなる「夏至」と最も低くなる「冬至」、その中間にあって昼と夜の長さが等しくなる「春分」「秋分」を基点として、太陽の動きをもとに1年を24等分したもので、それぞれ約15日間です。

「七十二候」は、それをさらに「初候」「次候」「末候」に3等分した約5日間を表した暦。鳥や花、気象などの様子でそれぞれの季節が表現されており、農業や漁業、日々の生活の「目安」になってきました。

二十四節気の始まりは「立春」なので、七十二候の第一候もそこからはじまります。今回は「春分」から夏になる直前の「芒種」までの第十候~第二十七候についてご紹介します。

なお、二十四節気と七十二候の一覧は記事末尾をご覧ください。

春分 第十候~第十二候

昼の長さと夜の長さがほぼ同じ長さになる「春分日」。この日から約15日間、次の「清明」の前日までが二十四節気の「春分」にあたります。

「春分」の期間は、七十二候では第十候~第十二候にあたります。春らしい気候が安定する季節、花が咲き小動物が活発になる様子が表わされています。一つずつ見ていきましょう。

春分 第十候~第十二候

第十候:雀始巣(すずめ はじめてすをくう) 3月20日頃

スズメが繁殖期を迎え、巣作りを始める頃。

田畑や人家のすぐそばに棲息するスズメは古くから日本人にとって身近な存在で、スズメの巣づくりは春を感じさせるものだったのでしょう。「雀の巣」「雀の子」は春の季語にもなっています。

第十一候:桜始開(さくら はじめてひらく) 3月25日頃

春の陽気に誘われて、桜の花が開き始める頃。1981年~2010年の東京都の桜の開花日は3月25日で、まさに「暦通り」となっています。

第十二候:雷乃発声(かみなり すなわちこえをはっす) 3月30日頃

季節の変わり目で大気が不安定になりやすく、遠くで雷が鳴り始める頃。雷雨は、田畑にとっては「恵みの雨」。雷の放電現象によって空気中の酸素や窒素が雨に溶け込み、天然の肥料になるからだそうです。そう考えると、雷で暦を表したのも納得がいきますね。

「春分日」をはじめとした春の行事について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>四季を楽しむ暮らし ~春の歳時記~

清明 第十三候~第十五候

暦の上では「晩春」にあたる時期。すっかり暖かくなった空気の中、鳥たちが伸び伸びと飛び回る季節です。

清明 第十三候~第十五候

第十三候:玄鳥至(つばめ きたる) 4月5日頃

東南アジアなどで越冬したツバメが、日本に戻ってくる頃。玄鳥はツバメの別名です。春になったらやってくるので、「春告げ鳥」とも呼ばれています。ツバメは害虫を食べてくれる益鳥として、農家から大切にされました。

第十四候:鴻雁北(こうがん かえる) 4月10日頃

冬鳥の鴻雁(コウガン)が北へ帰って行く頃。鴻雁とは、渡り鳥の「ガン」のこと。冬を日本で過ごしたガンは、ツバメと入れ替わるようにシベリア方面に帰ります。

10月には再び日本へやってくるので、10月上旬には「鴻雁来(こうがんきたる)」という暦も。渡り鳥が規則正しくやって来てまた去っていく様子は、人々が季節を感じる目安になっていました。

第十五候:虹始見(にじ はじめてあらわる) 4月15日頃

空気が潤い、雨の増える時期。冬の乾燥した空気から春の訪れとともに水分量が増え、日差しも強くなってくるので、雨上がりには虹が出るようになります。

冬本番の間は姿を潜めていた虹が見え始めると、季節の移ろいを実感します。

穀雨 第十六候~第十八候

様々な穀物をすくすくと育ててくれる雨の季節「穀雨」。暦にも植物に関連した言葉が並びます。

穀雨 第十六候~第十八候

第十六候:葭始生(あし はじめてしょうず) 4月20日頃

だんだんと暖かくなり、水辺の葭 (アシ) も芽を吹きはじめる頃。「アシ」はイネ科の多年草で「ヨシ」とも言います。水辺に広く自生し、葦簀(よしず)や茅葺屋根の屋根材などに使われる、生活には欠かせない植物でした。

第十七候:霜止出苗(しもやんで なえいづる) 4月25日頃

霜が降りなくなり、苗が成長を始める頃。農家にとって作物を枯らす霜は大敵であるため、この候を新たな農作物を育て始める目安としていました。

第十八候:牡丹華(ぼたん はなさく) 4月30日頃

晩春から初夏にかけて、大輪の花を咲かせるボタンが咲く頃。ボタンの花は、春の終わりと夏の訪れを知らせます。

ちなみに、ボタンはその華やかな姿から、「百花の王」と称されています。

立夏 第十九候~第二十一候

旧暦では4月からが「夏」。旧暦4月、新暦では5月5日頃が二十四節気の「立夏」で、春分と秋分のちょうど中間にあたります。

暦の上では夏でも、本格的な暑さはまだ訪れません。青々とした新緑や賑やかな生き物が、目や耳を楽しませてくれる季節です。

立夏 第十九候~第二十一候

第十九候:蛙始鳴(かわず はじめてなく) 5月5日頃

繁殖期を迎えたカエルが鳴き始める頃。カエルは様々な国で縁起の良い生き物とされており、日本でも「玄関先でカエルが跳ねると幸運の前兆」だと言われています。

第二十候:蚯蚓出(みみず いずる) 5月10日頃

冬眠していたミミズが、地上に出てくる姿を見かけるようになる頃。ミミズは土の中を動いて耕し、土を食べてその糞が肥料となるなど、畑の土作りには欠かせない存在です。

第二十一候:竹笋生(たけのこ しょうず) 5月15日頃

竹笋(タケノコ)が生えてくる頃。現在日本で見られる主なタケノコは、江戸時代に日本に入ってきた「孟宗竹」と、細く竹細工などに使われる「真竹」があります。

「孟宗竹」は3~4月に、「真竹」は5~6月に生えてくるので、この暦のタケノコは「真竹」を指しているようです。成長の早いタケノコは、「すくすく育つ」という意味で子どものお祝い料理などに使われていました。

小満 第二十二候~第二十四候

天気がよくなり、万物が成長をして満ち始める季節。春に種をまいた農作物たちが育ち始め、農家が満足する時期ともいわれています。暦の言葉にも、生命の息吹が感じられます。

小満 第二十二候~第二十四候

第二十二候:蚕起食桑(かいこおきて くわをはむ) 5月21日頃

カイコが盛んに桑の葉を食べ始める頃。養蚕をしている農家にとっては、カイコに食べさせるための桑の葉の収穫が日課となる季節です。養蚕は農家の生計を助けるもので、第二次世界大戦前までは、約4割の農家が養蚕に携わっていたそうです。

蚕が桑の葉を食べると雨が屋根を打つような大きな音がするので、この音も季節が巡ってきたことを感じさせるものだったのでしょう。

第二十三候:紅花栄(べにはな さかう) 5月26日頃

ベニバナが咲きほこる頃。化粧品の原料や染料として知られるベニバナには、源氏物語の登場人物名としても知られる「末摘花」の別名があります。

第二十四候:麦秋至(むぎのとき いたる) 5月31日頃

麦が熟して、収穫する頃。夏なのに「秋」が使われることに違和感があるかもしれませんが、ここでの秋は「実りの時期」の意味。麦の収穫期を「麦秋(ばくしゅう)」と言い、夏の季語にもなっています。

芒種 第二十五候~第二十七候

「芒(のぎ)」とは、イネ科の植物の穂先にある針のような毛の部分のこと。「芒種」とは稲や麦など、芒のある穀物の種まきをする時期という意味で、6月6日頃です。

現在では6月にはすでに田植が終わっていますが、昔は稲の苗を水苗代といって水田で育てていたため今よりも生育が遅く、田植えは6月に入ってから行うものでした。

芒種 第二十五候~第二十七候

第二十五候:螳螂生(かまきり しょうず) 6月5日頃

カマキリが孵化する頃。カマキリは肉食性が強く害虫を駆除してくれるため、農業にとっては益虫。有機農法の一つとして「カマキリ農法」を取り入れているところもあるそうです。

第二十六候:腐草為蛍(くされたるくさ ほたるとなる) 6月10日頃

ホタルが光り始める頃。かつては腐って蒸れた竹の根や草がホタルになると信じられていたため、ホタルには「朽草(くちくさ)」の別名があります。

ホタルは1週間前後の短い間だけ成虫として飛び回るため、季節を知らせる目安となっていました。

第二十七候:梅子黄(うめのみ きばむ) 6月15日頃

青々と大きく実った梅の実が、黄色く色付き熟し始める頃。黄色く熟した梅の収穫時期です。この時期に収穫された梅は梅干などに加工され、大切な保存食となっていました。

ちなみに、6月の雨を「梅雨」というのは、梅の実が熟する時期に降る雨だから。今も梅干しや梅酒作りといった「梅仕事」を初夏の楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。

「梅仕事」について気になる方は、ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね。
>>くらしの歳時記「夏」~七夕やお盆など夏の季節行事の由来や起源~

七十二候の第十候~第二十七候には、寒く冷たい冬を乗り越え、春を迎えた生命の息吹が感じられる言葉が並んでいます。暦の言葉をヒントに気象や鳥、草花、虫たちに目を向けてみると、季節の移ろいをより豊かに感じられるかもしれません。

矢印

七十二候の暦とともに、日本の豊かな四季を感じられる設計とライフスタイルをご紹介する『The Forest BF』。季節のうつろいを楽しむ、ゆとりある暮らしをご提案します。

住友林業カタログ「The Forest BF」

住友林業カタログ「The Forest BF」表紙

カタログ無料プレゼント♪

カタログ請求

二十四節気と七十二候の関係は、こちらの表をご覧ください。

     
二十四節気 七十二候
立春 東風解凍 はるかぜ こおりをとく 第一候 2月4日頃
黄鶯睍睆 うぐいす なく 第二候 2月9日頃
魚上氷 うお こおりをいずる 第三候 2月14日頃
雨水 土脉潤起 つちのしょう うるおいおこる 第四候 2月18日頃
霞始靆 かすみ はじめてたなびく 第五候 2月23日頃
草木萠動 そうもく めばえいずる 第六候 2月28日頃
啓蟄 蟄虫啓戸 すごもりのむし とをひらく 第七候 3月5日頃
桃始笑 もも はじめてさく 第八候 3月10日頃
菜虫化蝶 なむし ちょうとなる 第九候 3月15日頃
春分 雀始巣 すずめ はじめてすをくう 第十候 3月20日頃
桜始開 さくら はじめてひらく 第十一候 3月25日頃
雷乃発声 かみなり すなわちこえをはっす 第十二候 3月30日頃
清明 玄鳥至 つばめ きたる 第十三候 4月5日頃
鴻雁北 こうがん かえる 第十四候 4月10日頃
虹始見 にじ はじめてあらわる 第十五候 4月15日頃
穀雨 葭始生 あし はじめてしょうず 第十六候 4月20日頃
霜止出苗 しもやんで なえいづる 第十七候 4月25日頃
牡丹華 ぼたん はなさく 第十八候 4月30日頃
立夏 蛙始鳴 かわず はじめてなく 第十九候 5月5日頃
蚯蚓出 みみず いずる 第二十候 5月10日頃
竹笋生 たけのこ しょうず 第二十一候 5月15日頃
小満 蚕起食桑 かいこおきて くわをはむ 第二十二候 5月21日頃
紅花栄 べにはな さかう 第二十三候 5月26日頃
麦秋至 むぎのとき いたる 第二十四候 5月31日頃
芒種 螳螂生 かまきり しょうず 第二十五候 6月5日頃
腐草為蛍 くされたるくさ ほたるとなる 第二十六候 6月10日頃
梅子黄 うめのみ きばむ 第二十七候 6月15日頃
夏至 乃東枯 なつかれくさ かるる 第二十八候 6月21日頃
菖蒲華 あやめ はなさく 第二十九候 6月26日頃
半夏生 はんげ しょうず 第三十候 7月1日頃
小暑 温風至 あつかぜ いたる 第三十一候 7月7日頃
蓮始開 はす はじめてひらく 第三十二候 7月12日頃
鷹乃学習 たか すなわちわざをならう 第三十三候 7月17日頃
大暑 桐始結花 きり はじめてはなをむすぶ 第三十四候 7月23日頃
土潤溽暑 つち うるおうてむしあつし 第三十五候 7月28日頃
大雨時行 たいう ときどきにふる 第三十六候 8月2日頃
立秋 涼風至 すずかぜ いたる 第三十七候 8月7日頃
寒蝉鳴 ひぐらし なく 第三十八候 8月12日頃
蒙霧升降 ふかききり まとう 第三十九候 8月17日頃
処暑 綿柎開 わたのはなしべ ひらく 第四十候 8月23日頃
天地始粛 てんち はじめてさむし 第四十一候 8月28日頃
禾乃登 こくもの すなわちみのる 第四十二候 9月2日頃
白露 草露白 くさのつゆ しろし 第四十三候 9月7日頃
鶺鴒鳴 せきれい なく 第四十四候 9月12日頃
玄鳥去 つばめ さる 第四十五候 9月17日頃
秋分 雷乃収声 かみなり すなわちこえをおさむ 第四十六候 9月23日頃
蟄虫坏戸 むし かくれてとをふさぐ 第四十七候 9月28日頃
水始涸 みず はじめてかるる 第四十八候 10月3日頃
寒露 こうがん きたる 鴻雁来 第四十九候 10月8日頃
菊花開 きくのはな ひらく 第五十候 10月13日頃
蟋蟀在戸 きりぎりす とにあり 第五十一候 10月18日頃
霜降 霜始降 しも はじめてふる 第五十二候 10月23日頃
霎時施 こさめ ときどきふる 第五十三候 10月28日頃
楓蔦黄 もみじ つた きばむ 第五十四候 11月2日頃
立冬 山茶始開 つばき はじめてひらく 第五十五候 11月7日頃
地始凍 ち はじめてこおる 第五十六候 11月12日頃
金盞香 きんせんか さく 第五十七候 11月17日頃
小雪 虹蔵不見 にじ かくれてみえず 第五十八候 11月22日頃
朔風払葉 きたかぜ このはをはらう 第五十九候 11月27日頃
橘始黄 たちばな はじめてきばむ 第六十候 12月2日頃
大雪 閉塞成冬 そらさむく ふゆとなる 第六十一候 12月7日頃
熊蟄穴 くま あなにこもる 第六十二候 12月12日頃
鱖魚群 さけのうお むらがる 第六十三候 12月17日頃
冬至 乃東生 なつかくれくさ しょうず 第六十四候 12月22日頃
麋角解 さわしかのつの おつる 第六十五候 12月27日頃
雪下出麦 ゆきくだりて むぎのびる 第六十六候 1月1日頃
小寒 芹乃栄 せり すなわちさかう 第六十七候 1月5日頃
水泉動 しみず あたたかをふくむ 第六十八候 1月10日頃
雉始雊きじ はじめてなく 第六十九候 1月15日頃
大寒 款冬華ふきのはな さく 第七十候 1月20日頃
水沢腹堅 さわのみず こおりつめる 第七十一候 1月25日頃
鶏始乳 にわとり はじめてとやにつく 第七十二候 1月30日頃

この記事をシェアする

おすすめの記事 Recommended Articles

もっと見る

カテゴリ一覧

  • 暮らしのおかたづけ
  • わたしらしさを楽しむ家づくり
  • みんなのいえかぞくのへや
  • ステキに子育てLIFE

ページトップへ